2015年07月

2015年07月21日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0350MenaRank4.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)


(イスラエル・UAEの2強とそれに続くサウジアラビアなど4か国!)
7.2014年のFDI Outward Stock(対外投資残高) 
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-T07.pdf 参照)
 2014年末のMENA19カ国及び1機関(パレスチナ自治区)のFDI Outward Stock(FDIアウトバウンド残高)は3,731億ドルである。全世界の対外投資残高25.9兆ドルに占める比率は1.4%で、MENA各国の対外投資は他の地域に比べて低い水準にとどまっている。


 FDIアウトバウンド残高が最も多い国はイスラエルの780億ドルであり、これに次ぐのがUAEの663億ドルである。残高が500億ドルを超えるのはこの2カ国だけでありMENA諸国の中では際立っており全体の4割弱を占めている。これに次ぐ第3位はサウジアラビア(447億ドル)、第4位トルコ(401億ドル)である。サウジアラビアは前年比54億ドル増加、トルコも73億ドル増加しており、増加額はUAEを上回っている。


 第5位はクウェイト(365億ドル)、第6位カタール(352億ドル)であるが、カタールは前年比67億ドル増加しており、MENAの中ではトルコに次いで増加額が大きい。この他第7位リビア(204億ドル)、第8位レバノン(126億ドル)、バハレーン(107億ドル)までが残高100億ドル以上の国で、これら9カ国でMENA全体の9割を占めている。MENAの対外投資は一部の国に偏っていることを示している。


 上位9か国のうち5カ国(UAE、サウジアラビア、クウェイト、カタール、バハレーン)はGCC加盟国であり、2000年以降の原油価格高騰により生まれた豊富なオイルマネーが外国投資に振り向けられた結果と言えよう。なおクウェイトの場合、FDIインバウンドは単年度及び累積残高ともMENA諸国の中でも低いレベルにとどまっているのに対し(1、3章参照)、FDIアウトバウンドは単年度ではMENA1位(その2参照)、残高では5位であり、オイルマネーが継続的に国外に向かっていることを示している。


 残高が100億ドル未満の国は、オマーン(75億ドル)、エジプト(68億ドル)、モロッコ(42億ドル)、イラン(41億ドル)、イラク(20億ドル)、アルジェリア(17億ドル)等があり、イエメン、ヨルダン、シリア、チュニジア及びパレスチナ自治政府は投資残高が10億ドル未満である。


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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2015年07月20日

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(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)


6.1990-2014年末のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高)の推移(続き)
(2000年以降大きく伸びるサウジ、トルコなど4カ国への投資流入!)
(2)主要4カ国のFDIインバウンド残高推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-G04.pdf 参照)
 FDIインバウンド残高の変動はMENA各国で大きく異なるが、ここでは地域における主要な投資受入国4カ国(サウジアラビア、トルコ、UAE及びエジプト)について、1990年、2000年及び2009-14年の各年末の残高の推移を概観してみる。


 1990年~2000年までの10年間はサウジアラビア、トルコ、エジプト3カ国の残高は100億ドル台で推移し3カ国の差は殆どなく、UAEの残高はわずかに一桁台の金額であった。大きく動き出したのは2000年台前半であり、2009年末になるとサウジアラビアの残高は2000年の8.3倍1,471億ドルに増加、またトルコおよびUAEは700億ドル台に達している。特に2000年末に11億ドルにすぎなかったUAEは734億ドルとなりエジプト(667億ドル)を追い抜いた。


 トルコはその後増減を繰り返しており、2009年から2010年にかけては残高が2倍に急膨張しMENAのトップとなった。その後は一進一退を続けており2014年の残高は1,686億ドルである。これに対してサウジアラビアは2009年以降も一貫して残高を増やしており現在はMENA諸国の中で最も多い。


 2009年末に734億ドルであったUAEの残高はその後も毎年着実に増加しており、2014年末は1,156億ドルを記録している。UAEでは2008年のリーマン・ショックの後ドバイへの投資が低迷したが、UAE全体としての投資残高が減ることはなかった。最近ではドバイの景気も回復してきたため投資の流入が加速しつつあるように見受けられる。


 エジプトは1990年末の残高がトルコと肩を並べる110億ドルであり、2000年末の残高200億ドルはトルコ、サウジアラビアをしのぎMENAではイスラエルに次ぐ大きさであった。2000年以降の同国の残高は2010年まではUAEと肩を並べるペースで成長してきたが、それ以降は増加が鈍っており、特に2010年から2012年までは700億ドル台前半で足踏み状態を続けていた。2014年は879億ドルを記録、成長の兆しが見えてきたが、過去4年間でUAEとの格差は広がりつつある。同国はムバラク政権崩壊からムスリム同胞団のムルシ政権、さらにはシーシ軍事独裁政権の復活とめまぐるしく変動しており、経済が大きく悪化した。その影響が外国からの投資停滞の原因と言って間違いないであろう。


(続く)


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2015年07月19日

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(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)

6.1990-2014年末のFDI Inward Stock (FDIインバウンド残高)の推移
(MENA全体のFDIインバウンド残高は中国一国とほぼ同じ!)
(1)MENAのFDIインバウンド残高
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-T06.pdf 参照)
 1990年末のMENAのFDIインバウンド残高の合計は616億ドルであり全世界の投資残高2兆ドルの3%弱を占めていた。10年後の2000年末には残高は1,365億ドルに倍増している。その後もFDIインバウンドの残高は急激に膨らみ、2009年末は6,920億ドルと9年間で5倍に増加し世界全体に占める割合も4%弱に達した。2010年には前年比25%増の8,660億ドルに達し、2013年には1兆ドルを超え、2014年末の残高は1兆680億ドルに達している。世界全体のFDIインバウンド残高に占めるMENAの割合も1990年の2.8%から現在は4%台にアップしている。

 MENAのインバウンド残高を日本、米国及び中国と比較すると、1990年末の日本の残高は99億ドルでサウジアラビア、トルコ或いはエジプトよりも少なかった。中国の残高は207億ドルでMENAの3分の1にとどまる。これに対し米国の流入残高は5,396億ドルあり、MENAを10倍近く引き離していた。2000年末ではMENAの残高は日本(503億ドル)の3倍である。中国の残高は10年間で9倍に膨張、1,933億ドルとなりMENAを追い越している。一方、米国の残高は2.8兆ドルに達しMENA総額の20倍を超え両者の格差はひろがった。

 2014年末のFDIインバウンド残高はMENA1兆680億ドル、日本1,710億ドル、米国5.4兆ドル、中国1兆850億ドルであり、MENAは日本の6.3倍、中国とほぼ同じ規模である。

(続く)

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2015年07月17日

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(高いFDIインバウンド残高を誇るサウジアラビア、トルコおよびUAE!)
5.2014年末のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高) 
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-T05.pdf 参照)
 2014年末のMENAのFDIインバウンド残高(FDI Inward Stock)は総額1兆46億ドルであり、世界全体の残高25兆4,600億ドルに占める比率は4%であった。同年中の全世界のFDIインバウンドに占める割合(5.1%)より少し低い。


 残高の最も多い国はサウジアラビアの2,083億ドルであり、2位はトルコの1,455億ドル、3位はUAEの1,055億ドルであり、MENAの中ではこれら3カ国が1千億ドルを越えている。これら3カ国がMENA全体に占める割合は46%に達する。続く4位はイスラエル(882億ドル)、5位エジプト(850億ドル)である。これら5カ国はトルコが前年度より232億ドルと大幅に減少しているのを始め、UAEとイスラエルは100億ドル強、サウジアラビア76億ドル、エジプト28億ドルといずれも前年末より残高が減少している。


 6位以下10位まではレバノン(556億ドル)、モロッコ(503億ドル)、イラン(409億ドル)、チュニジア(336億ドル)、カタール(300億ドル)であり、イエメン及びパレスチナ自治政府は投資残高100億ドル未満である。


 2014年の単年度FDIインバウンド(本レポート第1章参照)と同残高それぞれの順位を比較すると、単年度ではトルコ1位、UAE2位、サウジアラビア3位、イスラエル4位、エジプト5位であり、これに対して残高ではサウジアラビア1位、トルコ2位、UAE3位、イスラエル4位、エジプト5位である。上位5位は同じ顔ぶれでありこれら5カ国はMENAの中で外国投資家の人気が高いことがわかる。


 イラクは単年度FDIインバウンドでは48億ドルでエジプトに次いで多いが、残高は153億ドルでMENA17位にとどまり、サウジアラビアの14分の1、トルコの10分の1に過ぎずオマーンやリビアよりも少ない。旧フセイン政権時代に経済制裁を受け、2003年のイラク戦争後も経済回復が進まず、さらに最近では「イスラム国」の台頭により国内の政情不安が収まらないなど長期間にわたり投資環境が悪化したままであり外国投資家が敬遠していることがわかる。


 なお日本、米国、中国の流入残高はそれぞれ1,710億ドル、4兆9千億ドル及び9,600億ドルである。MENAトップのサウジアラビアに比べると、日本は同国よりやや少なく、米国は24倍、中国は4.6倍である。またMENA全体の投資残高(1兆46億ドル)は、中国のそれを少し上回っており、日本の6倍、米国の5分の1である。


(続く)


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