2014年03月

2014年03月28日

2014年03月25日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してお読みいただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0307Halal.pdf

2.ハラール食品の市場規模
 「ハラール」とはアラビア語で「許されている」「合法」という意味であり、イスラムの教義に則って製造された食品、化粧品などを指している。イスラムでは豚肉やアルコールは禁じられ、牛・羊等食用可能な肉でも聖典コーランの教えに従ったと殺方法で処理されていない場合は「ハラーム(禁じられたもの)」として忌避する。世界中のムスリム(イスラム信者)は「ハラーム」を避け「ハラール」の製品を使用すると言う戒律を守っている。
 
 世界のムスリムは約16億人で全人口の23%を占めている(米Pew Research Center, PEW,統計による) 。つまり人類のほぼ4人に一人がムスリムなのである。地域ではアジア大洋州に全体の6割近くの10億人が住んでいる。国別で見るとインドネシアが2.1億人と最も多く、次いでインド1.8億人、パキスタン1.7億人などとなっている。インドは国民の大半がヒンズー教徒であるが、ムガールなどイスラム帝国の時代を通じて多数のイスラム教徒がいる。因みにこれらインド国籍のムスリムは宗教の親和性により湾岸産油国の労働力の供給源とみなされ、ドバイでは全人口の過半がインド人出稼ぎ者であることは周知のとおりである。


 言うまでもなく中東諸国は国民の殆どがムスリムであり、中東・北アフリカ(MENA)地域のムスリムは3億人強、アフリカのサハラ砂漠以南(サブ・サハラ)のムスリムも2.5億人に達する。これらアジア、MENA、アフリカがムスリムの三大居住地域であるが、ヨーロッパ、北米などキリスト教圏にも少なからぬムスリムがいる。例えばドイツ、フランスにはそれぞれ5百万人程度、米国にも270万人のムスリムがいる。その他中国(2,400万人)、ロシア(1,400万人)など多数のムスリムを抱える国もある。


 注目すべきはムスリムの人口増加率が高く、将来ムスリム人口が急激に増加すると見込まれることである。PEWは2030年の世界のムスリム人口は22億人、全世界に占める割合は26%と推定している。これら膨大なムスリムの胃袋を満たすためのハラール食品の市場が今後大きく成長することは間違いないのである。


 これまで日本を含めた欧米先進国でハラール食品がマーケット戦略の対象とされなかった最大の理由はハラール食品がイスラムの戒律に沿って製造されなければならないと言う煩雑さであろう。日本では豚肉は人気が高く、また調味料には酒、味淋等のアルコール類が日常的に使われている。このためハラール食品を製造するのは採算面から考えると非常に難しい。一方ハラール食品の消費国は開発途上国がほとんどであるが、そこでは食料品は自給自足もしくは地産地消型であり輸入食料品に対する購買力が低かったことも欧米先進国がハラール市場に消極的だった理由の一つであろう。


 しかし最近では湾岸産油国に限らず東南アジア各国の経済力が増してムスリムの生活が都市化、近代化しており、輸入ハラール食品に対する需要が急増している。また欧米各国でも移民ムスリムの増加に伴いハラール食品が市場の一角を形成するまでに成長している。こうして各国政府はハラール産業の育成に乗り出し、また民間企業もケロッグ、ネッスルのようにハラール市場に本格的に参入し始めている。


 Oxford Business Groupによれば、マレーシアは昨年98億ドルのハラール製品を輸出しており、タイの食品工場の4社に1社はハラール製品を製造している。またインドネシアは2015年にハラール産業のセンターを設立する計画であり、ドバイは食品のみならず化粧品、保健製品の製造流通企業を集めた「ハラール特区」構想を明らかにしている。非ムスリムの国では、ブラジルはイスラム諸国向け食肉輸出では今や米国に次ぎNo.2である。同国の食品メーカーBrazil Food Companyは中東向けに毎月7万トンの鶏肉を輸出しており、今年6月にはアブダビに工場を開く予定である。また米国内のハラール市場だけでも200億ドルと見込まれ 、アイオワのMidamar社は1974年以来ハラール市場に参入、現在では35カ国に牛肉と鶏肉を輸出していると言われる。このようにハラール産業は世界的な広がりを見せているのである。


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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drecom_ocin_japan at 16:55コメント(5)トラックバック(0) 
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