2017年07月12日

 

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
 http://mylibrary.maeda1.jp/0415SovereignRating2017July.pdf

2017.7.12

前田 高行

 

2.7月現在の各国の格付け状況

(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-01.pdf 参照)

今回の格付けは半年前と比べ独、スイス、シンガポールなどのトリプルA(AAA)の最高格付けの国々に変化はなく、また米、英、仏及び日中韓など極東アジア諸国も格上げあるいは格下げは無かった。一方、GCC産油国ではクウェイト、アブダビと並び高い格付けを得ていたカタールが格下げされ、またオマーンも前回までの投資適格ランクから投機的ランクに落ちるなどGCC6か国の中で格差が広がっている。

 

(最上位のドイツ、投資適格ぎりぎりのイタリア、低位にあえぐギリシャ)

(1)欧米諸国 (米英仏独など)

ドイツ、スイス、カナダ、オランダなどは引き続きトリプルAの最高格付けを維持している。経済力が世界一の米国の格付けはトリプルAより1ランク下のAA+である。そして英国とフランスはさらに1ランク低いAAであり、これは韓国あるいはクウェイト、アブダビと同格である。

 

独仏と同じEU諸国の中ではスペインはBBB+であるが、イタリアはBBB-であり、これは投資適格の中では最も低いランクである。そしてロシア、ポルトガルはイタリアより1ランク低いBB+で投機的とみなされており、財政再建中のギリシャは更に低いB-である。S&Pの定義では格付けBは「現時点では債務を履行する能力を有しているが、(中略)経済状況が悪化した場合には債務を履行する能力や意思が損なわれやすい」とされており、非常に厳しい評価である。

 

ギリシャと同様にかつて債務不履行寸前に転落したアイスランドはその後の財政改善が奏功し昨年後半と今年前半に相次いで格付けが上がり、現在の格付けは最上位のトリプルAから6番目のAに格付けされている。

 

(極東4か国の中で一歩抜け出した韓国、最も低い日本!)

(2)極東4か国(日、中、韓、台湾)

極東アジアの日本、中国、韓国及び台湾のうち最も高い格付けを得ているのは韓国のAAであり、これは英国、フランス或いはクウェイト、アブダビの中東湾岸産油国と同格である。中国と台湾はAA-である。これら3か国に対して日本はさらに1ランク低いA+の格付けにとどまっており、イスラエル或いはアイルランドと同格である。格付け定義ではAAは「債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(トリプルA)との差は小さい」とされている。これに対して格付けAは「債務を履行する能力は高いが上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい」と定義されており、日本に対する評価は厳しい。

 

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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drecom_ocin_japan at 21:28コメント(0) 

2017年07月10日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
 http://mylibrary.maeda1.jp/0415SovereignRating2017July.pdf

 

2017.7.10

前田 高行

 

1.ソブリン格付けについて

ソブリン格付とは国債を発行する発行体の信用リスク、つまり債務の返済が予定通りに行われないリスクを簡単な記号で投資家に情報提供するものである。「ソブリン格付け」は、英語のsovereign(主権)に由来する名称であり、国の信用力、すなわち中央政府(または中央銀行)が債務を履行する確実性を符号であらわしたものである。ソブリン格付けを付与するにあたっては、当該国の財政収支の状況、公的対外債務の状況、外貨準備水準といった経済・財政的要因だけでなく、政府の形態、国民の政治参加度、安全保障リスクなど政治・社会的要因を含めたきわめて幅広い要因が考慮される。

 

このようなリスク情報を提供しているのが格付け会社であり、全世界には多数の格付け会社があるが、その代表的なものはStandard & Poors(S&P)Moody’s 及びFitchRatingの3社である。3社で世界のシェアの9割を占めており、特にS&PMoody'sは各々40%前後のシェアを有している。

 

格付け3社はそれぞれ独自の格付け記号を用いており、S&Pでは最上位のAAAから最下位のCまで9つのカテゴリーに分けている。これら9段階のうち上位4段階(AAAからBBBまで)は「投資適格」と呼ばれ、下位5段階(BBからCまで)は「投資不適格」又は「投機的」と呼ばれている。なおAAからCCCまでの各カテゴリーには相対的な強さを示すものとしてプラス+またはマイナス-の記号が加えられている。カテゴリーごとに詳細な定義が定められているが、S&Pの定義では最上位のAAAは「債務を履行する能力が極めて高い」とされ、一方最も低いCは「債務者は現時点で脆弱であり、その債務の履行は良好な事業環境、財務状況、及び経済状況に依存している」である。

S&Pの格付け定義については下記参照:

http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-02.pdf

 

本レポートは3社の中で最もよく知られているS&Pのソブリン格付けに基づき、日米欧の先進国の他、中国、ブラジル、ロシアなどの新興国並びにMENA諸国および主要な発展途上国を取り上げた。レポートは毎年1月1日または71日時点の格付け状況について前回の格付けと比較しており、今回は2017年7月1日現在の格付けを取り上げて各国を横並びで比較し、同時に各国ごとに前回(2017年1月1日)の格付けと比較して半年の間のソブリン格付けの変化の状況を解説する。また今回はGCC6か国及び日本、米国、英、独、ロシアなど世界9か国について2014年7月以降の3年間にわたる格付けの推移を比較している。

 

*これまでのレポートは下記ホームページ参照。

http://mylibrary.maeda1.jp/SovereignRating.html 

 

(続く)

 

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drecom_ocin_japan at 15:31コメント(0) 

2017年07月06日

MENAなんでもランキング・シリーズ その4)

 

2017.7.6

前田 高行

 

() 2011-2016年のFDIインバウンドの推移(続き)

(底を脱したイラクへの投資!)

b)主要6カ国の動向

(http://menarank.maeda1.jp/4-G01.pdf 参照)

2011年から2016年までの過去6年間のFDIインバウンドについてサウジアラビア、トルコ、イスラエル、イラン、エジプト及びイラク6カ国の推移を見ると以下のような特徴を指摘することが出来る。

 

2011年のFDIインバウンドはそれぞれサウジアラビア(163億ドル)、トルコ(161億ドル)、イスラエル(87億ドル)、イラン(43億ドル)、イラク(19億ドル)、エジプト(マイナス5億ドル)であり、サウジアラビアとトルコが飛び抜けて多くエジプトは還流が流入を上回る純減の状況であった。その後トルコは6年間を通じてコンスタントに100億ドル台のFDIインバウンドがあったが、サウジアラビアは減少傾向となり2013年に100億ドルを切り、2016年は75億ドルと6年前に比べ半減している。

 

これに対してイスラエルはここ2年間120億ドル前後の投資流入がありトルコと肩を並べている。「アラブの春」騒乱の直撃を受けたエジプトは2011年に大きく落ち込み引き揚げ額が新規流入額を上回りFDI インバウンドは純減(-5億ドル)となったが、2012年から2014年には50億ドル前後まで回復、2015年69億ドル、2016年81億ドルと順調に伸び、サウジアラビアを上回るFDIインバウンドを記録している。軍事クーデタにより発足したシーシ政権により漸く経済環境が安定化し、外国投資家の信頼が回復しつつあるものと見られる。

 

 2011年に43億ドルであったイランのFDIインバウンド額は2012年に47億ドルまで増加したがその後は低迷、2014年、15年は21億ドルにとどまっており2016年も34億ドルと5~6年前の水準に達していない。いずれにしても同国への投資流入額は他の国に比べ非常に少ない水準である。最近経済制裁が解除され資源開発はじめ同国への外国企業の参入が活発化しており、今後インバウンド投資額は増加することが期待される。イラクの場合は、2011年および2012年は純増であったが、2013年以降昨年までの4年間のFDIインバウンドは外国投資の還流が止まず、2014年の、マイナス100億ドルを筆頭に毎年多額の外国投資が引き上げる状況が続いている。同国北西部でイスラームテロ組織IS(イスラーム国)が勢力を握るなど国内の治安が安定しないことが最大の理由である。

 

(続く)

 

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