2010年11月
2010年11月27日
2010年11月23日
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0163MenaRank13.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その13)
4.主要5カ国と日本との比較(レーダーチャート)
図はサウジアラビア、エジプト、トルコ、UAE及びイランと日本の項目別世界順位をレーダ^チャートとして表示したものである(拡大図はhttp://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/5-13c.gif 参照)。
レーダーチャートは最も外側が世界順位1位であり内側の中心は世界151位である。また最上段の1から10までの数字は1が総合順位であり、2~10までは前項に述べた調査項目の(1)から(9)を示している。各分野の世界順位を結ぶ青い輪が各国の状況である。レーダーチャートの青い輪が外側に広がっているほど世界での順位が高く、また輪の形が円に近いほど各分野の世界順位が平均していることを示している。
総合順位が世界11位のサウジアラビアは登記分野で世界一位の他、起業、許認可取得、投資家保護、徴税及び輸出でも世界20傑に入っておりビジネス環境は全般的にかなりすぐれている。但し契約強制力は世界140位とかなり低く、信用取得及び事業終結の面で多少見劣りがするようである。
サウジアラビアと世界18位の日本を比較すると、日本は事業終結の分野では世界一位であり、信用取得、投資家保護、輸出及び契約強制力の分野ではビジネス環境が優れているとの評価を受けているのに対し、起業或いは徴税の分野では世界順位が低く、サウジアラビアに対してかなり見劣りがする。また許認可取得、登記の分野でも世界平均をやや上回る順位にとどまっている。サウジアラビアと日本の両国を比べると投資家保護及び輸出の二分野では共に高順位であるが、その他の7分野では一方の順位が高ければ他方の順位は低く、対照的な様相を見せている。
UAEは総合順位が世界40位であるが項目別に見るとかなり順位の高低差が激しい。即ち登記、徴税及び輸出の3分野では世界最高水準であるが、投資家保護、契約強制力及び事業終結についてはいずれも世界120位以下であり、全体的にバランスを欠いたビジネス環境のようである。
総合順位が世界65位のトルコの場合は登記(世界38位)、契約強制力(同26位)を除き、他の7項目はいずれも50位以下であり、特に許認可取得及び事業終結の面で見劣りがする。またエジプト(総合世界順位94位)は、起業及び輸出の両分野が特に良く(それぞれ世界18位、21位)、その他の分野は低位にとどまっているため総合順位が世界183カ国のほぼ中間となっている。イランは総合順位129位で世界の平均以下であるが、項目毎に見ても殆どが世界100位以下であり、起業(世界42位)、輸出強制力(同49位)が目立つ程度である。
(続く)
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(バハレーン)食糧安全保障に向け政策展開
(サウジ)国王、治療のため米国へ出発 *
(クウェイト)アハマディのガス漏えい事故を教訓に「危機管理センター」設置へ。
(アブダビ)Al Ainに環境適応型のグリーン・ホテル建設
*マイライブラリー「迫るサウド家の世代交代」参照
(注)本レポートは「マイライブラリーに一括掲載されています。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0162SaudRoyalFamily2010.pdf
3.権力の世襲を進める第二世代
ベドウィンの部族社会を基盤とする湾岸GCC諸国はかつては自らの力で権力を奪取することが普通であった。アブドルアジズ初代国王が宿敵ラシード家を倒し、アラビア半島全域を武力制圧したことはよく知られている 。オマーンのカブース現国王或いはカタールのハマド現首長が宮廷クーデタで実の父親から権力を奪ったのはいずれもごく最近のことである。
しかし近年はこのような下剋上による宮廷クーデタの動きは影をひそめ、権力の座を平和裏に継承するルールが生まれつつある。サウジアラビア以外のGCC諸国では国王或いは首長の子息(通常長男)を皇太子に指名し自分の死後王位を継がせる、いわゆる「直系長子世襲制」が一般的になりつつある。しかし第二世代に異母兄弟の多いサウド家では系統を一本化する機運は熟していない。
後継争いをめぐるお家騒動を避けるためアブダッラー国王は2006年に「忠誠委員会」を設置した。委員会はサウド家の第二世代の王子全員(王子が故人の場合はその子息)が関与しており、後継者選びにおける一族内の平等の原則が保持されている。これはファハド前国王がスルタン、ナイフ、サルマンなど同母の弟を重用した弊害を避けるためと考えられる。
この結果、最近では王位と言う最高権力の争奪をめぐる合従連衡の動きは表向き見られない。その反面、第二世代には自己の保有する権力を息子(第三世代)に世襲させる動きが顕著になってきた。アブダッラー国王が最初の入院直後に自らが兼務していた国家警備隊最高司令官の地位を3男のムッテーブに譲ったことはその例である 。この人事異動では国王は副司令官で異母弟のバドル王子の職を解いている 。これは息子の司令官としての地位を盤石にするためと言えよう。一方、数十年にわたり大臣の地位を保っているスルタン国防相やナイフ内相もそれぞれ息子を国防相副大臣(ハーリド)や内相補(ムハンマド)に任命しており、いずれ大臣の地位を譲るつもりであることは間違いないであろう。(図「サウド家王族の閣僚・政府要人」http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/3-1-1MinisterAndProminentPrince.pdf参照)
このような動きは将来国王が交代しても現在自らが掌握している組織の勢力を温存しようとする第二世代の王族の思惑だと考えられる。
4.予測される当面の動き
アブダッラー国王の後継国王にスルタン皇太子が即位すること既定路線である。スルタン即位後に「忠誠委員会」により次期皇太子が選任される訳である。これまでポスト・スルタンとして何人かの王族の名が下馬評にのぼっているがいずれも決定打に欠く。
サウド家はベドウィンの伝統である「話し合い(マジュリス)」を尊重する。そのため王子達はたとえ王位に対する野心があったとしても、公然と名乗りを上げることはない。「忠誠委員会」の構成メンバーは同母兄弟、異母兄弟の第二世代、そして彼らの息子達の第三世代など複雑に入り組んでおり、舞台裏で秘密裏に多数派工作に動けば、他の王族から顰蹙を買いむしろ逆効果になる恐れもある。
これらの事情を勘案すると、第二世代(或いはその遺児の第三世代)の王族は、当面、状況の推移を静観しつつ現在自己の保有する地位を息子達に継承し、来るべき権力交代時に備えるものと思われる。
一つ気がかりな点は国王不在中に実質的な采配を振るうスルタン、ナイフ及びサルマンの同母3兄弟が後継者問題に何らかの手を打つ可能性が潜んでいることである。彼ら自身は全員高齢で健康問題を抱えている。そのためいずれかの家系(例えばスルタン家)の第三世代を次期皇太子とし、他の湾岸諸国のように「直系長子世襲制」を導入する可能性も否定できない。ただこの場合、皇太子の座を巡って三家系の第三世代の王子たち(つまり互いが従兄同士の関係である)の間に軋轢が起こるかもしれない。それ以上に非スデイリ系統の29人の忠誠委員から強い反発の出ることが予想される。
王族が当面は事態を静観し、自己の権力基盤の補強に努めるのではないかと書いたのはそのような意味も含めてのことである。
以上
(前回の内容)
1.国王、脊椎痛治療のため米国へ
2.皇太子ほかの王族閣僚にも健康不安
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2010年11月22日
(サウジ)国王、治療のため米国へ。スルタン皇太子急遽モロッコより帰国 *

(アブダビ)食糧確保のため輸入商社を設立
*ブログ「迫るサウド家の世代交代」参照