2015年05月
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0344MenaRank17.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その17)
(トップのイスラエルとそれに続くGCC諸国!)
2. 2015年のITネットワーク整備指数順位
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/17-T02.pdf参照)
今年度のレポートでランク付けの対象となった国の数は143カ国であるが、そのうちMENAは17カ国である。MENA19カ国のうちランク付けされていないのはシリア、イラク、パレスチナ自治政府の2か国1機関である。
MENA諸国の中でITネットワーク整備指数が最も高いのはイスラエルであり、同国の世界ランクは21位である。イスラエルに続くのはUAE(世界23位)、カタール(同27位)、バハレーン(同30位)、サウジアラビア(同35位)およびオマーン(同42位)でありクウェイトを除くGCC5か国が2位から第6位を独占している。これに次いでトルコが世界48位であり、これら上位7カ国が世界の50位以内である。以下はヨルダン(世界52位)、クウェイト(同72位)、モロッコ(同78位)、チュニジア(同81位)、エジプト(同94位)、イラン(同96位)及びレバノン(同99位)までが世界100位以内である。世界100位以下はアルジェリア(120位)、リビア(131位)、イエメン(136位)の3か国である。
GCC6カ国のうち5カ国(UAE、カタール、バハレーン、サウジアラビア及びオマーン)は世界順位が23位から42位と上位グループにあるが、同じGCC加盟国であるクウェイだけは世界72位であり世界143か国の下位グループでとされ評価が極めて低い。クウェイトは国土も人口もさほど大きくなく、それでいて産油国として財政が豊かであるにも関わらず同じ条件のUAEやカタールに比べてITネットワークの整備が遅れていると判定されたのは大きな問題をはらんでいると言えそうである。
なおMENA17カ国の世界平均順位は70位であり全体としてはほぼ世界の中位である。因みに日本は世界10位でありMENAのいずれの国よりもランクは高い。また米国は世界7位、中国は世界62位である。中国の順位はMENA諸国の中ではヨルダンとクウェイトの中間に位置している。なお世界1位はシンガポールである。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
2015年05月21日
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0344MenaRank17.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その17)
中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)
アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、
これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。
第17回のランキングは、「世界経済フォーラム(World Economic Forum, 略称WEF)」が毎年発表する「The Global Information Technology Report」(*)の中から「The Networked Readiness Index 2015」についてMENA諸国をとりあげて比較しました。
* ホームページ:http://reports.weforum.org/global-information-technology-report-2015/
1.「The Networked Readiness Index」について
「The Networked Readiness Index」(ITネットワーク整備指数)はWEFが毎年発表している「The Global Information Technology Report」でITの整備状況に関する各国の競争力をIndex(指数)としてランク付けしたものである。今回の2015年レポートでは世界143カ国がランク付けの対象となっている。
Indexは(1)Environment (ITネットワーク環境)、(2)Readiness (ITネットワーク達成度)、(3)Usage (ITネットワーク利用状況)及び(4)Impact (ITネットワークのインパクト)の四つのサブ分野で構成され、またそれぞれのサブ分野ごとにPillar(柱)と呼ばれる合計10個の評価項目がある。10項目について各国毎に評価し、それらを総合した指数(NRI)により143カ国がランク付けされている。
サブ分野(Sub Index)とそれぞれの評価項目(Pillar)
Environment (ITネットワーク環境)
(1)Political and regulatory environment(政治・制度環境)
(2)Business & innovation environment (ビジネス及びイノベーション環境)
Readiness (ITネットワーク達成度)
(3)Infrastructure & digital content (ITインフラ及びデジタル・コンテンツ)
(4)Affordability (IT機器・ソフト入手の難易度)
(5)Skills (IT技術の習熟度)
Usage (ITネットワーク利用状況)
(6)Individual usage (個人の利用状況)
(7)Business usage (ビジネス部門の利用状況)
(8)Government usage (政府部門の利用状況)
Impact (ITネットワークのインパクト)
(9)Economic impact (経済的インパクト)
(10)Social impact (社会的インパクト)
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0343MenaRank10.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その10)
3.2010年~2014年の日本とMENA諸国の貿易(続き)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/10-T04ImportExport2010-2014.pdf 参照)
(輸入の伸びが止まったカタール、経済制裁のイランからの輸入は5年前の7割!)
(3)主な国の輸入額の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/10-G05Import2010-14ByMajorCountries.pdf参照)
サウジアラビア、UAE、カタール、イランおよびイラクは石油・天然ガスの主要な輸入国であるが、これら5カ国の過去5年間の国別輸入額の推移を見ると、5年間を通じてサウジアラビアの輸入額が最も多く、その額も2010年の3.1兆円から2014年には1.6倍強の5兆円に急増している。UAEも同様に2.6兆円から4.4兆円の1.7倍に増加している。カタールからの輸入額はサウジ、UAEよりは少ないものの、2010年の1.9兆円から2.4兆円(2011年)→2.9兆円(2012年)→3.6兆円(2013年)と急激に増加した。しかし昨年の輸入は2013年を下回っている。円安による輸入額減少の効果はサウジアラビア、UAE等もおなじであることを考えると、カタールからの輸入減はLNG価格の下落、同国以外の輸入国の多様化等の影響と言えよう。これら3カ国がMENAの全輸入額に占める割合は2010年に72%であったが、2014年には80%に達しており、MENAからの輸入は一部の国に偏っていることがわかる。
これら3カ国に対してイラクからの輸入額は3,000億円以下で低迷し、特に昨年は1,600億円にとどまっている。イランについては2010年、11年と1兆円前後であった輸入額が2014年には6,600億円に急落しており、経済制裁による原油輸入抑制の影響が大きく表れている。
(オイルブームで好調なサウジアラビア、UAE向け輸出、イランは経済制裁で激減)
(4)主な国の輸出額の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/10-G06Export2010-13ByMajorCountries.pdf参照)
MENAの日本からの輸出額では過去5年間を通じてUAEがトップである。これはドバイを通じた第三国への再輸出が多いからである。UAE向けの2010年の輸出は6,400億ドルであったが、2011年には「アラブの春」の影響で一時的に5,900億ドルに減少した。しかしその後はオイルブームにより2012年以降同国向けの輸出が3年連続で急増、2014年にはついに1兆円の大台を超えた。
オイルブームは同じ湾岸産油国のサウジアラビアにも表れており、同国向け輸出は2010年の5,700億円から2014年には1.4倍の8,000億円に増加している。その一方、同じ産油国であるがイラン向け輸出は2010年の1,824億円から毎年減少、2014年には10分の1近い266億円にとどまっている。これは言うまでもなく対イラン経済制裁によるものである。
地域の経済大国であるトルコ及びエジプト向け輸出は過去5年間を通じて大きな変化は見られなず、トルコ向け輸出は2,000億円台前半、エジプト向けは1,000億円台前半である。「アラブの春」の影響で経済活動が停滞していることが両国向け輸出に影響していると考えられる。
以上
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