2011年11月

2011年11月30日

(注)「マイ・ライブラリー」(前田高行論稿集)で一括ご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0209MenaRank11.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その11)

3.1980年~2010年のHDIの推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/5-11bHDIbyMajorCountries.pdf 参照)
 ここではMENA諸国の中からUAE、サウジアラビア、トルコ及びエジプトの4カ国を取り上げ、これに日本、全世界平均、アラブ諸国平均を加えて1980年から2011年までのHDIの推移を比較する。


 過去30年間ではいずれの国もHDIが改善されており、世界平均及びアラブ諸国の平均値もアップしている。そしてHDIの低かった国ほど改善の度合いが高いことがわかる。例えばエジプトの場合1980年に0.406であったHDIが2011年には0.644になり、30年間で60%近く高まっている。同じようにトルコは0.463→0.699(51%アップ)である。MENAの中でも比較的上位であるUAE及びサウジアラビアの場合はUAEが0.629→0.846(34%アップ)、サウジアラビアが0.651→0.770(18%アップ)となっている。アラブ諸国の平均で見ると1980年の0.444から2011年には0.641(44%アップ)に改善しており、アラブ諸国のHDIは30年間で大幅に改善していることが分かる。


 但し直近の3年間(2009~2011年)はアラブ諸国の平均は0.634(‘09年)→0.639(’10年)→0.641(‘11年)と改善の足取りが鈍っている。国別に見てもUAEは(0.841→0.845→0.846)であり、サウジアラビア(0.763→0.767→0.770)、トルコ(0.690→0.696→0.699)、エジプト(0.638→0.644→0.644)のようにいずれの国も漸進的な改善にとどまっている。


4.2011年の国別ジェンダー不平等指数(GII)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/5-11cGII2011.pdf参照)
 ジェンダー不平等指数(GII)がMENAで最も低い(つまり男女平等が最も進んでいる)国はイスラエルであり、同国のGII指数は0.145、世界22位とされている。これに続いて世界50位以内に入っているのは、クウェイト(GII指数0.229、世界37位、以下同じ)、UAE(0.234、38位)、バハレーン(0.288、44位)、チュニジア(0.293、45位)及びオマーン(0.309、49位)である。これを上記1の人間開発指数(HDI)と比較すると、イスラエル、UAE、バハレーンなどはHDI、GIIの世界順位はほぼおなじであるが、クウェイト、チュニジア、オマーンは両者の順位に格差がある。チュニジアの場合はHDI世界順位95位に対しGIIの世界順位は45位であり、オマーン(HDI89位、GII49位)及びクウェイト(HDI63位、GII37位)も同様の傾向を示している。(但し対象国の数がHDI187カ国に対し、GIIは146カ国であり、両者を厳密に比較することは難しい。)


 GIIの世界順位が51位から100位までの国はリビア(GII指数0.314、世界51位、以下同じ)、アルジェリア(0.412、71位)、レバノン(0.440、76位)、トルコ(0.443、77位)、ヨルダン(0.456、83位)、シリア(0.474、86位)、イラン(0.485、92位)の7か国である。

 世界順位が100位以下の国はモロッコ(0.510、104位)、カタール(0.549、111位)、イラク(0.579、117位)、モーリタニア(0.605、126位)、スーダン(0.611、128位)、サウジアラビア(0.634、135位)、アフガニスタン(0.707、141位)及びイエメン(0.769、146位)であり、イエメンは全世界で不平等指数が最も高い。


 これらの国々のうちモロッコ、イラク、モーリタニア、スーダン、アフガニスタンは人間開発指数(HDI)も世界100位以下であるが、カタールとサウジアラビの2カ国はHDIの世界順位がそれぞれ37位と56位であることに比べ、ジェンダーの不平等さが際立っている。サウジアラビアの場合は女性が抑圧され、社会進出が遅れていることは広く指摘されているが、カタールはアルジャジーラ放送や欧米大学の誘致、モーザ首長妃の活躍など一見進歩的で女性重視の印象があるにもかかわらず実態的には男女格差がかなり大きいようである。


 なおアラブ諸国の平均GIIは0.563であり、全世界平均の0.492に比べかなり見劣りがする。因みに日本のGIIは0.123で世界では14位である。これに対し米国の世界順位は47位、中国は35位である。米国のGII順位はオマーンとほぼ同じであり、中国よりも低い。米国の人間開発指数(HDI)が世界4位であるのに比べGIIの低さが際立っている。


以上


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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2011年11月27日

(注)「マイ・ライブラリー」(前田高行論稿集)で一括ご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0209MenaRank11.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その11)

  東はアフガニスタンから西はモーリタニアまでのMENA(中東・北アフリカ)22カ国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。

 第11回のランキングは、UNDP(国連開発計画)が毎年発表する世界各国の人間開発に関する報告書の最新版「Human Development Report 2011」からMENA諸国をとりあげて比較しました。


1.「Human Development Report 2011」について
 UNDPの「Human Development Report 2011」(以下「HDR2011」)では、(1)世界187の国及び地域の人間開発指数(Human Development Index, HDI)の値と順位、(2)109の国と地域の不平等調整済み人間開発指数(IHDI)、(3)146の国と地域のジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index, GII)及び(4)109の国と地域の多次元貧困指数(MPI)の四つの指数が発表されている。


レポート全文(英文):http://hdr.undp.org/en/reports/global/hdr2011/ 
UNDP東京事務所プレスリリース:http://www.undp.or.jp/hdr/global/2011/index.shtml  


 本稿ではMENA22カ国及び1機関(パレスチナ自治区)の人間開発指数(HDI)とその順位及びMENA21カ国(エジプトを除く)のジェンダー不平等指数(GII)とその順位を取り上げる。


(注)HDI及びGIIの意味について(UNDP東京事務所ホームページより)
人間開発指数(HDI)
HDIとは、人間開発の3つの基本的な側面──健康で長生きできるかどうか、知識を得る機会があるかどうか、人間らしい生活を送れるかどうか――について、進歩の度合いを長期にわたって測定するための総合的な指標である。健康と長寿に関しては出生時平均余命を、知識を得る機会に関しては成人の平均就学年数(25歳以上の人が生涯を通じて受けた教育年数の平均)と、就学年齢児童の生涯予測就学年数(現在の年齢別就学率が変わらないと仮定した場合に、いま就学開始年齢の子供が生涯を通じて通算何年間の学校教育を受けるかを予測した数字)を基準にしている。人間らしい生活(生活水準)に関しては、2005年の米ドル建て購買力平価(PPP)に換算した1人当たり国民総所得(GNI)を基準に用いている。


ジェンダー不平等指数(GII)
 「ジェンダー不平等指数(GII)」は、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、エンパワーメント、そして経済活動への参加の3つの側面で、ジェンダーに基づく不平等がどの程度存在するかを表す指数である。リプロダクティブ・ヘルスの状況は、妊産婦死亡率と15-19歳の女性1000人当たりの出生数で測定する。エンパワーメントの状況は、立法府の議席に占める割合と中・高等教育への進学状況を基準とする。経済活動への参加状況は、労働市場への参加率で判断する。GIIは、従来の「ジェンダー開発指数」と「ジェンダー・エンパワーメント指数」に代わる指数として導入された。GIIは、3つの側面における男女の不平等により、人間開発のレベルがどの程度損なわれているかを明らかにするものである。


2.2011年のMENAの国別HDI
(表 http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/5-11aHDI1980-2011.pdf  参照)
 MENAの中でHDIが最も高いのはイスラエルの0.888であり、世界順位も17位とかなり上位である。これに次ぐのがUAE(0.846、世界順位30位)、カタール(0.831、同37位)、バハレーン(0.806、同42位)であり、これら4カ国が高々度人間開発(VHHD)の国とされている。


 これら4カ国についで指数が高いのはサウジアラビア(HDI 0.770、世界56位、以下同じ)、クウェイト及びリビア(0.760、63位)、レバノン(0.739、71位)、イラン(0.707、88位)、オマーン(0.705、89位)、トルコ(0.699、92位)、チュニジア、ヨルダン、アルジェリア(0.698、94位)である。これらの国は高度人間開発(HHD)とされ、先のVHHD4カ国と合わせ14カ国が世界の上位グループに入っている。

 
 これら14カ国以外は世界順位が100位以下であり、中位人間開発(MHD)国、或いは低位人間開発(LHD)の範疇となる。このうちMHDグループに入るのがエジプト(HDI 0.644、世界順位113位。以下同じ)、パレスチナ自治区(0.641、114位)、シリア(0.632、119位)、モロッコ(0.582、130位)、イラク(0.573、132位)の5カ国である。


 最も低い低度人間開発(LHD)グループに入るのは、イエメン(0.462、154位)、モーリタニア(0.453、159位)、スーダン(0.408、169位)及びアフガニスタン(0.398、172位)である。アラブ諸国の平均指数は0.641であり、全世界の平均指数0.682に比べ、アラブの人間開発指数は世界平均を下回っている。


 なおHDIが世界で最も高いのはノルウェー(0.943)であり、最も低いのはコンゴ(0.286)である。日本はHDI 0.901で世界12位、米国は0.910(世界4位)、中国は0.687(世界101位)である。米国及び日本はMENAトップのイスラエル(世界17位)より高くVHHD(高々度人間開発)のグループであるが、中国はアルジェリア(世界93位)とエジプト(同113位)の間にあり、MHD(中位人間開発)グループとされている。


(続く)


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