2012年11月

2012年11月25日

(注)本レポートは「マイ・リブラリー(前田高行論稿集)」で一括してお読みいただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0252IslamicFinance.pdf

1.イスラム金融を巡る最近の動き:対照的なHSBCとStanChart
 HSBC(旧称Hongkong Shanghai Banking Corporation, 香港上海銀行)とStandard Chartered銀行(略称SCB又はStanChart)は世界有数の金融機関であり共にイスラム圏に強い基盤を有しているが、この二行がイスラム金融の取り扱いを巡って対照的な動きを見せている。


 HSBCはグループ内にHSBC Amanahと称するイスラム金融専門部門(いわゆるIslamic window)を設けて積極的なイスラム金融商品を手掛けてきた。しかし最近になって同行はグローバルなイスラム金融ビジネスを見直し、バハレーン、UAE、英国などのイスラム金融の取り扱いを停止し、サウジアラビアとマレーシア、そしてインドネシアの3カ国に絞り込むと発表した 。これに対して中東・アジア地域が稼ぎ頭であるStanChart銀行はUAE及びバハレーンにおけるイスラム金融ビジネスを拡大すると言うHSBCと全く逆の反応を示している 。


 なお地場銀行の対応を見るとアブダビ国民銀行(NBAD, National Bank of Abu Dhabi)やクウェイトのブビヤン銀行(Kuwait Boubyan Bank)はStanChartと同様イスラム金融に力を入れると表明 、ドバイのイスラム専門銀行Noor Islamic BankのCEOも事業の拡大を目指すと述べている 。


 何故このように慎重派のHSBCと積極派のStanChart及びGCC地場銀行に分かれるのであろうか。実は次項に述べるとおりイスラム金融市場自体は今後拡大すると言う見方が一般的であり、慎重派も積極派も異論の無いところである。対応が分かれるのはイスラム金融の収益性など将来のビジネス環境に対する評価であり、或いはビジネス分野に対する評価にありそうだ。


 但し一方ではイスラムの宗教規範に基づく独特の在り方(例えば金利を認めないなど)がイスラム金融のグローバル化の阻害要因になっていると言う点では慎重派と積極派両者の認識は共通している。そのような制約の中でいかなるビジネスモデルを描くかで両者の違いが現れているようである。イスラム金融市場の規模拡大と言うポジティブな側面と宗教規範に縛られるネガティブな側面に対して慎重派と積極派は戦略が異なると言えよう。


 本稿では最近の各種情報を渉猟しイスラム金融の将来について考えてみたい。


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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drecom_ocin_japan at 21:29コメント(3)トラックバック(0) 
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