2016年11月

2016年11月18日

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2016年11月17日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0394MenaRank8.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その8)

 

5.中東5カ国と日米中の要素別比較(レーダーチャート)

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/8-G02.pdf 参照)

 MENAの三大国(トルコ、エジプト、イラン)GCC2カ国(サウジアラビア、UAE)及びMENA平均並びに日本、米国、中国3カ国を取り上げ、総合順位と4つの分野別順位(経済、教育、健康及び政治)をレーダーチャートで表してみる。レーダーチャートは最も外側が世界1位(つまり男女格差が世界で最も小さい)であり、以下中心に向かうほど順位が低くなる(即ち男女格差が大きい)。グラフの実線が外側に広がるほど男女格差が少ないことを示し、また真円に近いほど男女格差のバランスが取れていることを示している。

 

(1)  チャート1(トルコ、エジプト、イラン)

 トルコ、エジプト、イランは総合順位が世界130位、132位、139位といずれも低いランクにとどまっている。4つの分野の中では3カ国とも経済分野の男女格差がおしなべて悪く、また政治ランクもイランが136位、エジプト115位、トルコは113位にとどまっている。教育分野は3カ国とも100位前後で(トルコ109位、イランは94位、エジプト112)位である。健康は男女格差が比較的少ない分野であり、トルコは世界1位である(但し上記3に述べたとおりトルコのほかに40カ国が同一指数の世界1位である)。エジプトは95位、イランは98位。

 

(2)  チャート2(サウジアラビア、UAE及びMENA平均)

 総合順位はUAE124位、MENA平均127位、サウジアラビア141位である。経済分野の男女格差はUAEが130位、MENA平均は128位であるがサウジアラビアは世界144カ国中では最低レベルの142位にとどまっている。政治分野はUAEが世界83位に対しサウジアラビアは121位で、MENA平均の114位を下回っている。教育分野はいずれも総合順位よりも高く、特にUAEは世界32位でかなり高いランクである。健康分野はMENA平均が106位であるが、サウジアラビアは128位、UAEは132位とランクが低く、両国では男女間の格差が大きいことを示している。

 

(3)  チャート3(日本、米国、中国)

 総合順位では米国が45位であるのに対して、中国及び日本はそれぞれ99位、111位にとどまっており特に日本のランクの低さが目立つ。米国は教育の男女格差が世界1位であるが、その他の分野は経済の男女格差が世界26位、健康格差は世界62位、政治格差は世界73位である。中国は経済、教育、政治のいずれの分野でも日本を上回っているが、健康分野だけは男女格差が世界最低の144位である。総合順位111位の日本は健康分野が世界40位で米国及び中国を上回っているが、その他の3分野(経済、教育及び政治)の男女格差は米国及び中国よりも遅れており、特に政治分野の男女格差が大きい。

 

(完)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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2016年11月16日

第6章:現代イスラームテロの系譜

 

3.世界を震撼させた911同時多発テロ

46-911テロ
  2
1世紀は「911同時多発テロ」で幕を開けた。20世紀末の最後の10年間にもイスラームテロが多発したが、911テロはその規模の大きさと言い、世界に与えた影響と言い比較にならないものであった。

 

20世紀末の主なテロを列挙すると1992年のイエメン・アデンのホテルの爆弾事件でオーストリア人観光客2名が死亡、翌93年にはニューヨークの世界貿易センタービルで8人が死亡、1,000人以上が負傷する爆破事件が発生している。さらにエジプトのルクソールで観光客に対するテロ事件(1998年)、ケニアとタンザニアでの米国大使館同時爆破テロ(1998年)、さらに1999年9月にはモスクワで2件のテロ事件により200人以上の死者が発生している。

 

これらのテロ事件の犯人たちはいずれもムスリム(イスラーム教徒)であるが、首謀した組織や事件の背景により大きく三つに分けることができる。一つは狂信的なイスラーム主義者による単独犯的な異教徒襲撃事件であり、ルクソール事件がそれに相当する。もう一つはイスラーム反政府組織による中央政府に対する抵抗運動であり、中央アジアのイスラーム系組織によるモスクワ・テロ事件がこれである。この二つのテロはいずれも国内犯による国内事件である。

 

これに対してニューヨーク或いはケニア、タンザニアの爆弾テロは、オサマ・ビンラーデン率いるイスラム原理主義組織「アル・カイダ」が米国を標的として世界に展開したテロ活動であった。そのアル・カイダが本格的に牙を剥き21世紀初頭に引き起こしたのが「911同時多発テロ」であった。誰一人知らぬ者がないほど有名な事件であるが、ここでそのあらましを追ってみよう。

 

2001年9月11日朝、ボストン発ロスアンゼルス行きアメリカン航空11便が午前8時14分にハイジャックされた。犯人は操縦桿を握り進路を南に変更、8時46分にニューヨーク・世界貿易センタービルの北棟に突入した。市民たちは最初何が起こったのか理解できず、小型機が操縦を誤って衝突したとばかり思った。ところがアメリカン航空11便の直後に同じ空港から同じ目的地に向かったユナイテッド航空175便が同じようにハイジャックされ、後を追うような形で貿易センタービルの南棟に突入、最初の事件を報道していたテレビニュースがその瞬間の有様を中継したことによりニューヨーク市民だけでなく世界中の人々がライブ映像で目撃することとなった。実に信じがたい光景だったのである。これにより人々は尋常ならざるテロ事件であることを理解した。

 

事件はこれだけではなかった。ワシントン発ロスアンゼルス行きアメリカン航空77便もハイジャックされ、こちらは9時38分、国防総省本部(建物が五角形の星形であることからペンタゴンと通称される)に激突した。さらにニューアーク発サンフランシスコ行きユナイテッド航空93便が9時27分に乗っ取られたが、こちらは貿易センタービルの事件を知った機内の乗客がハイジャックを阻止しようとしワシントンの北西240KMの地点で地上に激突した。時間は午前10時3分。犯人はホワイトハウス或いは国会議事堂への突入を狙っていたものと推測される。4機同時ハイジャックによるテロ事件は死者3千人、負傷者6,300人という史上最大の惨事となったのである。

 

事件後、ブッシュ大統領(当時)は犯行がオサマ・ビンラーデン率いるイスラム過激派組織アル・カイダによるものと断定、テロ計画の立案者としてビンラーデンの部下ハリド・シェイク・ムハンマドが逮捕された。事件は午前8時14分の最初のハイジャックから午前10時3分の4機目の墜落までわずか2時間足らずの間に起こった。アル・カイダはこの2時間のため膨大な時間をかけて入念な計画と周到な準備を重ねたのであるが、その中には大型ジェット機の操縦法の習得まで含まれていた。米国は911テロ事件に先立つ8年前(1993年)の貿易センタービル爆破事件でアル・カイダが米国本土を狙っていることは認識していたが、同時多発テロの動きを事前に察知することができなかった。テロリストたちは捜査当局の予測をはるかに超えるテロを計画し実行したのであった。エジプト人モハメド・アタを首謀者とする19人の実行犯が特定され、19人のうちの11人はサウジ人であった。

 

この事件を契機として米国の対テロ作戦が動き出す。米国のブッシュ大統領はテロの撲滅を外交の最重要課題に掲げ、自衛のための先制攻撃もを辞さない強硬姿勢を示した。米国はアル・カイダの拠点であるアフガニスタンのタリバン政権に対して軍事行動を起こしこれを転覆した。オサマ・ビンラーデンは隣国パキスタンの険しい山の中を転々と逃亡した。彼はその間も世界各国のイスラーム過激派組織に呼びかけ、同調者たちによるテロ活動が世界各地で続発した。しかし米国は必死に追及、2011年5月、特殊部隊が急襲してイスラマバード郊外でビンラーデンを殺害した。彼は時に54歳であった。

 

21世紀、それはイスラーム過激派による抵抗の時代の幕開けであった。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

       荒葉一也

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2016年11月15日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0394MenaRank8.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その8)

 

4.2012~2016年の総合ランクの推移

 2012年から2016年までの5カ年間のMENA各国の順位の推移を追うと概略以下の通りである。

 

(1)   MENAでは5年連続でイスラエルがトップ、イエメンが最下位

(http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/8-T03.pdf参照)

 5カ年を通じてイスラエルは常にMENA1位であり、しかも世界50位前後とMENA2位以下が全て100位以下であるのに比べ大きな開きがある。MENA2位は2012年および2013年はUAEであったが、その後2年間はクウェイト、そして今回はカタールに代わっている。

 

これに対してシリアは5年間の世界順位が132位(12年)→133位(13年)→139位(14年)→143位(15年)→142位(16年)と下がり続け、世界最下位のイエメン(144位)との差が殆ど無くなっている。またイランも2012年の127位から毎年世界順位が下がっており、過去3年間は140位前後にとどまっている。

 

(2)MENAの世界順位は毎年徐々に悪化

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/8-G01.pdf 参照)

 UAE、サウジアラビア、エジプトの3カ国とMENA平均に日本及び中国2カ国を加えて過去5年間の男女格差世界順位の推移を比べると中国の順位の下落が顕著である。中国は2012年には世界69位であったがその後69位(13年)→87位(14年)→91位(15年)→99位(16年)と毎年下がり続けている。

 

MENAの世界平均順位も118位(12年及び13年)→124位(14年)→128位(15年)→127位(16年)と低落傾向にある。これを指数で見ると0.6041(12年)→0.6953(13年)→0.6119(14年)→0.612(15年)→0.613(16年)と2014年以降は0.61台で停滞している。MENA諸国の平均順位が上がらないのは、改善のペースが世界の平均以下にとどまっていることを示している。

 

 サウジアラビア、エジプトおよびUAE3カ国の過去5年間の世界順位はUAEが107位(12年)→109位(13年)→115位(14年) →119位(15年)→124位(16年)と毎年順位を下げており、またサウジアラビアも131位(12年)→127位(13年)→130位(14年)→134位(15年)→141位(16年)と2013年以降は毎年順位を下げている。エジプトは126位(12年)→125位(13年)→129位(14年) →136位(15年)→132位(16年)と2013年から2年連続で順位が下落した後、今回は下げ止まりの兆候が見られる。

 

日本は2012年に101位となりそれ以降100位以下に低迷、今回は過去5年間で最も悪い111位である。中国は凋落が顕著であり2012年、13年の69位から87位(14年)→91位(15年)→99位(16年)と下がり続け、100位以下が目前であるが、依然として日本よりは上位である。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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