2015年04月

2015年04月17日

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2015年04月16日

(注)本レポート(1)~(3)は「マイ・ライブラリー(前田高行論考集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0340MenaRank2.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その2)


  中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)

 
アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、


 これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。


 第2回のランキングは国連人口基金(UNFPA)発行の「世界人口白書2014」のデータによりMENA各国の人口・出生率・平均寿命等について比較しました。


(参考)国連人口基金東京事務所ホームページ「世界人口白書」:
http://www.unfpa.or.jp/publications/index.php?eid=00037


1. MENA各国の人口 (突出した人口大国:エジプト、イラン、トルコ)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-T01.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-G01.pdf参照)
 MENA諸国の中で最も人口が多いのはエジプトの8,340万人である。これに次ぐのがイランの7,850万人、トルコの7,580万人であり、MENAではこれら3カ国の人口が突出している。第4位はアルジェリアであり同国の人口は3,990万人である。この他人口が3千万人台の国はイラク(3,480万人)及びモロッコ(3,350万人)である。これら6カ国に続くのがサウジアラビア(2,940万人)、イエメン(2,500万人)、シリア(2,200万人)、チュニジア(1,110万人)であり、以上10カ国が人口1千万人以上の国である。


 MENA第11位の国はUAEであり、同国の人口は940万人とされている。但しこれは外国人労働者を含んだ数値である。UAEは正確な外国人の人数を公表していないが、同国の人口の8割近くは外国人で占められ、その多くはインド、パキスタン、東南アジア諸国からの出稼ぎ労働者である。このことはクウェイト、カタールなど同じ湾岸産油国についても言えることである。


 12位以下の国とその人口は次のとおりである。
 イスラエル(780万人)、ヨルダン(750万人)、リビア(630万人)、レバノン(500万人)、パレスチナ自治政府(440万人)、オマーン(390万人)、クウェイト(350万人)、カタール(230万人)、バハレーン(130万人)。

カタールはUAEと同様外国人が人口の8割以上を占めており本来の自国民は30万人程度と言われ実質的にはMENAで最も人口が少ない国である。


(続く)


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp




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2015年04月15日

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2015年04月13日

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2015年04月12日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0339WorldMuslimPopulation2015.pdf

2.2010~2050年の世界の宗教人口の推移
  PEWレポートは2010年以降10年ごとの世界総人口と宗教別人口の推移を予測している。これによると世界の総人口は2010年の69億人が2020年には77億人、さらに83億人(2030年)、89億人(2040年)となり2050年には90億人を突破して93億人に増加すると見込まれている。今世紀半ばの2050年には2010年人口の1.3倍となる。


 宗教別ではキリスト教徒の人口が今後とも最も多くを占め、22億人(2010年)→24億人(2020年)→26億人(2030年)→28億人(2040年)→29億人(2050年)と年々増加する見通しである。2050年は2010年の1.3倍で世界総人口と同じ増加率である。


 これに対してムスリム(イスラム教徒)の人口はキリスト教徒の伸びを大きく上回り2010年の16億人が2020年には19億人、さらに2030年22億人、2040年25億人になり、2050年には28億人に達すると見込まれている。2010年から2020年までの10年間で16%増加し、2030~2050年もほぼ同様の増加が続く。この結果、2050年のムスリム人口は世界全体の30%を占めキリスト教徒人口に並ぶ勢いである。


 ちなみにヒンズー教徒はキリスト教徒と同じ増加傾向を示し、2050年の世界人口に占める割合は2010年と変わらず15%である。これに対して仏教徒だけはこれら3つの宗教と異なり2010年の4.9億人が2030年に5.1億人のピークに達した後は減少し、2050年には2010年の水準に逆戻りする。このため仏教徒が世界人口に占める割合は2010年の7.1%から年々減少し2050年には5.2%になると見込まれている。


3.2050年のムスリム人口
(1)宗教別人口
(図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-I-2-G021.pdf参照)
 2050年の宗教別人口はキリスト教徒29億人、ムスリム28億人、ヒンズー教徒14億人、仏教徒5億人、その他18億人であり、キリスト教徒とムスリムの人口はほぼ肩を並べ、全人口に占める割合はともに30%である。即ち全世界の人口の3人に一人はムスリムということになる。


(2)国別人口
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-I-2-T031.pdf参照)
 2050年の国別のムスリム人口ではインドが世界一の3.1億人に達する見込みである。これに次ぐのがパキスタンで同国のムスリムは2.7億人となる。2010年にムスリム人口が世界最大であったインドネシアは世界3位の2.6億人である。ナイジェリアはムスリムの増加率が際立って大きく2010年の7千7百万人が2050年には3倍の2.3億人に達すると見込まれている。このほかバングラデシュ(1.8億人)およびエジプト(1.2億人)がムスリム人口1億人を超えると予測されている。


 これらイスラム国に対して西欧諸国、ロシア、中国などの非イスラム国の場合、ほとんどの国で人口が減少する傾向にあるが、ムスリム人口だけは例外なく増加しており、従っていずれの国でもムスリムの比率が上昇している。例えば2050年のフランスのムスリムは2010年(471万人)の1.6倍、754万人に増加、ムスリム比率も7.5%から10.9%に拡大する見込みである。またドイツのムスリムも476万人から7百万人(ムスリム比率:5.8%→10%)に増加、両国では10人に一人がムスリムということになる。これは中東・北アフリカのムスリム諸国から引き続き移民が流れ込むとともにムスリムの二世、三世がハイ・ペースで増加するためと考えられる。


 土着のムスリムを抱える中国、ロシアにおいてもムスリムの人口増加率が多数派民族を上回り、2050年のムスリム人口は中国の場合3,500万人、ロシアでは2,100万人と推定されている。さらにイスラエルの場合ムスリムの絶対数は多くないものの、その比率は2010年の19%から2050年には25%に達し、4人に一人がムスリムということになる。


4.ムスリム人口の増加がもたらす問題は?
 PEWの1990年の調査では世界のムスリム人口は11億人であり、総人口に占める比率は21%であった 。そして本稿で見た通りムスリム人口は今後も世界人口の平均増加率を大きく上回るペースで増加すると見込まれ、2050年には全人口の3割を占めキリスト教徒の人口とほぼ肩を並べるようになる。そして仏独などヨーロッパ各国でもムスリムの絶対数および全人口に占める比率も上昇の一途をたどると予測されている。


 ムスリムがPEWの予測通りに増加するとなれば、そこには多くの問題が潜んでいる。筆者の思いつくままに列挙すればそれは以下のようなことではないかと思われる。


1) ムスリムが多数を占める国々の多くは発展途上国であり欧米先進国に比べて貧しい。現在の経済格差が縮まらないのであれば(その可能性は高い)、格差はさらに広がりイスラム社会は過激思想の温床となる。


2) キリスト教徒とムスリムの共存のための対話が進展しなければ、今後人口が肩を並べる段階で両者の対立がますます先鋭化する恐れがある。


3) ヨーロッパ諸国、中国等の非イスラム国におけるムスリムの人口比率が漸増傾向にあり、各国の不安要因が増大すると予測される。それは一方ではムスリムによる国内テロ活動、他方では極右団体による移民排斥運動と重なって社会が両極に分裂、一般市民のなかにイスラムフォビア(嫌悪思想)あるいは偏狭な民族思想が蔓延する恐れがある。


4) アラブ・ムスリムの大海に浮かぶイスラエルでムスリムが全国民の4分の1を占めるようになれば(2050年予測)明らかにユダヤ人の国というイスラエルの国是そのものが揺らぐことになろう。今後もパレスチナの分離独立を認めないのであれば、アラブ・ムスリムに対する選択的人口抑制策(それは実におぞましくも戦慄的なことであるが)の思想が一部ユダヤ人に生まれないとも限らない。


(完)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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