2009年03月

2009年03月24日

*全文は「中東と石油」の「MENA(中東・北アフリカ)22カ国のソブリン格付け(2009年3月版)」でご覧になれます。

3.3分の1の国が格付けされていないMENA諸国

MENA22カ国のうちMoody's 、S&P、Fitch3社が格付けを付与している国は、Moody's 及びS&Pが13カ国、Fitchは8カ国である。このうち3社全てから格付けを受けている国は、クウェイト、サウジアラビア、イスラエル、バハレーン、チュニジア、モロッコ、エジプト、トルコ、レバノンの9カ国である。この9カ国に加えカタール、オマーン、ヨルダンおよびUAEの4カ国がMoody's とS&Pの2社から格付けを受けている。なおS&Pは今回からUAE(但しアブダビ)を格付け対象に加えており、一方、Fitchは前回まで格付けしていたイランを格付け対象からはずしている。

3社のいずれからも格付けされていないのは、イラン、イラク、リビア、アルジェリア、スーダン、シリア、イエメン、モーリタニア、アフガニスタンの9カ国で、MENA22ヶ国全体の3分の1強に達する。格付けされていない9カ国のうちイラン、イラク、リビア、アルジェリア、スーダン等は産油(ガス)国としてかなりの経済力を有しており、またインフラ整備などのため外国からの投資を必要とし、格付けを受ける要件を満たしていると考えられるが、国内の政情不安或いは経済制裁などの国際的な要因により格付されていないようである。リビア、イラクは欧米の石油企業が石油探鉱開発事業に乗り出し、また、イラン、アルジェリアも具体的なビジネスが進展しており、これらの国々も近い将来格付けを与えられるものと思われる。

イランの場合、2004年8月にFitch1社のみが格付けを与えたが、現在は3社とも格付け対象からはずしている。これについてMoody's はブッシュ前政権時代に「イランに格付けを与えないのは、米国が同国に対して発動している制裁措置に相反する可能性があるという米国政府の懸念を受けたものである」とのプレスリリースを公表している。このことから格付け会社と政府の間に微妙な関係のあることがわかるが、オバマ新政権の登場により、格付け会社の対応が変化する可能性は大きい。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp


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2009年03月23日

at 10:14Today's News 

2009年03月22日

*全文は「中東と石油」の「MENA(中東・北アフリカ)22カ国のソブリン格付け(2009年3月版)」でご覧になれます。


 東はアフガニスタンから西はモーリタニアまでのMENA(中東・北アフリカ)22カ国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。
 第6回のランキングは格付け会社が行なっている各国国債の信用格付け、いわゆる「ソブリン格付け」について比較しました。


1.「ソブリン格付け」とは
 「ソブリン格付け」は、英語のsovereign(主権)に由来する名称であり、国の信用力、すなわち中央政府(または中央銀行)が債務を履行する確実性を符号であらわしたものである。通常、国は民間企業よりも高い信用力を持っていると考えられているが、国だからといってデフォルト(債務不履行)にならないわけではなく、例えば1998年にロシアが自国通貨建て債権を支払停止した例がある。

 ソブリン格付けを付与するにあたっては、当該国の財政収支の状況、公的対外債務の状況、外貨準備水準といった経済・財政的要因だけでなく、政府の形態、国民の政治参加度、安全保障リスクなど政治・社会的要因を含めたきわめて幅広い要因が考慮される。

(以上、東洋経済新報社発行、山澤光太郎著 「よくわかる格付けの実際知識」より抜粋)


2.格付け会社と格付け符号について
 全世界には多数の格付け会社があるが、代表的なものはMoody's 、Standard & Poors(以下S&P) 及びFitchRating(以下Fitch)の3社である。Moody's は格付け会社として最古の歴史を誇っている。3社で世界のシェアの9割を占めており、特にMoody's とS&Pは各々40%前後のシェアを有している。3社にはいずれも日本法人(又は支社)がある。

* 各社の日本語ホームページ・アドレス
Moody's http://www.moodys.co.jp/
S&P http://www.standardandpoors.co.jp/
Fitch   http://www.fitchratings.co.jp/

 格付け符号はMoody’sの場合、最上位がAaaであり、以下Aa, A, Baa, Ba, B, Caa, Ca, Cまでの9段階に分かれている。またS&Pの場合は、AAA, AA, A, BBB, BB, B, CCC, CCの8段階であり、Fitchは更にCを加えた9段階である。そして各社とも上位4ランク(即ちMoody’sはAaaからBaaまで、S&P、Fitchの場合はAAAからBBBまで)は「投資適格」とされ、それ以下は「非投資適格(投機的)」と位置づけられている。 (Moody's の格付け符号定義については末尾参照。)

なおMoody's ではAaからCaaまでの格付けに、1、2、3という数字付加記号を加えている。1は債務が文字格付けのカテゴリーで上位に位置することを示し、2は中位、3は下位にあることを示している。S&P及びFitchも同様の趣旨で+(プラス)と-(マイナス)の2種類の記号を使用している。また、将来の格付け変動の可能性を示すものとして、各社とも「POSまたは強含み」、「STAまたは安定的」及び「NEGまたはネガティブ」の3種類の表現を付記している。

ソブリン格付けには外貨建てと自国通貨建てがあり、またそれぞれに長期債務、短期債務の二種類があるが、本稿では最もポピュラーな外貨建て長期債務を取り上げた。格付けは各国がおかれた経済状況により随時改訂されるが、以下はMoody's 、S&P及びFitch3社の2009年3月現在のMENA各国の格付けを分析し、また前回(2008年3月)からの変化を比較したものである。

*詳細は「ソブリン格付け比較表(2009年3月現在)」参照。

(続く)

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