2005年04月26日

4/26 Arab News (Saudi Arabia)
 サウジアラビアの国営航空Saudiaは、ブラジルの航空機メーカーEmbraer社から中型機Embraer 170 15機を購入する。同社にとっては始めての機種であり、中東でも始めてであるが、同機を国内及び近距離路線に投入する。
 Embraer 170は航続距離3,700KM、66座席。契約総額は4億ドルと見られ、本年12月に最初の2機が納入される。
 今回のSaudiaの動きは、政府による同社民営化或いは国内路線の新規参入計画に先手を打ったものと考えられる。

at 17:09Saudi Arabia 
4/26 Arab News (Saudi Arabia)
 米国訪問中のサウジアラビアのアブダッラー皇太子とブッシュ大統領の会談がテキサスの大統領私邸で25日行われ、会談後に共同コミュニケが発表された。
 コミュニケでは、両国の関係が60年前のルーズベルト大統領(当時)とアブドルアジズ初代国王に始まったことに触れ、9.11テロ事件以後冷え切っていた関係が改善に向かっていることを強調した。
 米国は、サウジの今年中のWTO加盟を支持し、また米国へのサウジ人留学生受入増加、軍事関係者の訓練等を約束した。またエネルギー問題については、投資を加速し生産能力を上げるとのサウジアラビアのコミットメントを米国は高く評価した。
 ブッシュ私邸では父ブッシュ元大統領が皇太子を歓待し旧交を温め合うなど終始友好的な雰囲気であった。

コメント:
 9.11テロ事件以後ギクシャクしていたサウジー米国関係は、今回の首脳会談で改善に向かって大きく前進した。
 関係改善は両国それぞれの願望であり思惑でもあった。コミュニケでは中東和平、両国関係改善、国際テロ対策など幅広く取り上げられているが、中でも主眼となるのは米国にとってエネルギー安定供給の問題であり、一方サウジアラビアにとっては米国との友好関係の回復と米国の反対で延び延びになっているWTO加盟問題であろう。
 米国は既に皇太子訪米前、サウジアラビアに対して原油を増産し世界のエネルギーの安定に寄与することを求めたメッセージを発信しており、これに対してナイミ石油相が直ちに応じている(4/19付 Arab News)。これに満足したブッシュ大統領は(議会承認と言う難問はあるものの)サウジのWTO加盟を認め、また9.11テロ事件以後制限していた留学生などの人的交流の促進を約束した。このように今回の首脳会談は双方に大きな成果をもたらしたと考えられる。
 ただコミュニケの中でわずかしか触れられていないが、両国の軍事協力は隠された重要な問題であろう。9.11テロ事件後、米国はリヤド郊外の戦略基地のカタール移転、軍事顧問の引き上げなど一切の軍事協力を停止したが、米国にとってアラビア半島のほぼ全体を占め、イラクに隣接するサウジアラビアは軍事的な要衝である。同時に米国軍需産業にとっても最重要な顧客なのである。アブダッラー皇太子は米国訪問前に仏を訪問しているが、同行したサウド外相が、仏とは兵器の商談は行わなかった、とわざわざ記者会見で釈明したのは米国に対する配慮と見て間違いない。


at 16:41Saudi Arabia 

2005年04月25日

4/25 Gulf Daily News (Bahrain)
 GCCと中国はリヤドで2日間にわたる自由貿易交渉(FTA)の第1ラウンドを終えた。両国は来年の合意を目指している。GCC代表はオマーン経済省次官、中国側は商業副大臣。交渉は昨年7月のGCC事務局長の北京訪問に続くものである。関係者の話では、GCCはすでに中国側にFTA案を手交済みであり、3週間以内に双方が関税低減の提案書を交換する予定である。

at 14:23 

2005年04月24日

4/24 Arab News (Saudi Arabia)
 初のサウジアラビア地方議会選挙の最後を飾る選挙が紅海沿岸地域の各都市で行われた。最大の選挙区であるジェッダでは500人以上もの候補者が乱立し、わずか7議席をめぐって派手な選挙合戦を繰り広げた。結果は宗教学者の推薦を受けた候補者が議席を独占し、先に実施されたリヤド及びダンマンと同様の傾向を示した。
 今回の選挙は事前運動で組織票を固めた候補者が有利な選挙戦を進めた結果であると分析されている。宗教学者の推薦は選挙の公平性を失うものであるとして、一部の候補者が選挙無効を訴えたが選挙管理委員会はこれをしりぞけた。ジェッダの選挙管理委員長は、ジェッダ地区の投票総数は52,000、投票率55-60%と述べている。
 2/10のリヤド地区の選挙を皮切りに3回に分けて実施された選挙は、178の地方議会の議員定数の半数の244議席を公選とするものである。因みに残る半数は従来通り政府任命のままである。

コメント:
 サウジアラビアの民主化を象徴するものとして国内外の注目を集めた同国初の地方議会選挙が終った。リヤド、ダンマン、ジェッダの三大都市では宗教界の推薦を受けた候補が圧倒的な強さを示し、その他の選挙区ではこのほか地元の有力ビジネスマンなどが当選した。いずれも強固な組織票を動員した結果であると言えよう。
 今回の選挙は一部有権者に熱病的な興奮状態を引き起こしたようであるが、多くの一般国民は冷ややかな目で見ていた節があり、それはArab Newsの別の記事 ’Why voters shied away from the ballot box’ にもうかがえる。
その原因は選挙制度そのものが広く民意を問うには程遠かったことにあると言えよう。その一つは選挙で選ぶ議員数を議会の半数にとどめ残る半数は政府任命議員をそのまま据え置いたことである。これは急速な民主化に慎重なサウジ政府の姿勢の現れであるが、このため一般国民の中には、選挙はサウジ政府即ちサウド王家の内外に対するスタンドプレーと見る向きもかなりあったようである。
更に選挙権を成人男子に限り女性を排除したことも学生や有識者を失望させた。また戸籍制度が整備されていない同国では選挙権は本人登録が前提であり、政府の強力な選挙登録キャンペーンにも係らず実際の登録者数が予想外に少なかったことが指摘される。
このため登録者の多くは立候補予定者の関係者と思われ、選挙戦そのものは候補者が乱立し、支持者達によるお祭り的な選挙運動が繰り広げられたのである。そして結果としては強い影響力を有する宗教学者の後ろ盾を得たり或いは組織票を固めた候補者が当選したと言える。
 今回の選挙がサウジアラビアの民主化の第一歩となることは間違いないであろう。しかしながらサウジアラビアはGCCの中でも制度的な民主化が最も遅れており、一般国民も民主化については幼稚な段階であることは疑いない。選挙を契機に同国の民主化が今後急速に進展するか否かと言えば必ずしもそうとは言えないようである。むしろ遅々とした或いは中途半端な民主化の状態が続くと国民の不満が目に見えないマグマとして蓄積し、ある時点で一挙に噴出す危険性も無いとは言えない。


at 16:23Saudi Arabia 

2005年04月23日

4/23 Khaleej Times (UAE)
 UAEは来年末までに原油生産量を現在の250万BPDから320万BPDに増加させるため各種プロジェクトを実行中である。UAEはOPEC生産枠240万BPDに対し現在能力一杯の250万BPDを生産している。
 Zakum上部油田については昨年7月ExxonMobilが28%の権益を獲得したが、現在55万BPDの生産能力を2008年75万BPD、2010年までに120万BPDに増強する計画である。
 現在能力増強中のプロジェクトは以下の通りである。

・Bu Hasa油田(陸上):ガス・水圧入で55万BPD(現在、以下同じ)を2006年末までに73万BPDに増強。

・Bab油田(陸上):ガス再圧入で20万→30万に増強。

・Asab油田(陸上):2006年までに28万→31万BPDに増強。

・その他3つの小油田(Al Dabbiya, Rumaitha, Shnaget)で2006年までに10万BPD増強。

なおUAEの可採埋蔵量は978億バレルで(世界全体の約8%)、内訳はアブダビ922億、ドバイ40億、シャルジャ15億、ラス・アル・ハイマ1億バレルである。アブダビの埋蔵量は主として回収率の向上により過去10年間にほぼ倍増している。


at 22:05UAE(Abu Dhabi, Dubai) 
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