2014年10月
2014年10月25日
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0328MenaRank3.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その3)
(MENAの名目GDP総額は日本の約9割!)
2.2014年の各国の名目GDP(予測)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/3-T02.pdf参照)
MENA18カ国の中で2014年の予測名目GDPが最も大きい国はトルコの8,133億ドルであり、サウジアラビアが7,779億ドルで続いている。この2カ国がMENAの合計GDPに占める比率はそれぞれ18.9%と18.1%であり、両国はMENA諸国の中では突出したGDP大国である。第3位はUAEの4,164億ドル、第4位イラン(4,027億ドル)はいずれもトルコ或いはサウジアラビアの半分にとどまっている。
5位以下11位まではイスラエル(3,050億ドル)、エジプト(2,849億ドル)、イラク(2,322億ドル)、アルジェリア(2,278億ドル)、カタール(2,120億ドル)、クウェイト(1,793億ドル)、モロッコ(1,126億ドル)と続いている。以上11カ国が年間GDP1千億ドルを超える国々である。UAE、カタール、クウェイトなど人口の少ない産油国がイラン、エジプト、イラクなど地域の大国とそん色のないGDPを誇っている。
GDPが1千億ドル未満の国は、オマーン(805億ドル)、リビア(493億ドル)、チュニジア(491億ドル)、レバノン(475億ドル)、イエメン(455億ドル)、ヨルダン(366億ドル)、バハレーン(330億ドル)である。MENAでGDPが最も小さいヨルダンやバハレーンはサウジアラビア或いはトルコの20分の1以下である。
MENA18カ国のGDP総額は4.3兆ドル、全世界のGDPの5.5%であり、トルコ、サウジアラビア、UAE及びイランの上位4カ国でMENA全体の56%を占めている。世界GDPトップ3の米国、中国及び日本のGDPはそれぞれ17兆ドル、10兆ドル、4.8兆ドルであるが、MENAのGDP総額は日本の9割、中国の4割、米国の4分の1である。
これらのことからMENA地域は世界レベルで見ればGDPが低く、同時に域内ではGDP格差が極めて大きいと言えよう。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp
2014年10月24日
2014年10月23日
(注)本シリーズ1~4回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0327MenaRank12.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その12)
(平和が脅かされるMENA地域、世界最低クラスに沈んだエジプト!)
3.2013年と2014年の比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/12-T02.pdf 参照)
今回と昨年の平和指数、世界ランク及びMENA各国間のランクの変動を比較してみると、まずMENA19カ国平均の指数スコアは昨年の2.284に対して今年は2.309であり0.025ポイント下がっている。またMENA平均の世界ランクも昨年の101位から今回は103位と少し落ちている。MENAは過去1年間に平和が脅かされる状況が深刻化していると言えよう。
国別で見るとMENA19カ国のうち順位を上げた国は7カ国、下がった国10カ国、変わらなかった国2カ国であり、世界順位が落ちた国のほうが多い。順位を大きく下げたのはエジプトであり昨年の113位から今年は143位へと一挙に30位も落ちており世界162か国の中でも最低クラスとなっている。ムバラク政権からイスラム同胞団のムルシ政権へ、さらにはわずか1年ほどで再び軍事政権へとクーデタによる政変が続いたことが同国の平和に対する信頼感が薄れたからである。
バハレーンも同様に95位から111位に急落しているが、同国の場合1昨年は118位であり、3年間で激しいアップ・ダウンを繰り返している。スンニ派政権と国民の多数を占めるシーア派の間の関係が大きく揺れ動いていることが原因である。オマーンも昨年の世界45位から今年は59位に大きく後退している。その他順位を下げた国はUAE(36位→40位)、ヨルダン(52位→56位)などがあり、昨年、今年とMENA1位であるカタールも世界ランクは19位から22位に落ちている。
一方順位を上げた国の中ではサウジアラビアが昨年の97位から今年は80位へと目覚ましい躍進ぶりを示している。周辺のイラク、シリア、イエメンでイスラム過激派が活発な動きを示す中で内務省など治安組織が国内のテロ活動を抑え込んでいる。同国の平和は力づくで維持されていると見て良いであろう。またリビアも145位から133位へと平和度が上がったとされているが、最近は部族勢力間の闘争が激化しており来年も現在のランクを維持できるかは疑問である。
その他順位を上げた国にはトルコ(134位→128位)、イラン(137位→131位)、イエメン(152位→147位)などがあるが、平和度が低い国のランクは毎年上下しており多少の順位の変動は余り意味を持たないとも言えそうである。
MENA諸国間の順位はカタールに次ぐ2位がUAEからクウェイトに代わったが、その他の国々も1ランクの上下にとどまっている。特に大きく変動したのはエジプトが10位から14位に4ランク下がったことである。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-Mail; maeda1@jcom.home.ne.jp