2017年08月03日

(注)本シリーズは「マイライブラリ(前田高行論稿集」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0418MenaRank4.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その4)

 

2017.8.3

前田 高行

 

() 2000-2016年末のFDIアウトバウンド残高の推移

(まだまだ少ないが徐々に存在感を増すMENAからの対外投資!)

(a)MENAFDIアウトバウンド残高

(表http://menarank.maeda1.jp/4-T08.pdf 参照)

 2000年末のMENAFDIアウトバウンド残高は合計272億ドルであったが、世界全体に占める割合は0.4%であり、外国直接投資(FDI)の出資国(FDIアウトバウンド国)としての存在感は殆どなかった。その後FDIが世界的規模で拡大する中でMENA諸国の投資額は世界の伸びを上回って増加、2010年末の対外投資残高は2,612億ドルとなり、2012年末には3千億ドルを超え、2016年末の残高は4,962億ドルに達して全世界に占める割合も1.9%となりMENAの対外投資における存在感も少しずつ高まっている。因みに2016年末のMENAの対外投資残高は中国(1兆2,800億ドル)の4割弱であり、日本(1.4兆ドル)の3分の1、米国(6.4兆ドル)の13分の1である。

 

(トップを走り続けるイスラエルを追い抜いたUAE!)

(b)主要6カ国のFDIアウトバウンド残高の推移

(http://menarank.maeda1.jp/4-G05.pdf 参照)

2016年末のFDIアウトバウンド残高上位6カ国(UAE、イスラエル、サウジアラビア、カタール、トルコ及びクウェイト)について2000年以降の残高の推移を見ると、2000年の対外投資残高は最も多いイスラエルが91億ドル、それに次ぐサウジアラビアが53億ドル、トルコ37億ドルであり、UAE、カタール、クウェイトの湾岸産油国の残高は20億ドル未満にとどまり、カタールはわずか1億ドル弱に過ぎなかった。

 

その後2010年末には6か国とも残高は100億ドルを超え、イスラエルとUAE両国の残高は500億ドルを突破している。その他の国の残高もクウェイト282億ドル、サウジアラビア265億ドル、トルコ225億ドル、カタール125億ドルと急増、特にUAE、クウェイト、カタールの湾岸産油国は20倍~100倍の急激な拡大を見せている。

 

2010年以降はクウェイトが年ごとに浮き沈みはあるものの、6カ国とも増加傾向にあり、2016年と比較するとカタールは4.1倍、サウジアラビアとUAEは各々3.0倍、2.0倍と2倍以上の伸びを示している。イスラエルとUAEは2010年以降MENAの1位と2位を占め、MENAの中で突出する状況が続いている。ただ両国を比較すると2014年までは両国は同じように増加を続けていたが、2015年にはUAEの残高が874億ドルに急増し、2016年にはイスラエルを抜いてMENAのトップに躍り出ている。

 

サウジアラビアとカタールも躍進が目覚ましく、カタールの場合1億ドル未満に過ぎなかった2000年末の投資残高が2010年には125億ドルに急成長、さらに2016年末の残高は512億ドルと6年間で4倍に増えている。

 

クウェイトのアウトバウンド投資残高はここ数年停滞しており2013年の402億ドルをピークに減少し続け、2016年末の残高は313億ドルと2010年末の水準に近い。トルコの場合は2010年末の225億ドルから2015年末の447億ドルまで毎年順調に残高が増加していたが、昨年は380億ドルにとどまり2010年以降初めて減少している。

 

以上

 

MENAなんでもランキング・シリーズ4 海外直接投資 完)

 

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        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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drecom_ocin_japan at 13:58コメント(0)MENA 

2017年08月02日

(注)本シリーズは「マイライブラリ(前田高行論稿集」で一括してご覧いただけます。
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MENAなんでもランキング・シリーズ その4)

 

2017.8.2

前田 高行

 

4.FDI Outward Stock(FDIアウトバウンド残高) 

(UAE・イスラエルの2強とそれに続くサウジアラビア!)

(1)  2016年のFDI Outward Stock(FDIアウトバウンド残高) 

(表http://menarank.maeda1.jp/4-T07.pdf 参照)

 2016年末のMENA19カ国及び1機関(パレスチナ自治区)FDI Outward StockFDIアウトバウンド残高)は4,962億ドルである。全世界の対外投資残高26兆ドルに占める比率は1.9%でMENA各国の対外投資は他の地域に比べて低い水準にとどまっている。

 

 FDIアウトバウンド残高が最も多い国はUAEの1,113億ドルであり、これに次ぐのがイスラエルの1,021億ドルで投資残高が1千億ドルを超えるのはこの2か国だけである。第3位はサウジアラビアの804億ドル、第4位はカタールで同国のアウトバウンド残高は512億ドルである。残高が500億ドルを超えるこの4カ国でMENA諸国全体の残高の7割を占めている。これら4か国の残高はいずれも前年末を上回っており対外投資が引き続き活発であることを示している。

 

これら4か国に次ぐのがトルコ(380億ドル)、クウェイト(313億ドル)であるが両国はいずれも昨年より減少しており、特にトルコの減少幅は66億ドルに達する。7位以下はリビア(206億ドル)、バハレーン(148億ドル)、レバノン(135億ドル)と続き10位のオマーン以下は100億ドル未満である。

 

上位10か国のうち6カ国(UAE、サウジアラビア、クウェイト、カタール、バハレーン、オマーン)はGCC加盟国であり、2000年以降の原油価格高騰により生まれた豊富なオイルマネーが外国投資に振り向けられた結果と言えよう。なおクウェイトの場合、FDIインバウンドは単年度及び累積残高ともMENA諸国の中でも低いレベルにとどまっているのに対し(1、3章参照)、FDIアウトバウンドは単年度ではMENA4位(その2参照)、残高では6位であり、オイルマネーが継続的に国外に向かっていることを示している。

 

残高が100億ドル未満の国は、オマーン(84億ドル)、エジプト(72億ドル)、モロッコ(54億ドル)、イラン(37億ドル)、イラク(24億ドル)、アルジェリア(19億ドル)等があり、イエメン、ヨルダン、パレスチナ自治政府、チュニジア及びシリアは投資残高が10億ドル未満である。

 

 なお日本、米国、中国のアウトバウンド残高は各々1.4兆ドル、6.4兆ドルおよび1.3兆ドルであり、日本、中国はMENA1位のUAEの10倍、米国は約60倍である。

 

(続く)

 

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drecom_ocin_japan at 17:31コメント(0)MENA 

2017年08月01日

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MENAなんでもランキング・シリーズ その4)

 

2017.8.1

前田 高行

 

() 2000-2016年末のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高)の推移(続き)

(MENAで唯一残高2千億ドル以上を続けるサウジ!)

(b)主要4カ国のFDIインバウンド残高推移

(http://menarank.maeda1.jp/4-G04.pdf 参照)

 2000年以降のFDIインバウンド残高の推移はMENA各国で大きく異なるが、ここでは地域における主要な投資受入国4カ国(サウジアラビア、トルコ、UAE及びエジプト)について、2000年及び2010-16年の各年末の残高の推移を概観してみる。

 

2000年末の4か国の残高は、エジプト200億ドル、トルコ188億ドル、サウジアラビア176億ドル、UAE11億ドルであり、UAE以外の3か国はほぼ同じ水準であった。大きく動き出したのは2000年台に入ってからであり、2010年末になるとサウジアラビアの残高は2000年の10倍1,764億ドルに増加、またトルコはサウジアラビアをしのぐ1,877億ドルに達している。2000年末に11億ドルにすぎなかったUAEは60倍の639億ドルとなっている。

 

トルコは2010年以降は増減を繰り返し1,500億ドルを上下しており、2016年の残高は1,329億ドルである。これに対してサウジアラビアは2010年以降一貫して残高を増やしており、2013年以降は残高2千億ドル以上を続け、MENA諸国の中で飛び抜けた水準を維持している。

 

2010年末に639億ドルであったUAEの残高はその後も漸増し、2016年末は1,179億ドルを記録している。UAEでは2008年のリーマン・ショック後、ドバイへの投資が低迷したが、UAE全体としての投資残高が減ることはなかった。但し油価の下落に伴い一昨年後半からは投資が鈍る傾向にあり、残高は頭打ちの状況である。

 

エジプトの2000年末残高は200億ドルでトルコ、サウジアラビアをしのぎMENAではイスラエルに次ぐ大きさであった。2000年以降の同国の残高は2010年まではUAEと肩を並べるペースで成長してきたが、それ以降は増加が鈍っており、特に2010年から2012年までは700億ドル台前半で足踏み状態を続け、昨年以降漸く増加の兆しが見えてきた。2016年は1,023億ドルと残高が初めて1千億ドルを超えた。同国の政治はムバラク政権崩壊からムスリム同胞団によるムルシ政権、さらにはシーシ軍事独裁政権の復活とめまぐるしく変動して経済も大きく悪化したため外国からの投資が停滞した。しかし2014年後半は政情が安定、それに伴って外国(特に湾岸諸国)からの投資は活発であり残高が上向く兆候が見られる。

 

(続く)

 

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drecom_ocin_japan at 09:22コメント(0)MENA 
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