2015年10月

2015年10月21日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0358GlobalIslamicEconomy.pdf

3.Global Islamic Economy Indicator(世界イスラム経済指標)によるランク(続き)
(まだまだ小さいイスラム金融、資産規模では全世界の銀行の0.96%!)
(7) Islamic Finance (イスラム金融)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-O-09.pdf参照)
 イスラム金融は近年世界的に注目を浴び急速に発展していると言われる。2013年のイスラム金融機関の資産規模は1.2兆ドルであり、楽観的なシナリオに従えば2014年には4.2兆ドルに達すると推定されている。但しこれを世界規模で比較した場合、2013年の全世界の金融機関の資産規模は127兆ドルでありイスラム金融の占める割合は1%に満たず0.96%にすぎない。楽観シナリオでは2014年に3.2%に達するが、それでもイスラム圏の人口あるいはGDP規模から見ても決して高いとは言えない。


 2013年のイスラム金融の市場規模は上位15カ国で合計1.6兆ドルである。15カ国の中で最も大きいのはマレーシアの4,230億ドルであり、全体の4分の1を占める。次いで大きいのはサウジアラビアの3,380億ドルで、両国を合わせると世界のイスラム金融のほぼ半分に達する。
 
 この2か国に続き3位から7位にはイラン(3,230億ドル)、UAE(1,400億ドル)、クウェイト(920億ドル)、カタール(810億ドル)、バハレーン(650億ドル)と続いているが、いずれも湾岸産油国である。8位以下14位まではトルコ、インドネシア、バングラデシュ、パキスタン、エジプト、スーダン、ヨルダンの各国であり、15位には金融大国のスイスが入っている。


 ちなみにレポートでは著名なイスラム金融機関としてサウジアラビアのAl Rajhi Bank、クウェイトのKuwait Finance House(KFH)、エジプトのShekra及び英国のWafaaLend社の名が挙げられている。


以上


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp



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2015年10月20日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0358GlobalIslamicEconomy.pdf

3.Global Islamic Economy Indicator(世界イスラム経済指標)によるランク(続き)
(医薬・化粧品分野では圧倒的に輸出競争力が高い西欧諸国!)
(6) Halal Pharma & Cosmetics (医薬・化粧品)
(6-1) ハラール医薬品
 2013年のハラール医薬品の市場規模は全体で720億ドルと推定され、世界の医薬品市場1.1兆ドルの6.6%である。ハラール医薬品は今後年率6%で伸びるとみられ、2019年の市場は1,030億ドルに達する見込みである。


(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-O-07.pdf参照)
 2013年の市場を各国別に見ると最大の市場はトルコの89億ドルである。これに続くのがサウジアラビアの59億ドル、インドネシア49億ドルでトルコの6割前後である。4位はアルジェリア(34億ドル)であり、5位から10位までのロシア(29億ドル)、イラン(25億ドル)、フランス(24億ドル)、エジプト(23億ドル)、米国(22億ドル)、ドイツ(22億ドル)は20億ドル台である。


 一方OIC諸国への主要な輸出国とその金額はトップがフランスの47億ドル、2位はスイスの44億ドル、3位ドイツ40億ドル、4位ベルギー34億ドル、5位英国18億ドルと上位5か国は西ヨーロッパ諸国である。その他10位までを見てもインド(17億ドル)、オランダ(13億ドル)、デンマーク(10億ドル)、米国(10億ドル)、イタリア(8億ドル)と10か国中9か国は欧米諸国で占められ非西欧国はインドのみである。


(6-2)ハラール化粧品
 2013年のハラール化粧品の市場規模は460億ドルであり、世界全体の市場6,800億ドルの6.8%を占めている。この市場は2019年には730億ドルに拡大すると見込まれ、この間の年間増加率は8%である。


(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-O-08.pdf参照)
 各国別の市場規模では最も大きい国がUAEの49億ドルであり、以下トルコ(44億ドル)、インド(35億ドル)、ロシア(34億ドル)、インドネシア(34億ドル)と続いている。人口がはるかに少ないUAEの市場がトルコ、インド等よりも大きいのは、同国が豊かな産油国であることに加え、ドバイが世界的なハブ空港として旅行客相手の免税化粧品の売り上げが多いためと考えられる。


 上位15カ国の中にはフランス(17億ドル)、ドイツ(15億ドル)、英国(12億ドル)、イタリア(8億ドル)等の西ヨーロッパ諸国に加え米国(8億ドル)、カナダ(6億ドル)及び中国(6億ドル)の各国が顔を出している。


 一方化粧品の輸出国としてはフランスがトップであり輸出額は166億ドルに達し、ドイツ(112億ドル)あるいは米国(111億ドル)を大きく引き離している。その他上位10カ国にはアイルランド、英国、シンガポール、イタリア、スペイン、中国、オランダが挙げられ、それぞれ80~30億ドルの輸出を行っている。医薬品同様欧米諸国が高い競争力を有していることがわかる。


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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2015年10月19日

drecom_ocin_japan at 10:41コメント(0)トラックバック(0) 

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0358GlobalIslamicEconomy.pdf

3.Global Islamic Economy Indicator(世界イスラム経済指標)によるランク(続き)
(トルコを除きメディア・娯楽に弱いイスラム諸国、幅を利かす欧米諸国!)
(5) Halal Media & Recreation (メディア・娯楽)
 イスラム諸国の多くは開発途上国であり、また強権的な独裁政権が少なくない。「アラブの春」によりいくつかの独裁政権が倒れたが西欧型民主主義が根付いたとは言えない状況である。さらに宗教一般に見られる禁欲的な教えはイスラム社会では特に色濃く表れている。これら二つの理由によりイスラム諸国ではメディア及び娯楽の発達がかなり遅れていると言って良いであろう。


 メディア・娯楽分野における全世界の市場規模3.6兆ドルに対してイスラム諸国のそれは1,850億ドルであり、世界に占める比率は5%にとどまっている。ハラール食品の18%(第2項参照)、旅行・観光業の12%(第3項参照)に比べて比率が低い。


 しかし情報通信技術が発達しインターネットが一般市民の中に深く入り込んだ現代社会はイスラム諸国においても為政者の恣意的な判断で抑え込むことは不可能な時代になっている。このため今後メディア・娯楽部門においても成長が見込まれ、報告書では2019年の市場規模を3,000億ドルと推定している。


(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-O-06.pdf参照)
 ムスリム向けのメディア・娯楽市場規模が世界で最も大きいのはトルコの300億ドル強であり、全市場規模1,850億ドルに占める割合は16%である。これに次ぐのはインドネシアの94億ドルであるが、第3位には米国(92億ドル)がランクされている。そして第4位のイラン(91億ドル)に続く5位から7位にはフランス(91億ドル)、英国(87億ドル)、ドイツ(85億ドル)の西ヨーロッパ諸国が並んでいる。これら3カ国にはムスリムの移住者が多くメディア・娯楽に対する需要があるが、それ以上に中東北アフリカに住むムスリム向けのメディア・娯楽のコンテンツビジネスが盛んなためであろう。


 8位は国内にムスリムの多いロシア(82億ドル)であり、9位以下にはサウジアラビア(81億ドル)、エジプト(66億ドル)、UAE(44億ドル)、マレーシア(36億ドル)、カザフスタン(32億ドル)、モロッコ(32億ドル)等のOIC諸国が顔を並べている。エジプトはかつてアラブ諸国のメディアの中心であり、また映画あるいはTVドラマでアラブ諸国をリードしていたが、インターネット、U-チューブ等の急速な進展に乗り遅れメディア・娯楽産業のリーダーシップを失ったように見受けられる。


 なおレポートではこの分野における著名な企業として、英国のAwakening Records、フランスのAl-Kanz及びシンガポールのMuslim Pro appを挙げている。

(続く)


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