2007年04月

2007年04月26日

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(一般)S&Pとモルガン・スタンレーがGCCのイスラム金融インデックスを開始


at 10:39Today's News 

2007年04月25日

2007年04月23日

第4回:原発実現に横たわる数々の障害

 サウジアラビアが核利用による原子力発電を行い、あわせて海水淡水化プラントを建設するためには数々の障害がある。最大の障害は米国など既に核兵器を保有している核先進国による干渉であろう。これら核先進国は後発国の核利用が核兵器開発へとエスカレートすることを強く懸念している。核保有国は「核の平和利用」を信用していないのである。

map.gif そのような中で地域の大国イランは国際社会、特に米国の反対を押し切って核濃縮を強行しようとしている。一方、核兵器を保有していることがほぼ確実と言われる軍事強国イスラエルは、周辺国の核利用に神経を尖らしている。イランとイスラエルに挟まれたサウジアラビアが核利用計画を打ち出したことは、地域に新たな緊張の芽を作り出すことになる。歴史的に見ればイランとサウジアラビアはペルシャ民族とアラブ民族という緊張関係を抱えており、また最近ではシーア派とスンニ派という宗教的な緊張も高まっている。サウジアラビアの核利用計画がイランに対抗するためである、とする欧米マスコミの論調はこの点をとらえたものである。

 しかしイスラエルの反応についても留意する必要があろう。かつて同国はイラクの原子力発電所をミサイル攻撃し、建設を断念させたことがある。イスラエルはイラクの原発がフセイン大統領(当時)による核兵器開発の隠れ蓑であると主張、従って「先制攻撃こそ最大の防御」と言うイスラエル得意の戦略を実行したのである。イスラエルにとってサウジアラビアは同じ親米国家であるが、所詮敵対するアラブ諸国の一つに過ぎず、気の許せる相手ではないであろう。

 このようにサウジアラビアの核利用計画に対するイラン及びイスラエル両国の疑念は晴れない。サウジアラビアも両国の考えは十分に承知しており、そのため核利用をGCC6カ国の共同計画とし、サウジアラビア1カ国のみによる計画ではないことをことさら強調している。

 しかしサウジアラビア以外のクウェイト、UAE、カタル、オマーン、バハレンのGCC各国は核利用に熱心ではない。これらの国々はいずれも人口数百万人の小国であり、しかもアラビア(ペルシャ)湾を隔ててイランに対峙しており、同国を刺激する核利用計画にはためらいがある。ましてバハレン、オマーンは原発を建設するだけの経済的余裕すらない。中にはクウェイトやUAEのように原発建設に言及する国もあるが、どこまで本気であるか疑わしい。

 急増する電力・水需要に対応するため、サウジアラビアが発電所及び造水プラントを早急に建設しなければならないことは明らかである。しかしそのためのエネルギー源として核燃料を利用することが果たして経済的に見て賢明な選択かどうかは甚だ疑問である。現在、同国の発電及び造水プラントは石油生産に伴って産出する随伴ガスを燃料としているが、同国には豊富な石油及び天然ガスがあり、燃料コストは問題にならない。因みに日本の場合、1kWhあたりの発電コストは原子力が5.9円、LNG火力6.4円、石油火力10.2円で、原子力発電が最も安価であるとされているが 、これらは輸入に頼っている燃料コストの差であり、サウジアラビアでは事情が全く逆であると考えられる。

 しかも原子力発電所を新設するためには、外国に高い技術料とプラント建設費用を払わなければならない。また技術的に見れば随伴ガスを燃料にすればガスタービンと蒸気タービンを併用するいわゆるコンバインド・サイクルにより高い発電効率が得られるが、原発では蒸気タービンのみの発電方式となり効率が悪い。さらに原発はその性格上、人口密集地を避けて僻地に建設せざるを得ないが、豊かな都会生活に馴れたサウジ人には魅力の乏しい職場であり、サウジ人の雇用効果はあまり期待できそうにもない。

 結局、サウジアラビアの核利用計画は、対外的に数々の障害を抱え、なおかつ経済的に見ても投資効率が悪く雇用効果の乏しいプロジェクトといって間違いなさそうである。

(次回に続く)

(これまでの内容)
第3回:最終目標は原発による発電・海水淡水化プラント建設
第2回:イラン核疑惑問題の最中に敢えて打ち出した真意
第1回:核の共同研究を打ち出したGCCサミット

(今後の予定)
第5回:サウジ政府が考える原発建設の意義―欲しい名声
第6回:もしサウジに原発を造るなら―紅海沿岸に仏の技術協力で


at 16:51Saudi Arabia 
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