2005年06月

2005年06月19日

6/19 Khaleej Times (UAE)
 GCCは自動車の耐用年数を共通化する作業にとりかかる。先週アブダビで行なわれた6カ国担当者会議で、耐用年数を乗用車5年、バス7年、トラック15年とする案が決定された。同決定はGCC Specification Authorityで検討された後、GCC6カ国内相会議に付託される。
 これはGCC各国で増加する不良整備車を追放するためであり、耐用年数を越えた中古車の輸入禁止・登録停止、整備不良車の課税などが検討されている。

コメント:
 車検制度の無いGCC諸国では多数の整備不良の中古車が走っており事故や排気ガスによる大気汚染の原因となっている。これら中古車は日本などから輸入され、ドバイにはDUCAMZと呼ばれる中東最大の中古車市場がある(中東経済を解剖する:中本健一氏「アラブ首長国連邦(UAE)中古車市場の研究」参照)。中古車の顧客は新車を買う余裕の無い出稼ぎ労働者であるが、何年もの間殆ど未整備のまま乗り続けている。また整備工場も技術レベルが低く悪質業者も少なくない。
 このため日本の自動車メーカーはサウジアラビアで地元ディーラーと共同で自動車整備士養成学校を開設するなどの対策をとっている(5/25 本ブログ「日サ経済技術協力のシンボルSJAHIの現況」Arab News参照)。


at 20:47GCC 
6/19 Gulf Times (Qatar)
 カタールのドーハで開催された開発途上国会議「G77+中国サミット」は16日に閉幕した。会議は南・南協力の重要性を訴えた。開催国のカタールは「開発及び人道支援のための南基金」に2千万ドルを拠出し、インド、中国も2百万ドルを拠出する。
 議長は先の先進国会議でアフリカ最貧国に対する債務免除が決議されたことを評価したが、その他の貧しい国に対しても配慮するよう要望した。また1970年代に設定されたが未だに達成されていない目標(開発途上国向けODAをGNPの0.7%とする)を実行し、特に最貧国にその0.15-0.2%を振り向けるよう提案した。


at 20:15Qatar 

2005年06月16日

6/16 OPEC Press Release
OPECは6/15ウィーンで第136回臨時総会を開き、現行生産枠2,750万B/Dを2,800万B/Dに増加し、7/1から実施することを決定した。会議は世界の原油価格がなお高い水準にあり、これは精製能力不足に一因があると判断し、精製産業界及び消費国政府を含め関係者が早急な精製能力増強を図るよう呼びかけた。
 なおOPECバスケット価格(OPEC Reference Basket of Crudes, ORB)算定方式をOPEC全加盟国の主要油種11種に変更することを決定した。また6/9にブリュッセルで行なったOPEC/EUのエネルギー対話を継続することを確認した。
  次回のOPEC総会は9/19にウィーンで行なう。

コメント
 OPECが3月に続いて再度50万B/Dの増産を決定した。歴史的な高水準にある原油価格を抑えるための措置であるが、OPEC各国は既に生産枠を上回る生産を続けており今回の決定は現状追認に過ぎず価格下落には結びつかないとの市場の観測もある。と同時に市場は、これ以上の増産が可能であるOPEC加盟国はサウジアラビアのみであるとの見方でも一致している。
 サウジアラビアのナイミ石油相は同国の生産は950万B/Dであるが、更に150万B/D可能であると言明している(6/12 Arab News本稿記事参照)。原油増産に関してはクウェートが北部イラク国境付近の油田開発、いわゆるProject Kuwait、を本年中に着手する意向を表明しており(6/9 Kuwait Times本稿記事参照)、また原油供給不足の一因であるイラクの原油生産出荷能力回復のため日本の石油資源開発、アラビア石油がイラク石油省と技術協力協定を締結(6/15本稿記事参照)するなど、OPEC各国は長期的な生産増強に取り組んでいる。
 今回の臨時総会で精製能力の増強を呼びかけていることは注目に値する。これは産油国による消費国での合弁精製事業の展開を加速させることになるであろう。例えば最近ではUAEが中国とエネルギーに関するMoUを締結(6/15 Khaleej Times本稿記事参照)、クウェート国営石油による韓国SKグループの支配(5/24 Gulf Times本稿記事参照)、サウジのAramcoがインド国営石油会社とMoUを締結(3/30 Arab Times本稿記事参照)など枚挙にいとまがない。


at 10:23Oil 
6/15 AOC Holding記者発表
AOCホールディング傘下のアラビア石油はイラク石油省と技術協力覚書を締結した。両者は一両日中に第1回の共同運営委員会を開催し協議する予定であるが、協力内容はイラク南部の原油出荷設備能力増強、イラク人技術者の日本での研修、イラク南部のツーバ油田の開発計画策定などである。

コメント:
今回の対イラク石油協力は先の石油資源開発記者発表(4/27)とほぼ同じ内容であり二番煎じの感は否めない。しかし世界的な原油高の原因の一つとしてイラクの原油生産が回復しないことが挙げられている。昨日のOPEC会議では50万B/Dの増産を決議していることを考慮すると日本の対イラク協力案件の一つとしての意義は深い。
 イラク復興事業で電力、水、各種産業プラントの復旧など日本の民間企業の出番は多いが、治安が一向に良くならず企業は二の足を踏んでいる。日本は自衛隊を派遣して復旧支援を行なっているが、自衛隊の支援活動はサマワ近辺に限定されており税金を納める国民の目が厳しくなる一方である。と言って民間企業が現地に乗り込める状況にはない。
 従って政府としては経産省出身者がトップであり、政府の意向を汲みやすい立場にある上記石油開発企業2社を民間の対イラク支援の先兵としたものと考えられる。また協力事業を日本で行なうことは、誘拐などの現地テロ問題を回避するための措置であろう。(これは外務省・JICAが隣国ヨルダンで「第三国協力」としてイラク支援を行なっているとの同じ図式である)石油資源開発(SK)とAOCホールディングの記者発表を比べると、両社の事業分担はSKが探鉱開発、アラビア石油が出荷設備増強である。海外での両社の実績を考えるとこの分担は妥当なものと考えられる。


at 09:30Oil 

2005年06月15日

6/15 Khaleej Times (UAE)
 UAEと中国はエネルギー分野の二国間協力を推進するためのMoUを締結した。MoUはUAEを訪問中のZen Peiyan(Vice Premier of State Council)とハムダーンUAE副首相兼外相立会いのもとに、ADNOC・CNPC間で締結された。
 ハムダーン副首相は、今後数年以内に世界最大のエネルギー消費国となる中国の需要にUAEが応えることができると述べ、また中国企業がUAEの石油プロジェクトへの参画を希望している、と語った。


at 21:27UAE(Abu Dhabi, Dubai) 
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