2008年07月

2008年07月31日

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2008年07月30日

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(ドバイ)スーパージャンボA380がドバイ空港にお目見え
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2008年07月29日

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2008年07月24日

その3:湾岸統治者のシグナル:ルック・イースト
 「ルック・イースト(Look East)」とは文字通り「東方の国を注視しよう」の意味であり、ここでは中東の湾岸諸国がこれまでの政治・経済全般にわたる西欧の影響力を薄め、ユーラシア大陸の東方国家との関係を重視しようと言う政策である。「中東」は「Middle East Asia」の略称であり、そもそも西欧が東方のアジア諸国を地理的な近さの順番に言い習わしたことに起因している。中世ヨーロッパ人たちはトルコのボスポラス海峡以東をアジアとみなし、最も近くを「近東(Near East Asia)」、少し先のアラビア半島からペルシャ(イラン)を「中東」と定義した。そしてユーラシア大陸の東端にある中国、朝鮮半島そして日本を「極東(Far East Asia)」と呼び、これが現代の地政学にも受け継がれているのである。

「中東」が自国の東方にある国々、すなわちインド及び「極東」諸国に目を向けることが「ルック・イースト」と言うわけであるが、中東でこの言葉を最初に提唱したのはサウジアラビアのアブダッラー国王であり2006年のことであった。前年8月に第6代国王に即位したアブダッラーは翌2006年1月に最初の外国訪問先として中国とインドを訪れ、「ルック・イースト」を自ら有言実行したのである。なお同年4月にはスルタン皇太子が訪日、サウジアラビアは東方重視の姿勢を明確に示した。かれらにとってインド、中国及び日本は単にユーラシア大陸の東方にある大国というだけではない。かれらは心の中で、自分達も三カ国も「同じアジアの国」だという連帯意識を持っているのである。筆者がサウジアラビアのリヤドに駐在していた時、彼らが日本人に対して同じアジア人だという親近感と同朋意識を強く抱いていることに驚かされた。逆に日本人にはアラブ人を同じアジアの同胞と見る考えが希薄だと自覚させられたほどである。

 かつて「ルック・イースト」と言えばマレーシアのマハティール前首相が有名である。彼が日本の近代技術と勤勉さを学ぶように国民に呼びかけた言葉が「ルック・イースト」でり、このときの「イースト(東)」とは日本のことであった。マハティールが意識したことも、今回アブダッラー国王が意識したことも本質的には同じなのである。つまり「西方」即ち欧米諸国から近代技術と経営手法を導入して自国の近代化を進めた結果、確かに国は豊かになった。しかしその結果社会経済のすべてが欧米主導のシステムに組み込まれてしまい、自国の国益や文化的なアイデンティティを失う危険性が生まれた。その典型的な出来事がマレーシアの場合は1997年のアジア通貨危機であり、中東イスラム諸国の場合は2001年の9.11テロ事件であったと言えないだろうか。

 こうしてサウジアラビアのアブダッラー国王は欧米一辺倒からアジア重視へと外交の舵を切ったのである。但し同じ「ルック・イースト」でもマハティールとアブダッラーが違うのは、前者は日本一国が対象であったのに対し、後者が焦点を当てたのは複数の国、即ちインド、中国、日本のアジアの三大国とマレーシアなどの新興国である。このうちインド、中国、日本の三カ国はGCC諸国にとってそれぞれ異なった魅力を持っていると言える。先ずインドは何と言っても三カ国の中では最も近い距離にある。そしてインドには1億7千万人ものイスラム教徒がおり、高等教育を受け英語に堪能な人材が豊富である。一方、十数億人の人口を抱えた中国は石油・天然ガスの巨大な市場であり、また同国はアジア圏で唯一の国連安全保障常任理事国として欧米に対抗する大きな国際政治力を有している。

 これに対して日本はインドほど英語に強い人材が多くなく、中国のような国際外交のパワーも持っていない。しかし日本には高度なハイテク技術があり、また環境・バイオなどの先端技術があり、さらにはカンバン方式に代表されるような学ぶべき多くのノウハウがある。彼等湾岸産油国は自国の経済多角化のため是非日本の技術やノウハウを活用したいところであろう。また日本の先端技術企業は有り余るオイル・マネーを抱えた政府系ファンド(SWF)の魅力的な投資先である。さらに日本の利点を加えるとすれば、それは日本が彼等に脅威を与えることがないという安心感であろう。親米の湾岸王制国家ではあるが、かれらにとっては民主化を強要する米国ですら脅威の一つである。またかつてのフセイン政権時代のクウェイト侵略の例を持ち出すまでもなく、イスラエルやイランのような隣接する強国も脅威である。人口大国、領土大陸であるインドや中国も決して気の許せる相手ではない。その点では経済大国(「単なる」とも言える)日本は安心して付き合える相手なのである。

 但し日本は湾岸諸国の「ルック・イースト」を手放しで喜んでばかりはいられない。湾岸諸国にとって、非アラブ・非イスラム諸国と付き合う場合はアジアよりもやはり欧米に優先順位があるからである。それは彼等自身が好むと好まざるとにかかわらず歴史的にも地理的にも自明のことである。そしてそれでもなお彼等が「ルック・イースト」と言う場合、彼らの「イースト(東)」の対象は日本だけではないことを忘れてはならない。彼等の目は中国及びインドそしてパキスタン、韓国、インドネシア、マレーシアなどにも向いている。むしろ日本は「ルック・イースト」の対象国の一つに過ぎないと考えたほうが良いのかもしれない。

 そのため彼等湾岸諸国の目を日本に向けさせる努力が必要である。彼等が「ルック・イースト(東方の国を注視しよう)」と言う時、日本は「ルック・アット・ミー(日本を見て!)」と名乗りをあげることが重要なのである。黙っていても湾岸諸国が日本に目を向けてくれる、と言った消極的な態度ではSWFの目は日本に向かない。現在の湾岸SWFには世界中から熱いラブコール送られており、日本以外にも相手はいくらでもいるからである。国際社会における日本の地位が日本人自身が考えるほど高くはないことを自覚すべきであろう。

(その3終わり)

Part III:「中東から日本、そして日本から中東へ。湾岸SWFが開く新シルクロード」
その2:実務を牛耳る欧米金融マン
その1:日本にも姿を現した湾岸SWF

Part II:「投資国(Investor)と受入国(Recipient)」(全6回)
その6:投資国と受入国による新秩序の模索
その5:InvestorとRecipientに分かれる湾岸産油国
その4.投資国と受入国の双方の主張
その3:湾岸SWFと米国との歴史的関係(3):米巨大銀行への資金注入(サブプライム問題)
その2:湾岸SWFと米国との歴史的関係(2):緊張時代(9.11テロ事件以降)
その1:湾岸SWFと米国との歴史的関係(1):蜜月時代(9.11テロ事件まで)

Part I:「湾岸産油国の政府系ファンドを探る」(全6回)
その6:ドバイの政府系ファンド
その5:アブダビの政府系ファンド:ADIAとIPIC
その4:サウジアラビアの政府系ファンド:サウジ通貨庁と年金庁
その3:クウェイトの政府系ファンド(SWF):クウェイト投資庁
その2:カタルの政府系ファンド(SWF):カタル投資庁
その1:はじめに

以上

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp


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