2012年06月

2012年06月24日

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2012年06月23日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」に一括掲載されています。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0230MenaRank12.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その12)


4.2008年~2012年の世界順位の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/5-12bGpiMajorCountriesGraph.pdf 参照)
 ここではMENAの8か国(カタール、UAE、チュニジア、サウジアラビア、エジプト、バハレーン、イエメン、シリア)及びMENA平均の2008年から2012年までの順位の変動を見てみよう。
 
 これら8カ国の2008年の世界順位はそれぞれ、カタール33位、UAE42位、チュニジア47位、エジプト69位、バハレーン74位、シリア75位、イエメン106位、サウジアラビア108位であり、MENA平均では74位で世界140カ国のほぼ中間であった。カタール、UAE及びチュニジアは世界の上位グループに入り、またエジプト、バハレーン、シリアは中位グループ、そしてイエメンとサウジアラビアが世界の下位グループであった。


 このうちカタールは世界33位から翌年には一気に16位に上昇、その後も15位(‘10年) →12位(’11年)→12位(’12年)と着実に世界のトップクラス入りを果たしている。カタールのように5年間連続で順位を上げている国はMENAでは例を見ない。UAEの場合は5年間の世界順位の推移は42位→40位→44位→33位→46位であり、昨年から今年にかけて13ランク落ちたものの40位前後で世界の上位グループを保っている。


 これに対し5年前に上位グループであったチュニジアは2011年まではUAEと肩を並べていたが、今回の2012年は順位が一挙に72位に急落し、世界の中位グループに転落している。同国は昨年いわゆる「ジャスミン革命」により長期独裁政権が倒れ、その後の総選挙の結果イスラム政党が国会の過半数を握った。この間、民主化へのプロセスは比較的平穏に移行したが、国内ではイスラム勢力と西欧型の民主化を求める改革派との摩擦が高まっているとの見方が強い。この点が平和指数の悪化とみなされランクが急落したと考えられる。


 中位グループや下位グループの中にもチュニジアのように2008年以降大幅に順位を落とした国が少なくない。この結果、MENAの平均順位も2008年の74位から72位(09年)→75位(10年)→85位(11年)→93位(12年)と年々下落している。但し国毎に見ると順位の下落には二つのタイプが見られる。一つは2008年以降毎年順位が下落している国であり、他の一つは2010年まではほぼ順位が変化しなかったものの2011年、2012年の2年間で急激に順位を下げた国である。


 前者の傾向を示しているのがシリア及びイエメンである。両国の順位の推移はシリアが75位→92位→115位→116位→147位で、イエメンは106位→119位→129位→138位→143位と毎年順位を下げている。5年前には世界の中位レベルであったシリアは2010年に100位以下に転落、2012年の147位は世界最低レベルのランクに落ちている。イエメンはもともと世界の下位クラスであったが、それでも2008年は140カ国中の106位であったものが、2012年には159カ国中の143位に落ちている。


 一方、エジプトとバハレーンは2011、2012年の2年間で急激に順位を落としている。両国の2010年から2012年までの3年間の世界順位はエジプトが49位→73位→111位、バハレーンは70位→123位→118位と大きく落ちている。


 シリア、イエメン、エジプト及びバハレーンの4カ国に共通しているのはいずれも2011年の「アラブの春」の民主化運動で激しい反政府デモに見舞われたことである。しかしシリア及びイエメンについては「アラブの春」以前に既に国内に不安定要因が渦巻いていたと考えられる。一方エジプト及びバハレーンは「アラブの春」を契機に不安要因が一気に表面化したために平和指数のランクが急落したと考えられる。


以上


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-Mail; maeda1@jcom.home.ne.jp



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2012年06月22日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」に一括掲載されています。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0230MenaRank12.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その12)

2. MENA諸国の2012年「世界平和指数」
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/5-12aGpi2008-2012.pdf参照)
 MENA22カ国の中で最も平和度が高いのはカタールであり、世界158カ国のなかでも総合12位に位置している。これはベルギーに次いで高く、ドイツ(15位)よりも高いランクである。因みに世界で最も平和度が高いとされる国はアイスランドであり、日本はデンマーク、ニュージーランド、カナダに次ぎ世界第5位である。


 MENA諸国でカタールに続いで平和指数が高いのはUAE(世界ランク46位)であり、カタールとは大きく離れている。カタールはMENAの中でも傑出して高い評価を得ていることがわかる。MENA3位以下はクウェイト(世界48位)、モロッコ(同54位)、オマーン(同59位)と続いており、GCC4カ国がMENAの上位を占めている(なおGCCの残る2カ国のサウジアラビア及びバーレーンはそれぞれ世界106位、118位)。 6位ヨルダン(同62位)、7位チュニジア(同72位)までの7カ国が世界158カ国中の上位グループに入っている。


  これら7カ国以外のMENAの12カ国はいずれも世界順位が100位以下である。それぞれの国と順位は以下の通り。
 サウジアラビア(106位)、エジプト(111位)、バーレーン(118位)、アルジェリア(121位)、イラン(128位)、トルコ(130位)、レバノン(136位)、イエメン(143位)、シリア及びリビア(147位)、イスラエル(150位)、イラク(155位)。


 MENA19カ国の平均順位は93位で世界平均をかなり下回る水準である。カタールのような一部の国を除けばMENAは平和度の低い国が多いのが特色である。中でもイスラエルは経済、社会に関する世界ランクでは常に上位を占め、MENA諸国の中でも1,2位を争っている が、平和度の評価が極めて低いことは特徴的である。


3.2011年と2012年の比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/5-12aGpi2008-2012.pdf参照)
 2011年と2012年の順位を比較するとMENAの世界平均順位は2011年の85位から8ランク下がり2012年には93位となっている。調査対象国の数が153カ国から5カ国増えて158カ国になっているため単純には比較できないが、MENA地域の平和度が下がっていることは間違いない。国別で見るとMENA20カ国のうち順位を上げた国5カ国に対し、14カ国は順位を下げている。


 MENAの多くの国で平和度が下がったのは、昨年末から燃え広がった民主化革命の嵐(いわゆる「アラブの春」)により、地域全体が不安定化し、一部の国では現在も安定せず、むしろ平和が脅かされているケースすらある。特に順位を大きく下げた国はエジプト(73位→111位)、チュニジア(44位→72位)、シリア(116位→147位)等であり、シリアは世界最低クラスに落ちている。また石油ブームに沸くGCC諸国もUAE(33位→46位)、クウェイト(29位→48位)或いはオマーン(41位→59位)などは前年よりかなり順位が下がっており、経済的繁栄が必ずしも平和をもたらしていないことを示している。


 なお調査対象国が昨年の153カ国から5カ国増えているため、サウジアラビア(101位→106位)、トルコ(127位→130位)、イエメン(143位→147位)など下落が小幅にとどまっている国は実質的に前年度の横ばいと見ることができる。またイスラエル(145位→150位)、イラク(152位→155位)など平和度が世界最低ランクの国の順位が下がっているのも同じような理由である。


 順位を上げた国はモロッコ(58位→54位)、ヨルダン(64位→62位)、バハレーン(123位→118位)、アルジェリア(129位→121位)及びレバノン(137位→136位)の5カ国であるが、いずれも順位アップの幅は小さい。2011年から2012年にかけてMENA諸国は概して平和度が停滞もしくは下落しているのである。

 
(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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