2008年10月

2008年10月31日

at 21:51Today's News 
MENA(中東・北アフリカ)22カ国の「世界競争力ランキング」(2008年版)


 東はアフガニスタンから西はモーリタニアまでのMENA(中東・北アフリカ)22カ国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。

 第15回のランキングは、「世界経済フォーラム」(World Economic Forum, 略称WEF)が発表した「Global Competitiveness Report 2008/2009」(世界競争力レポート 2008/2009)についてMENA諸国をとりあげて比較しました。

* WEFホームページ:http://www.weforum.org/en/initiatives/gcp/Global%20Competitiveness%20Report/index.htm


1.「世界競争力レポート」について
 「世界競争力レポート(World Competitiveness Report, WCR)」は、毎冬スイスで開催される「ダボス会議」の主催者として世界に名を知られている「World Economic Forum(略称WEF、世界経済フォーラム)」が2001年から毎年発表しているレポートであり今回で第8回目となる。第1回レポートの対象国は75カ国であったが、その後対象国は増えて今回は134カ国となっている。

 MENA22カ国のうち評価対象となった国の数は、昨年同様16カ国となっている。調査対象外の国は、イラン、イラク、レバノン、スーダン、イエメン、アフガニスタンの6カ国である。

 このランキングは、一般入手可能な公表データと、WEFが報告対象各国の提携機関とのネットワークで行っている包括的年次調査「エグゼクティブ意見調査」の結果から算出されている。ちなみに日本の提携機関は一ツ橋大学院(協力:経済同友会)である。

 「世界競争力レポート」の総合的な競争力ランキングはコロンビア大学のザビエル・サラ=イ=マーティン教授が開発し2004年に導入された世界競争力指数(Global Competitiveness Index, GCI)が用いられている。GCIは競争力に関する12の分野をもとに設計されており、世界の国々のすべての発展段階における競争力の全体像を示している。12分野とは、①制度機構、②インフラ、③マクロ経済の安定、④保健および初等教育、⑤高等教育及び訓練、⑥商品市場効率、⑦労働市場効率、⑧金融市場の高度化、⑨技術的即応性、⑩市場規模、⑪ビジネスの高度化、⑫事業革新から成り立っている。

2.MENA18カ国の世界競争力ランキング
 2008年競争力ランキングではMENA22か国のうち16カ国がランク付けされている。トップはイスラエルであり、同国のGCIスコアは4.97、世界131カ国中23位と世界でもトップクラスに評価されている。これに続きMENAで二番目に高いのがカタルで、スコアは4.83、世界順位27位となっており、第3位にはサウジアラビア(世界27位)が入っている。以下世界ランク30位台にUAE(31位)、クウェイト(35位)、チュニジア(36位)、バハレーン(37位)、オマーン(38位)が入っており、MENA上位にはGCC産油国が名を連ねている。MENAのランク付けされた16カ国のうち半数の8カ国が世界ランク上位3分の1(45カ国)以内に入っており、MENA地域の競争力は世界の平均を上回っていると言えよう。(詳しくは「世界競争力ランキング、2006-08」を参照)
9位以下の国々は、9位ヨルダン(世界順位48位)、10位トルコ(同63位)、11位モロッコ(同73位)、12位シリア(同78位)、13位エジプト(同81位)、14位リビア(同14位)、15位アルジェリア(同99位)と続いている。MENA16カ国の中で最も競争力ランクが低いのはモーリタニアであり、同国の世界順位は下から4番目の131位となっている。

なお世界で最も競争力があると評価されたのは米国であり、日本は世界9位であった。中国の競争力は世界30位とされておりクウェイトと並んでいる。

3.MENA各国の分野別世界順位
(「2008-09年世界競争力ランキング(項目別)」参照)
各国の分野別世界順位を見ると、MENAトップ(世界23位)のイスラエルは、事業革新の世界ランクが6位と高く、また金融市場の高度化(15位)、労働市場効率(20位)などの分野が高く評価されている。MENA第2位のカタルの場合は制度機構(16位)、保健および初等教育(18位)、マクロ経済の安定(19位)などの高得点が世界26位の要因となっている。 
第3位のサウジアラビアはマクロ経済の安定の世界順位が9位であることが総合世界27位に押し上げた要素であり、石油価格の高騰により同国の経済の好調さを反映している。ちなみに金融市場高度化に関しては同国の世界順位は73位と世界平均を下回っており、累積するオイルマネーの活用が進んでいないと評価されている。
 その他各国の分野別世界ランクでは、クウェイト(世界総合35位、MENA5位)のマクロ経済の安定度が世界1位と評価されているのは注目される。一方、世界総合63位と中位グループであるトルコは市場規模は世界15位とトップクラスにある反面、労働市場効率では125位と最下位近くにあり両分野の乖離が大きい。エジプトはMENA地域では最大規模の人口を有しているが、世界順位81位(地域順位11位)の低位にとどまっている。同国の場合、労働市場効率(123位)、金融市場の高度化(121位)、高等教育および訓練(101位)などの評価が非常に低いことがこのような順位結果となって表れている。

4.第6回(06年)から第8回(08年)までの3ヵ年比較
(「世界競争力ランキング、2006―08」参照)
MENA各国の過去3回の世界順位とMENA域内でのランクの推移を見る。(但し調査対象国の総数が年々増加しており、またサウジアラビア、オマーン、リビアおよびアルジェリアは昨年の第7回からランク付けされたため単純な順位の単純な比較はできないことをお断りする。)
イスラエルは3回のランク付けでいずれMENAトップである。ただし同国の世界順位は14位→17位→23位と毎年順位を下げており、新たに調査対象となった国がいずれも同国より下位にあることを考慮すれば、同国の世界競争力が年々低下していることは隠せない。
またクウェイトのMENA地域の順位は一昨年、昨年と2位であったが、今回は5位にとどまっており同国の凋落は著しいものがある。一方昨年世界35位(MENA5位)に初登場したサウジアラビアは今回は世界27位、MENA3位と躍進している。

以上

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