2017年05月16日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0409MenaRank6.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その6)

 

掲載日:2017.5.16

前田 高行

 

4.2013年から2017年までの順位の推移

MENA諸国の殆どは世界順位130位以下で低迷!)

(1)MENA全般の動き

(http://menarank.maeda1.jp/6-T02.pdf 参照)

 2013年から2017年までのMENA各国の世界順位の変化を見ると、今回MENAトップとなったイスラエルは順位が上昇傾向にあるとは言え世界180か国の下位グループにとどまっていることからも分かる通り、MENA20か国の中で過去5年間に100位以内だった国の数は2013年は1カ国(クウェイト)、最も多かった今回ですら3か国(イスラエル、チュニジア及びレバノン)にすぎず、殆どの国が100位以下である。さらにMENAの平均順位は5年間を通じて138位または139位であり、半数以上が140位以下、特にイラン、シリア、イエメンなどは世界の最下位グループにとどまっている。

 

 2011年のいわゆる「アラブの春」によりMENA諸国の報道の自由が進展するかに見えたが、実際には強権独裁政権が倒れた後、自由が確保されたのはチュニジアのみでありその他の国々はいずれも政治的混乱、更には内戦の勃発あるいは新たな強権政権の発足等によりむしろ報道の自由が脅かされる事態となっている。例えばリビアはカダフィ政権が倒れた後、各地の部族勢力が群雄割拠する状況で治安が極度に悪化しておりジャーナリストの安全が確保できない状況である。アルジェリアも国内の治安は良くならず自由な報道が妨げられている。シリア、イエメンなどは2013年以前から報道の自由度が世界最低水準にあり改善の兆しが見えない。

 

 そのような中でエジプトはムバラク政権が倒れたのちに新政権に就いたムスリム同胞団がわずか1年でシーシ軍事独裁政権にとって代わり現在では政治体制が安定した状況にある。軍事政権下で報道の自由が阻害されていることもあり自由度の世界ランクは低いままであるが、むしろ政治の安定がジャーナリストの安全を保障する形となり自由度が改善されると言う皮肉な結果になっている。

 

 またクウェイト、サウジアラビアなどGCC王政国家は、「アラブの春」の波及を畏れ、あるいはその後活動を活発化させているアル・カイダやIS(イスラム国)などの過激派テロの侵入を防ぐための報道管制を強めており、ジャーナリストの活動の自由が大幅に制限されている状況である。

 

 5年間で最も順位を下げた国はリビアで2013年の131位から2017年には163位と大幅に後退している。その他クウェイト(77位→104位)、カタール(110位→123位)サウジアラビア(163位→168位)など多くの国で報道の自由度が下落している。

 

(2)主要国の2013~2017年の推移

(http://menarank.maeda1.jp/6-G01.pdf 参照)

 ここではエジプト、サウジアラビア、イスラエル、カタールの4か国とMENA平均順位並びに米国及び日本の2013年から2017年までの推移を比較してみる。まず日本の場合2013年は世界53位で、その後も59位→61位→72位→72位と年々順位が下落している。米国は2013年の32位から2015年には49位まで下落、その後少し持ち直して40位台前半を維持しており、日本との格差は広がったままである。

 

一方MENA諸国の中ではイスラエルが上昇傾向にあり、2013年はカタールより低い112位であったがその後2014年に96位に上昇、2015年、2016年は101位にとどまったが、今回(2017年)は91位と過去5年間でもっとも高い順位である。これに対してカタールの自由度ランクは5年間を通じて毎年下がり続け、2013年の110位から2015年には110位台後半に、そして今回は123位に下落している。

 

MENAの平均順位は5年間を通じて138位または139位である。エジプトとサウジアラビアは共にMENAの平均を下回っている。エジプトの場合は2013年に166位であったが、2014年以降は150位台後半である。サウジアラビアは5年間を通じて160位台に張り付いているが、過去2年は160位台後半に落ち込み、長期的にはランクは下落傾向にある。

 

以上

 

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        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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2017年05月15日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0409MenaRank6.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その6)

 

掲載日:2017.5.15

前田 高行

 

(大きくランクアップしたイスラエル、ランクが落ちたカタール!)

3.2016年と2017年の自由度の比較

(http://menarank.maeda1.jp/6-T01.pdf参照)

 報道の自由度のMENAの世界平均順位は前回の138位に対して今回は139位であり殆ど変わっていない。MENAの中では前回世界101位であったイスラエルが今回91位にランクアップし、MENAトップである。イスラエルのように前回より順位を上げた国はイラン、イエメン及びリビアの3か国にとどまり、逆に順位が変わらなかった国と下がった国は17か国に達している。カタールは前回の117位から今回は123位に下がり、またアルジェリアも129位から134位に落ちている。サウジアラビア、バハレーンなどGCC各国も軒並み順位が1~3ランク下がっている。MENA19か国1機関の平均ポイントも昨年の48.03から今回は48.89に下がっており、MENA全域で報道の自由度が脅かされている状況である。

 

MENAの主要国の世界順位とポイントの変化を見ると、エジプトは世界順位159位→161位、ポイント54.45→55.78であり、またトルコは世界順位151位→155位、ポイント50.76→52.98、サウジアラビアは世界順位165位→168位、ポイント59.72→66.02といずれも報道の自由度が悪化する傾向を示している。これに対してイランは世界順位169位→165位、ポイント66.52→65.12と世界ランク、ポイント共に改善している。

 

 因みに日本は2016年のポイント28.67から2017年には29.44に悪化しているが、世界順位は昨年通りの72位である。なお米国は世界ランク41位から43位に下がり、中国は昨年と同様の176位であるがポイントは80.96から77.66にアップしており、報道の自由度がわずかながら改善したと評価されている。

 

(続く)

 

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