2007年11月

2007年11月30日

at 09:58Today's News 

2007年11月29日

1.はじめに:

 原油価格の急騰により石油(或いは天然ガス)輸出国には巨額のオイルマネーが発生している。「オイルマネー」とは通常、産油国の石油輸出額から輸入額を差し引いた資金、または国際収支上の経常黒字額を指す。石油貿易がドルで決済されていることから別名オイルダラーとも呼ばれる(以下本稿では石油のほか天然ガス・LNGを含めた余剰マネーの総称とする)。

 オイルマネーそのものは第一次・第二次オイルショック後の1980年代に発生し、クウェイト、アブダビではオイルマネーを運用する専門の投資機関(クウェイト投資庁及びアブ・ダビ投資庁)が生まれ、各投資庁の中に一つ或いは複数の投資基金(ファンド)を設けて外国資産に投資したのである。このように政府資金を運用する機関或いはファンドは「ソブリン・ウェルス・ファンド」(Sovereign Wealth Fund, 略称SWF)と呼ばれ、日本語では「政府系ファンド」又は「国富ファンド」と訳されている。

 ごく最近まで産油国のSWFの殆どは米国政府債などの安定したドル建ての金融商品に投資してきたため、国際金融市場で注目を集めることは少なかった。しかしここ数年余剰オイルマネーがかつてないほど大規模に膨れ上がり、しかもドル安、金利安も重なったため、米国偏重の従来の投資ポートフォリオでは運用先も限られ、また運用の実績もあがらなくなった。そこで産油国のSWFは投資先を米国以外のヨーロッパ、アジア等に目を向けるようになり、また投資分野も安定した債権などの間接投資から、リスクはあるがリターンの大きい株式や不動産さらにはM&Aなどの直接投資(foreign direct investment, FDI)にファンドの一部を振り向ける方針に転換しつつある。その結果金融界における産油国SWFの存在感が高まっている。

 このシリーズではGCC諸国の中でSWFとしての投資庁(Investment Authority)を有するカタル、アブ・ダビ及びクウェイトの3首長国を取り上げ、それぞれの組織の形態、投資の規模及び最近の投資状況を概観する。さらに投資庁と呼ばれる独立組織はないが、中央銀行であるSAMA(Saudi Arabian Monetary Agency)がその機能を果たしているサウジアラビアについても言及する。なおドバイは石油産出量が少なく自らのオイルマネーを持っていないため「SWF=国富ファンド」と言えるものはないが、周辺産油国のオイルマネーを吸収したドバイ政府のファンドは、首長の意思を明確に反映した「SWF=政府系ファンド」である。そのためドバイの政府系ファンドも本レポートで取り上げることとする。

 但し予めお断りしなければならないのは、これらのSWFはいずれも殆ど情報開示が行われておらず、特に運用資産の規模及び具体的な投資先・投資額などは一切秘密のベールに閉ざされており、事実関係の把握が極めて困難なことである。本レポート中の数字等は全て湾岸各国のインターネット新聞のニュースから拾い集めたものであるが、これらのニュースは世界の著名な金融機関が発表した推定値を引用している。従ってデータの出所が示されている場合はできる限りそれを付記した。

本レポートはメディアのニュースを断片的に集めてまとめただけのものであるため、内容に整合性を欠き或いは事実と異なる部分が多々あることをご容赦ください。なお情報の欠落部分等について皆様方からご教示いただければ幸いです。

(次回予定)その2:カタル投資庁(QIA)

以上

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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