2017年05月11日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0409MenaRank6.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その6)

 

掲載日:2017.5.11

前田 高行

 

(MENAの世界平均順位は180カ国中139位!)

2.2017年版のMENA各国の「報道の自由度」ランク

(http://menarank.maeda1.jp/6-T01.pdf 参照)

MENA19カ国1機関(上記参照)の中で最もランクが高かったのはイスラエルであり、同国は世界180か国中の91位である。MENAトップとはいえ世界180か国の中では平均以下の下位グループにとどまっている。イスラエルに次ぐのがチュニジア(97位)及びレバノン(99位)でありこれら3か国以外のMENA諸国はすべて100位以下である。MENAの世界平均順位は139位と言う極めて低いものである。

 

MENA4位はクウェイトの世界104位であり、110位台にUAE(世界119位)、120位台にはカタール(123位)及びオマーン(126位)が続いている。MENA8位から11位までのモロッコ、アルジェリア、パレスチナ自治政府及びヨルダンの4か国が130位台に並んでいる。

 

中東の大国であるトルコは世界155位であり、同じく大国とされるエジプト及びイランはそれぞれ161位と165位である。そして世界最大の産油国として経済力を誇るサウジアラビアは180か国中の168位であり世界最低ランクと言えよう。MENAで最も自由度が低いシリアは世界177位である。

 

ちなみに世界で報道の自由度が最も高い国はノルウェーで上位の国の多くは北欧の国々である。日本は世界72位であり米国(43位)よりかなり低く先進国の中では評価が厳しい。なお中国は世界176位でシリアと同レベル、世界最低の180位は北朝鮮である。

 

評価ポイントで見ると世界1位のノルウェーは一桁の7.60であるのに対して(ポイントが低いほど自由度が高い)MENAトップのイスラエルが31.01、最も低いシリアは81.49、MENAの平均は48.89である。ノルウェーとMENA各国の格差は非常に大きいと言える。(参考:米国23.88、日本29.44、中国77.66)

 

RSFのレポートではポイントに応じて各国の自由度を下記の5つに分類し色分けをした世界地図を掲載している。

 

(1)白(薄黄)色:0~14ポイント(Good situation)

(2)黄色:15~24ポイント(Satisfactory situation)

(3)橙色:25~34ポイント(Noticeable problems)

(4)赤色:35~54ポイント(Difficult situation)

(5)黒色:55~100ポイント(Very serious situation)
PressFreedom2017rev2

この色分け地図では白(薄黄)色が最も自由度の高い国家群とされ、続いて黄色、橙色、赤色と移り、最後の黒色は報道の自由度が非常に深刻な状況にある国々とされている。これを見るとMENAの国々の多くは赤色であり、最低レベルの黒色もエジプト、サウジアラビア、イラン、シリアなど7か国に達している。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp



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2017年05月09日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0409MenaRank6.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その6)

 

掲載日:2017.5.9

前田 高行

 

 中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)

 

 アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、

 

 これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。

 

 第6回のMENAランキングは、ジャーナリストのNGO団体「国境なきレポーター(Reporters Without Borders)」(略称:RSF)が発表した「報道の自由度2017(Press Freedom Index 2017)」からMENA諸国をとりあげて比較しました。
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RSFホームページ:http://index.rsf.org/#!/ 

 

1.「World Press Freedom Index」について

 「国境なきレポーター(Reporters Without Borders)」は、1948年の世界人権宣言、及びこれに続く1950年の「人権と基本的自由の保護に関する会議」などで採択されたいくつかの憲章や宣言に触発され、各国の報道関係者が自発的に結成した非政府組織(NGO)である。フランスのジャーナリストが中心となって設立されたため、正式の組織名はReporters Sans Frontieresであり、その頭文字をとってRSFと略称され、本部はパリにある。

 

 RSFは、世界各国で取材妨害を受け、時には生命の危険に晒されているジャーナリストを保護し、その障害を取り除く活動を行っており、その一環として2002年から毎年、報道の自由度に関する各国のランク「報道の自由の指標(Press Freedom Index)」を公表してきた。この指標はRSFが作成した50項目のアンケートに対して、世界各地の表現の自由のための擁護組織団体及び多数のジャーナリストが回答した結果を集計したものである。

 

 2017年版Press Freedom Indexは世界180カ国の報道の自由度を指標化し、ジャーナリストに対する各国の対応ぶりを評価したものである。このため直近に報道の規制または記者の逮捕などの政府の取材妨害があった国、或いはジャーナリストが誘拐・殺害に遭った国についてはその年のランクが低くなる傾向がある。なお、RSF自身は、このランクは「報道の質」の良否を示すものではない、と断っている。

 

よく知られている通り2011年には多くのMENA諸国に「アラブの春」と呼ばれる政治変革の嵐が吹き荒れた。チュニジア、エジプト、リビア、イエメンなど各国で独裁体制が崩壊したが、エジプトではその後の選挙でイスラム勢力が政権を奪取したかと思うや、わずか1年後にはその揺り戻しとしての軍事独裁政権が復活しており、またシリアでは激しい内戦状態が続き、リビアやイエメンでも部族・宗派間抗争が多発するなど各国の政情はむしろ不安定の度合いを増している。このためMENA域内でのジャーナリストの活動が危険に晒される状況は一向に改善される気配が見られない。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

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