2010年06月

2010年06月30日

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(サウジ)国王、米国訪問。オバマ大統領と中東和平など意見交換。

sau_king&obama


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5.ガスOPEC結成を模索するカタール
4月19日、アルジェリアのオランで第10回ガス輸出国フォーラム(Gas Exporting Countries Forum, 略称GECF)の閣僚会議が開催された。GECFは2001年にイラン、ロシア、カタール、アルジェリアなど世界の主要な天然ガス輸出国によって結成され 、当初は規約、メンバー資格、常設本部組織も無く各国持ち回りで会議を開いていた。

ところが2002年頃から石油価格が急騰したこと、及び地球温暖化の問題が広く認識されるようになったころから、天然ガスが俄かに注目を集めるようになり、天然ガスは売り手市場の様相を示し始めた。そのような状況下で2006年及び2007年にウクライナ経由でヨーロッパにロシア産天然ガスを送るパイプラインが止まると言う事件が発生した。これは天然ガス価格を巡る純粋な経済紛争と言うより、当時のウクライナ民主政権が西欧への接近を試みたことに対しロシアが政治的圧力をかけ実力行使に踏み切ったためであった。

ヨーロッパ諸国はロシアとアルジェリア産の天然ガスに消費量の4割を依存しているが、これら2カ国にイラン、カタールを加えたGECF4カ国のエネルギー担当相がこの当時頻繁に顔を合わせた。このため世界中のメディアは、GECFがガス版OPEC即ちガス輸出国カルテルの結成を目論んでいる、と言う情報を流した 。GECFが天然ガスの供給削減をちらつかせ価格の吊り上げに走るのではないか、という警戒心がヨーロッパ諸国に拡がった。

それまでのGECFはフォーラムと言う名前が示す通り天然ガス輸出国同士の顔合わせの場であり、毎年の会議でも情報交換を行う程度にとどまっていた。しかも2006年当時の世界は好況で天然ガスは石油と同じく価格上昇の恩恵を蒙っていた。また同じ天然ガスの輸出でもロシアなどパイプライン型とカタールのようなLNG型では市場も価格体系も異なっているため、両者が共同歩調をとる余地は少なかった。特にLNG貿易の場合は供給者(輸出国)と需要家(輸入国)は一対一の長期安定契約がほとんどであり、市場の競争原理が働かずLNGの国際貿易は余り注目されていなかった。

GECF加盟国の中で資源ナショナリズムの強い反米強硬派のイラン及びベネズエラはガスOPEC推進派の急先鋒であったが、親米派のカタールはカルテル結成に反対した。世界最大の天然ガス輸出国ロシアは賛否どちらともとれる曖昧な態度に終始したため、2008年の第7回ドーハ会議ではガス版OPEC結成問題は正式議題には取り上げられなかった。

しかし同会議ではこれまでの加盟国持ち回り方式に変えGECFの常設本部を設置することが決議され、翌2009年にカタールのドーハに本部が設置された。本部の議長にはアッティヤ・カタール副首相兼エネルギー相が選任され、またロシアの資源エンジニアリング企業ストロイ・トランスガス社のレオニード・ボハノフスキー副社長が初代事務局長に選任された。カタールが名実ともにロシアと並ぶ天然ガス大国として認知されたのである。

こうしてGECFは天然ガス輸出国の国際組織として表舞台に登場、今回の閣僚会議で天然ガス価格の統一価格方式を打ち出すための作業部会の設置が決定された 。GECFが「ガス版OPEC」となるため呱々の声をあげたと言って間違いないであろう。

GECFの常設本部を誘致したことによりカタールは天然ガス市場の供給者側のキープレーヤーに躍り出た。しかし国際的に認知されることは同時に国際的な責任を負うことでもある。カタールはロシア、イラン、ベネズエラなど一癖も二癖もあるメンバーを束ねなければならず、さらには天然ガス消費国であるヨーロッパ諸国と正面から対峙しなければならない。しかもそのような内敵・外敵に囲まれた中で自国の利益も守らなければならない。それがどれほど大変であるかは、OPECの盟主サウジアラビアを率いるナイミ石油相を見ればよくわかる。

ちっぽけな小国でしかないカタールの元首であるハマド首長と同国エネルギー部門のトップであるアッティヤ副首相兼エネルギー相の真価が問われている。

(続く)

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4.世界のLNG貿易をリードするカタール
 BP統計(BP Statistical Review of World Energy 2010)によれば昨年の全世界のLNG貿易量は2,430億立法米であった。世界の天然ガス貿易は現在もパイプライン方式が全体の7割強を占めており、ロシアとノルウェーによる欧州諸国向け輸出及びカナダの対米輸出が主流であるが、LNG輸出だけを取り上げるとカタールが全体の20%強を占め、マレーシア、インドネシア、豪州などを大きく引き離している。

 1997年に世界8番目のLNG輸出国としてスタートしたカタールは、North Fieldと呼ばれる世界最大のドライ・ガス田をバックにその後天然ガス液化設備を次々と増設し、生産量を飛躍的に増大させた。同国はLNG市場における存在感を高め、2007年には世界一のLNG輸出国となった 。特に数年前から年産7,700万トン体制を標榜して野心的な設備増強を図っており、ここへきてそれらが次々と稼働を開始している。

 カタルのLNG企業はQatargasとRasGasの二社があるが、QatargasはIからIVまで四つの事業会社に分かれ7つのトレーンで合計4,080万トンの年産能力を有している。そしてRasGasはIからIIIまで三つの事業会社、7つのレーンで年産能力3,740万トンである。両者とも最新設備は年産能力780万トンと言う世界最大級を誇っている。

各事業会社はそれぞれ独立した資本構成であるが、いずれにもカタール石油が60~70%出資している。そしてExxonMobil、Total(仏)、ConocoPhillips、ShellなどIOC(International Oil Company、国際石油会社)と呼ばれる一流石油企業が各事業会社に20~30%程度資本参加し実際の操業を担っている。なお日本企業も少数株主としてQatargas Iに三井物産及び丸紅が出資しており、三井物産はQatargas IIIにも出資している。また伊藤忠商事及びLNG JapanがRasGas Iに出資している 。

最初に稼働したQatargas IのLNGは中部電力、東京ガス等に供給されているが、カタールのLNGの輸出先はその後韓国、スペイン、インド、台湾、英国等へ拡がっている。昨年の輸出量は495億㎥(立法メートル)であったが、50億㎥以上輸出した国は日本(103億㎥)、韓国(93億㎥)、ベルギー(60億㎥)、英国(58億㎥)、スペイン(50億㎥)であり、その他スポット物を含めると、昨年のカタールのLNG輸出先は15カ国に達している。

因みに世界最初のLNG貿易は1964年のアルジェリアと仏の二国間によるものであったが、カタールの輸出が始まった1997年にはLNG貿易のプレーヤーは輸出9カ国、輸入6カ国、貿易量は1,113億㎥に達し、その後も毎年増加している。1997年と昨年(2009年)のLNG輸出国及び輸出量を比較すると(表・グラフ「1997年と2009年のLNG輸出国と輸出量」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-3-91bLngExport1997vs200.gif参照)、昨年のLNG輸出国は19カ国、貿易量は2,428億㎥に達している(但し再輸出を含む)。輸出国の数と貿易量とも2倍以上になっているのである。

輸出国の構成を見ると1997年はインドネシア、アルジェリア、マレーシア3カ国だけで全体の72%を占める寡占状態であった。これに対して2009年はカタールが他国から頭一つ抜き出ており(495億㎥)全体の20%を占めている。そして2位のマレーシア(295億㎥)から7位のナイジェリア(160億㎥))まで輸出量に大きな差がない。また地域分布を見ても中東、アジア・大洋州、北アフリカ、中米と広がりを見せている。過去10年余の間に世界のLNG輸出国の勢力図が大きく変容しているのである。

このような中で現在トップのカタールが今後LNG貿易でどのようなイニシアティブを発揮することができるのであろうか。2000年以前に比べるとカタールの意思決定のための判断要因は質量ともに増えている。まずLNG貿易の面ではプレーヤーが増えた中で、カタールのシェアは圧倒的とは言い難い。OPEC(石油輸出国機構)でサウジアラビアが圧倒的な地位を見せているのとは対照的である。

同じ天然ガス貿易でもパイプラインとLNGの比率は7:3とパイプライン方式が優勢である(グラフ「天然ガス貿易:パイプライン vs LNG」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-3-91aGasTradePlvsLNG(19.gif参照)。カタールにとってパイプラインによる輸出を主軸とするロシア、ノルウェーなどとどのような共同歩調をとることができるか、話し合いは簡単ではなさそうだ。

またLNGの競争相手としてシェールガスのような新顔が登場している。さらに景気が低迷しエネルギー需要が伸び悩む中で在来型エネルギーの雄である石油との競争が激化している。一方環境問題の観点からは太陽光発電、原子力発電などの再生エネルギー或いはクリーンエネルギーとの競合に立たされている。カタールを取り巻く環境は必ずしもバラ色とは言えないようである。

(続く)

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3.シェールガスとは
 天然ガスとして通常生産されているのは地下の帽岩(キャップロック)に閉じ込められたメタンを主体としエタンやプロパンを少量含有したガスである。このうち石油と一緒に生産されるものはウェット・ガスと呼ばれ、ガスのみの単体で産出されるものをドライ・ガスと呼ぶ。カタールの北部ガス田は典型的なドライ・ガス田である。これらは坑井を掘削すれば地層の圧力で天然ガスが自墳するため、古くから開発が行われてきた。

 しかし同じ天然ガスでも薄片状の岩層或いは炭層や固い砂層に閉じ込められたガスは地層内でガスが移動できないため井戸を掘削しても商業量のガスを生産することができない。このためこれらのガス層は世界各地で多数発見されているもののこれまで開発に手が付けられていなかった。地層の種類によってシェールガス、CBM(コール・ベッド・メタン)、タイトガスサンドに区分されるが、現在生産されている天然ガスを「在来型」と呼ぶのに対し、これらのガスは「非在来型」と呼ばれている。

非在来型ガスの一つであるシェールガスとは、泥岩の一種で薄片状にはがれやすい頁岩(シェール)の微細な割れ目に閉じ込められたガスのことである。シェールガスについては(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(略称JOGMEC)の隔月誌「石油・天然ガスレビュー」最新号(2010.5 Vol.44 No.3)に掲載された同機構調査部伊原賢氏の論文「シェールガスのインパクト」及びパレアレシ氏講演「シェールガス革命」抄録(同調査部市原氏編)が非常に参考になる。以下はこれら二編から抜粋したものである。

 全世界のシェールガスの資源量は16,000Tcf(兆立法フィート)と推定されており、回収率20%と仮定すれば確認可採埋蔵量は3,200Tcfとなる。BP統計によれば世界の天然ガスの埋蔵量は6,621Tcfとされているので シェールガスは在来型ガスの50%近い埋蔵量があることになる。このうち米国の埋蔵量は500Tcfで2008年の生産量は1.7Tcfに達している。因みにこの生産量は日本の消費量の1/2以上を占めている。シェールガスの生産は米国のほかカナダでも始まっており、中国や欧州でも商業生産を検討中と言われる。なお日本は地層が比較的新しく頁岩を持っていないためシェールガスは賦存しない。
 
商業量のシェールガスを生産するためには頁岩層に多数の坑井を掘削し、さらにシェールに人工的な大きな割れ目を作って地層内のガスの流動性を高める技術が必要である。これを可能にしたのが、地表からの1本の立坑から地層内に多数の横坑を掘る水平坑井掘削技術が実用化されたことであり、また水平坑井から高粘性流体のジェルをシェール内に押し込みフラクチャー(割れ目)を作る技術が確立したことである。それとともに地下の割れ目の広がりをモニタリングするソフトウェアが開発されたことによりシェールガスを商業生産することが可能になったのである。

 米国の石油・天然ガスの探鉱開発技術が世界一であることは誰も疑わないであろう。また国内には豊富なシェールガス資源があり、これまで多くの現場で実証実験を積み重ねてきたことが実際の生産に結びついたと言える。さらに米国がシェールガスの商業生産にこぎつけた理由がいくつか考えられる。それは(1)在来型天然ガスの生産減退、(2)シェールガス生産コストが低下し競合エネルギーとの価格競争力が生まれたこと、(3)国内のガスパイプライン網が完備しており流通の初期投資を低く抑えることができる、などがその理由である。

 米国の天然ガスの埋蔵量は1998年を底に上向いているとは言え(前回参照)、過去30年間近く可採年数は10年前後にとどまっており、在来型天然ガスはじり貧状態にある。このためエネルギー自給率の低下を防ぐ手段としてシェールガスの開発が手掛けられた。そしてシェールガスの開発生産コストの削減に努力した結果、現在そのコストは熱量換算で在来型ガスとほぼ同じ5ドル/MMBtuになった。米国のシェールガスの主要生産地は南部から東部地域のBarnet, Fayetteville, Haynesville, Marcellus, Muskwaなどであるが、いずれも既存の天然ガスパイプライン網に近いため搬送コストは低い。これに比べ輸入に頼るLNGはカタールなど遠隔地からの輸送コストに加え、受入基地及び再ガス化設備の建設に膨大な投資が必要である。

このようにシェールガスはLNGに対して競争力が高い。今や米国の天然ガス市場ではシェールガスがLNG輸入を駆逐する勢いなのである。

(続く)

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