2006年10月

2006年10月30日

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(サウジ)Foster Wheeler, Moneefa油田開発のFEED契約を受注
(イラク)石油相訪中、フセイン旧政権時代の開発契約を復活へ *

*イラク石油相訪日時に調印された「日・イラク、石油協力コミュニケ」参照

at 09:02Today's News 

2006年10月29日

at 13:10Today's News 

2006年10月24日

(お知らせ)
本シリーズは「中東と石油」の「A-02 カタールとサーニー家:金持ちだからできること、小国だからできないこと」で一括全文をごらんいただけます。

(これまでの内容)
(第1回) はじめに
(第2回) アル・サーニー家の歴史 - 「親から子」への継承ルールを明文化
(第3回) 天然ガスで繁栄を約束されたカタル
(第4回) 内閣と王族:閣僚の過半数が王族
(第5回) 民主主義のシンボル:アル・ジャジーラTV


(第6回) 国威発揚のシンボル:国際イベントの誘致
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 人口が少なくGCC6ヶ国の中では最後発国であるカタルは、これまで地味で目立たない国であった。しかし1993年に世界最大規模の埋蔵量を誇る天然ガスの開発に着手し、1998年、日本向けに最初のLNG(液化天然ガス)輸出が開始されるようになってから、同国は世界の注目を集めるようになった。特に環境負荷が少ないエネルギーとして天然ガスが人気を集めている近年は、輸出に一段と拍車がかかり、同国には膨大なドルが流れ込んでいる。

 カタルは有り余るドルで空港や道路、電力などのインフラを整備し、超一流のホテルを建設している。人口わずか70万人、しかもその大半は出稼ぎの外国人労働者であり、自国民がわずか30万人弱のため、国内市場はたかがしれている。しかも国土の殆どは何も無い砂漠である。従っていかにインフラを整備しても天然ガスとその関連産業以外の産業が発達する必然性は乏しい。勿論外国企業の進出もエネルギー関連以外では殆ど期待できない。ただ豊かな財政のお陰で国民は税金も無く、しかも教育・医療などの公共サービスを無料で享受しており、失業など深刻な問題は全く見られない。また国民階層の間には隣国のバハレーンのようなシーア派とスンニ派といった宗教の対立も無い。まさに現代のカタルは国中が繁栄に浮かれている。

 一人当たり国民所得は世界でもトップレベルであり、またS&Pのソブリン(A+)やMoody’sの外貨建てシーリング(A1)が示すように発行格付けランクもGCC6カ国の中では最高である。しかしカタルの国民や国家がいかに豊かであっても、それだけで国際的な名声を博することはできない。エネルギー問題ではサウジアラビアが常に世界的に注目されており、また湾岸のオイル・ダラーを運用する金融機能ではバーレーンの歴史と経験が光っている。さらに早くから空港、港湾そして自由貿易特区(フリー・トレード・ゾーン)を整備したUAEのドバイは中東のみならず中央アジアや東アフリカまでカバーする物流拠点として押しも押されもせぬ地位を築いている。カタルはそれら全ての面で後発国である。今、同国は資金力にまかせてこれら近隣GCC諸国に追いつこうとしている。金さえかければ設備というハードを整備することはそれほど困難ではない。と言うより黙っていても外国、特に英米のコンサルタントが魅力的な開発プランを提供し、その背後には世界中のゼネコンが群がり、超近代的な設備が次々と完成しているのが現在のカタルの姿であろう。

 そのような中でカタルの国際的な知名度を上げる手っ取り早い方法、それが国際イベントの誘致なのである。立派な国際会議場とホテルさえあればどのような国際会議でも開くことができ、また巨大な競技場を作れば国際的なスポーツ・イベントを開催することができる。会議や競技会の運営に必要なノウ・ハウは欧米の専門のプロモーターに外注すれば良い。つまり金さえあれば国際イベントは手軽に開催でき、カタルの国威発揚につながるのである。

 こうしてカタルは1997年の第4回中東・北アフリカ(MENA)サミットを皮切りに次々と国際的なイベントを誘致してきた。大きなイベントだけを取り上げても、MENAサミットの他、2001年にはWTO閣僚会議(ドーハ・ラウンド)を開催、そして今年12月にはスポーツの祭典アジア競技大会が開かれる。湾岸地域のビジネス関連の会議など中小のイベントはそれこそ枚挙にいとまがない。実はカタルは、東京が目指している2016年のオリンピック開催地にも立候補しようとしているのである。12月のアジア競技大会が成功すれば、オリンピック開催への夢に一歩近づくことになろう。

 内政に殆ど問題らしい問題がないハマド首長は、カタルの国際的な地位の向上に情熱を傾けており、モーザ王妃と夫唱婦随で活発な外交を展開しているが、このような国際イベントは、彼らのプレゼンスを高める絶好の機会でもある。

 しかしカタルで開催されたこれまでの二つの大型国際会議、即ちMENAサミット及びWTO閣僚会議は、客観的に見た場合、外見としては無事開催されたものの、実質的な中味として成功とは言い難いものであった。クリントン大統領時代の1997年のMENAサミットは、中東和平の機運が生まれたと判断した米国が、イスラエルの参加を強引に押し付けた結果、サウジアラビアを初めとする主だったアラブ諸国が会議をボイコットし、無残な結果に終わった。参加者が殆どいない会議のひな壇に米国のオルブライト長官(当時)が憮然とした表情で座っている報道写真は印象的であった。また2001年のWTOドーハ・ラウンドは、9.11テロの直後であったため、カタルでの開催が危ぶまれ、シンガポールが代替開催国として名乗りを上げた。しかし、ハマド首長は国家の威信にかけて開催を強行、会議に反対するNGO団体はカタルへの入国を拒否され、ドーハ市内は戒厳令に近い厳重な警備体制が敷かれ、会議参加者は缶詰状態でホテルと会議場を往復したのである。会議そのものはドーハ・ラウンドとしての決議を採択したが、その後の動きが示すようにWTOは今や完全に閉塞状況にあると言えよう。

 MENAサミットにしろWTOにしろ、会議の成果にカタルの直接の責任がある訳ではない。しかし見方を変えれば、カタルには主催国として会議を成功に導くような力量はなかった、と言えないだろうか。通常、国際的な会議を自国で行う場合は、主催国は面子にかけても何らかの成果を出すべく、会議の表舞台、裏舞台を問わず必死の努力をするものである。しかしカタルには参加国を説得するだけの力量がなく、それは所詮小国の限界でもあろう。カタルの国際会議誘致は、単なる「貸し席業」にすぎず、カタルの名前を世界に売り込むことが最大の眼目であると言わざるを得ない。金持ちだからできること、小国だからできないこと。その意味で、カタルの国際イベント誘致は、あくまでも同国の国威発揚のシンボルなのである。

(第6話 完)


(今後の予定)
7.活躍する女性のシンボル:モーザ王妃
8.自国民わずか28万人なら西欧流民主主義は不要?
9. 課題はRentier(金利生活)国民のMotivation、倫理観の維持
10.金持ちだからできること、小国だからできないこと


at 10:04Qatar 
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(クウェイト)報道の自由度は世界167ヵ国中85位、それでもMENAでトップ。

at 09:20Today's News 
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