2009年09月

2009年09月29日

(注)本シリーズ(その1~その4)は、HP「中東と石油」に一括掲載されています。

 東はアフガニスタンから西はモーリタニアまでのMENA(中東・北アフリカ)22カ国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。

 第4回のランキングは、UNCTAD(国連貿易開発会議)が毎年刊行する世界各国の直接投資(FDI)に関する報告書の最新版「World Investment Report 2009」からMENA諸国をとりあげて比較しました。


「World Investment Report 2009」について
UNCTADの「World Investment Report 2009」は、外国直接投資(Foreign Direct Investment, 以下FDI)の最新の状況を世界規模で調査分析した報告書であり対象となっている国及び機関は200以上に達する。
http://www.unctad.org/Templates/webflyer.asp?docid=11904&intItemID=5037&lang=1&mode=downloads

 本稿ではMENA22ヶ国及びパレスチナ自治政府のFDI inflows(対内直接投資)、FDI outflows(対外直接投資)、FDI inward stock(対内直接投資残高)、FDI outward stock(対外直接投資残高)の2008年度および過去のデータを取り上げ(フローについては2004-08の5年間、ストックは1990, 2000, 2005-08各年末)、MENA各国の直接投資の現状を比較することとする。

1. 2008年のFDI inflows(対内直接投資) 
(詳細は表「2008年FDI Inflows(対内直接投資)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/5-4aFDI_Inflow2008.htm 参照)
 2008年のMENA各国の直接投資受入れ(以下FDI inflows)の総額は1,258億ドルであった。これは同年の全世界の合計額1兆7千億ドルの7.4%を占めている。
 
国別ではサウジアラビアが最も多い382億ドルであり、サウジ一国でMENA全体の30%を占めている。MENA第2位、3位はトルコ(182億ドル)、UAE(137億ドル)であるが、1位のサウジアラビアの半分以下にとどまっている。これら3カ国に続くのがイスラエル(96億ドル)、エジプト(95億ドル)及びカタール(67億ドル)であり、FDI Inflowsが50億ドルを超えているのはこれら6カ国である。7位はリビア(41億ドル)、8位レバノン(36億ドル)と続き、9位のオマーン以下、チュニジア、アルジェリア、スーダン、モロッコ及び14位のシリアまでが20億ドル台である。

FDI Inflowsがもっとも少なかったのはパレスチナ自治区の29百万ドルであり、イスラエルとの紛争で治安の悪いパレスチナは外国投資家から敬遠されているようである。イスラエルに次いで直接投資が少ないのはクウェイト(6千万ドル)である。同国は世界有数の産油国であり豊かな財政力を誇り、また治安も良好である。それにもかかわらず海外からの投資は他のGCC諸国に比べて極端に少なく、サウジアラビアの700分の1、UAEの250分の1にとどまっている。同国政府は外国の資本と技術による国内産業の活性化を図ろうと努力しているが、国内市場が小さく、またUAE(特にドバイ)のような国家発展のビジョンに欠けている。むしろ同国はPart IIで触れるように自国の豊富なオイルマネーを外国に投資しており、金融立国の様相を呈している。この点は他のGCC諸国とFDIの性格が極めて異なっていると言えよう。

2. 2004-08年のFDI Inflowsの推移
(表「FDI Inflows in MENA Countries, 2004-2008」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/5-4b2FDI_Inflows2004-08(table).htm 参照)
MENA地域の2004年から2008年までのFDI Inflowsは04年の262億ドルが2005年以降急激に増加し、05年617億ドル、06年には1千億ドル台(1,076億ドル)に達している。この間全世界の投資額も増大しているがMENA地域の伸び率は世界平均を上回っており、その結果、世界全体に占めるMENAの割合も04年3.7%、05年6.4%、06年7.4%と増大し、投資対象地域としてのMENAの存在感が高まっている。07年、08年も1,134億ドル及び1,258億ドルと増加傾向を続け、08年の世界のFDI Inflows総額に占める割合は7.4%と過去5年間で最も高い。

2008年のFDI Inflows上位5カ国(サウジアラビア、トルコ、UAE、イスラエル及びエジプト)の過去5年間の推移を見ると(図http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/5-4bFDI_Inflows2004-08.gif参照)、2004年にわずか19億ドルにすぎなかったサウジアラビアのFDI Inflowsは、05年に6倍強の121億ドルとなったが、さらに翌年以降は06年183億ドル、07年243億ドル、08年382億ドルと毎年1.5倍前後と急速に膨らんでいる。

トルコ、UAE、及びエジプトの3カ国は2004年から06年にかけてサウジアラビア同様急激に伸びたが、07年には増加の割合は鈍り、08年には3カ国はいずれも前年よりFDI Inflowsが減少している。例えばトルコは28億ドル(04年)→100億ドル(05年)→202億ドル(06年)→220億ドル(07年)とほぼサウジアラビアと同じペースで増加してきたが、08年には182億ドルと急減している。またUAEの場合は04年のFDI Inflowsはサウジアラビアよりも多かったが、05年にはサウジアラビアに追い抜かれ(109億ドル)、その後07年までの2年間は漸増、08年には前年比微減となっている。

イスラエルは06年をピーク(148億ドル)として07年には急減(90億ドル)、08年も横這い状態(96億ドル)となっている。上位5カ国のMENA全体に占める割合は04年は65%であり、その後の4ヵ年は70%前後でほぼ一定している。因みにサウジアラビア及びUAEを含むGCC6カ国の過去5年間のFDI Inflowsの推移を見ると、126億ドル(04年)→273億ドル(05年)→393億ドル(06年)→482億ドル(07年)→634億ドル(08年)と毎年大きく伸びている。MENA全体に占める割合は各年によって多少異なるが、38%~50%とほぼ4割を占めている。

(Part Iおわり)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp


at 13:02MENA 

2009年09月28日

at 09:43Today's News 

2009年09月27日

MENA(中東・北アフリカ)22カ国のビジネス環境(2010年版) (下)

4.調査項目毎のランク
(表「ビジネス環境ランキング2010」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/5-13BDoingBusiness2008-2010.htm 参照)
調査対象となっている10項目についてMENA各国のランクを概観すると以下の通りである。

(1)Starting a Business (起業)
 トップはサウジアラビア(世界順位13位、以下同じ)、ついでアフガニスタン(23位)、エジプト(24位)、イスラエル(34位)、UAE(44位)、チュニジア(47位)、イラン(48位)の順である。総合順位では最下位から二番目のアフガニスタンが本項目でMENA2位とされているのは奇異な感が否めない。
 一方低いランクにとどまっているのはパレスチナ自治政府(176位)、イラク(175位)、モーリタニア(149位)、アルジェリア(148位)、クウェイト(137位)などがある。GCC6カ国の中ではクウェイトが際立ってランクが低いことに注目される。

(2)Dealing with Licenses(許認可取得)
 MENAトップはバハレーン(世界順位14位、以下同じ)、ついでUAE(27位)、カタール(28位)、サウジアラビア(33位)、イエメン(50位)となっており、これら5カ国が世界50位以内である。以下クウェイト(81位)、ヨルダン(92位)、イラク(94位)といずれも中東諸国であり、99位に漸く北アフリカのモロッコが顔を出している。
 一方ランクが低いのはパレスチナ自治政府(157位)、エジプト(156位)、モーリタニア(154位)などである。先進国或いは中進国とされているイスラエル及びトルコはこの項目の評価が低く、それぞれ世界120位、133位である。

(3)Employing Workers(雇用)
 世界順位13位のバハレーンがMENAでは最も高いランクである。これに続くのがオマーン(世界順位21位、以下同じ)、クウェイト(24位)、UAE(50位)とGCC各国が続いている。逆に順位が低いのはモロッコ(176位)、スーダン(153位)、トルコ(145位)、イラン(137位)などである。

(4) Registering Property(登記)
 サウジアラビアがこの分野の世界1位であることは特筆に価する。これに次ぐのはUAE(世界7位、以下同じ)、オマーン(20位)、バハレーン(22位)であり、GCC諸国が世界的にもトップグループであることがわかる(但しカタール55位、クウェイト89位)。
 これに対して登記の難易度が高いとされているのは、アフガニスタン(164位)、アルジェリア(160位)、イラン(153位)、イスラエル(147位)などである。

(5) Getting Credit(信用取得)
 イスラエルは世界順位が第4位であり、信用取得に関してはMENAトップである。イスラエルに続くのがサウジアラビア(61位)であり、この項目に関してはイスラエルがずば抜けている。UAE、エジプト、トルコは世界71位の同順位である。一方信用取得が困難とされているのはシリア(181位)、パレスチナ自治政府、イラク(共に167位)、イエメン、モーリタニア(共に150位)である。

(6) Protecting Investors(投資家保護)
 投資家保護が最も進んでいるのはイスラエルで世界でも第5位にランクされている。MENA2位はサウジアラビアであるが世界ランクは16位でイスラエルよりかなり低い。これら2カ国に続くのはクウェイト(27位)、パレスチナ自治政府(41位)、トルコとバハレーン(57位)である。
 これに対して低ランクにあるのがアフガニスタン(183位)でこれは世界最下位でもある。またイラン及びモロッコ(165位)、スーダン(154位)などもランクが低い。中東のビジネスハブとして近年脚光を浴びているUAEはヨルダン、シリア、イラクと同じく世界119位であり国際評価はかなり厳しい。

(7) Paying Taxes(徴税)
 この項目の世界順位はカタルが2位、UAE4位、サウジアラビア7位、オマーン8位、クウェイト11位、バハレーン13位とGCC6カ国がMENAの上位を独占しており、また世界的にも最高レベルに評価されている。因みに日本はこの項目の世界順位は123位とかなり低い。これら産油国は個人所得税が免除されているほか法人税も非常に低い。この点がビジネス環境として高く評価されているようである。一方イスラエルは世界83位であり税負担のレベルがGCC産油国よりかなり高い。

(8) Trading Across Borders(輸出)
UAEが世界第5位でありこの分野ではMENAで最も評価が高い。ドバイのジュベール・アリ自由貿易港はソフト、ハードの両面で周辺国の追随を許さない3国間貿易の拠点港であり、このことが高い評価につながっている。これに次ぐのがイスラエル(世界11位、以下同じ)で輸出立国を運命付けられた同国の政策に負うところが大きいのであろう。以下サウジアラビア(23位)、エジプト(29位)、バハレーン(32位)と続いている。
一方評価が低いのはアフガニスタン(183位、世界最下位)、イラク(180位)、モーリタニア(163位)などである。

(9) Enforcing Contracts(契約強制力)
 この項目のトップはトルコ(世界27位、以下同じ)であり、これに次ぐのがイエメン(35位)、イラン(53位)、チュニジア(77位)モーリタニア(83位)、カタール(95位)、イスラエル(99位)である。これら7カ国以外のMENA諸国はサウジアラビア(140位)、UAE(134位)を含め全て世界100位以下であり、契約強制力の分野ではMENAは世界レベルからかなり遅れているといわざるを得ない。

(10) Closing a Business(事業終結)
 事業を終結する場合の難易度については、バハレーンが世界26位であり、MENA地域では最も高い評価を得ている。これに続くのがカタール(世界33位、以下同じ)、チュニジア(同34位)、イスラエル(同41位)、アルジェリア(51位)、サウジアラビア(60位)である。
 これに対しランクが低い国はスーダン、アフガニスタン、イラク及びパレスチナ自治政府であり、これら4カ国は共に世界最下位である。

以上

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
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