2017年12月

2017年12月23日

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2017年12月22日

(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0430MenaRank8.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その8)

 

5.中東5カ国と日米中の要素別比較(レーダーチャート)

(図http://menarank.maeda1.jp/8-G02.pdf 参照)

 MENAの三大国(トルコ、エジプト、イラン)GCC2カ国(サウジアラビア、UAE)及びMENA平均並びに日本、米国、中国3カ国を取り上げ、総合順位と4つの分野別順位(経済、教育、健康及び政治)をレーダーチャートで表してみる。レーダーチャートは最も外側が世界1位(つまり男女格差が世界で最も小さい)であり、以下中心に向かうほど順位が低くなる(即ち男女格差が大きい)。グラフの実線が外側に広がるほど男女格差が少ないことを示し、また真円に近いほど男女格差のバランスが取れていることを示している。

 

(1)  チャート1(トルコ、エジプト、イラン)

 トルコ、エジプト、イランは総合順位が世界131位、134位、140位といずれも低いランクにとどまっている。4つの分野の中では3カ国とも経済分野の男女格差がおしなべて悪く、また政治ランクもイランが136位、エジプト119位、トルコは116位にとどまっている。教育分野は3カ国とも100位台で(トルコ及びイランは100位、エジプト104位)である。健康は男女格差が比較的少ない分野であり、トルコは世界59位であるがエジプトは99位、イラン135位。

 

(2)  チャート2(サウジアラビア、UAE及びMENA平均)

 総合順位はUAE120位、MENA平均127位、サウジアラビア138位である。経済分野の男女格差はUAEが130位、MENA平均は129位であるがサウジアラビアは世界144カ国中では最低レベルの142位にとどまっている。政治分野はUAEが世界67位に対しサウジアラビアは124位で、MENA平均の113位を下回っている。教育分野ではUAEは世界62位で政治分野と並び世界の上位グループに入っている。健康分野はMENA平均が104位であるが、サウジアラビアおよびUAEは共に127位と低く、両国では男女間の格差が大きいことを示している。

 

(3)  チャート3(日本、米国、中国)

 総合順位では米国が49位であるのに対して、中国及び日本はそれぞれ100位、114位にとどまっており特に日本のランクの低さが目立つ。米国は教育の男女格差が世界1位であるが、その他の分野は経済の男女格差が世界19位、健康格差は世界82位、政治格差は世界96位である。中国は経済及び政治の分野では日本を上回っているが、教育及び健康の分野では日本を下回っており、特に健康の男女格差は世界最低の144位である。総合順位114位の日本は健康分野が世界1位でるが、経済及び政治の男女格差は米国及び中国よりも遅れており、特に政治分野の男女格差は世界123位であり、中国の77位、米国の96位を大きく下回っている。

 

(完)

 

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        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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2017年12月21日

2017.12.21

荒葉一也

Areha_Kazuya@jcom.home.ne.jp

 

いよいよGCC解体か?

map2

 1979年のイラン革命によりホメイニ政権が誕生したことを受けて湾岸の王制国家は1981年にGCC(湾岸協力機構)を結成した。当初はイラン革命の波及を恐れ共同軍事防衛を目的とした同盟であったが、その後各国が石油ブームによる近代国家を目指すようになり、EU型の経済中心の同盟関係に変質していった。

 

その最初の表れが関税同盟であり、これは何とか実現した。しかし次のステップとして通貨の統一を打ち出すと加盟国の間に隙間風が吹き始めた。2010年にサミットで制度の創設が決定したが、UAEとオマーンは早々と離脱を声明したのである[1]。石油価格高騰の恩恵にあずかれず経済が悪化しつつあったオマーンは経済運営の自由度が制限されることを嫌い、またUAEEUの例にならって通貨本部を大国サウジのリヤドではなく自国に誘致したいと主張したがサウジが譲らなかったためである。このようにこれまでのサウジ一辺倒のGCC運営に対して加盟国から異議が出始めたのである。

 

2011年の「アラブの春」問題によって加盟国間の綻びはさらに広がった。この時政治的にもっとも脆弱であったバハレーンを支えるため、サウジアラビアとUAEを中心とするGCCの合同部隊「半島の楯」がバハレーンに派遣され、イランの影響下にあるシーア派住民を弾圧してハリーファ君主体制を支えた[2]。地政学的理由でイランと良好な関係を維持してきたオマーンは合同部隊に参加しなかった。またカタールのハマド国王(当時)はエジプトのムスリム同胞団幹部の亡命を受け入れてイスラーム運動に理解ある態度を示し、サウジアラビアおよびUAEの不信を買った。それがその後の大使召還(2014年)さらに今回の国交断絶につながるのである。

 

このようなGCC内の政治的対立がそのまま経済協力問題にも波及し、クウェイトからオマーンに至るアラビア湾縦貫鉄道計画は暗礁に乗り上げ、またVAT(付加価値税)の導入もサウジアラビアとUAEが来年1月から導入することを決めたが、他の4か国は見通しが立っていない。また今回の対カタール断交でカタールと他のGCC5か国の通商及び空路、海路の往来はストップしている。GCC内部の求心力は弱まる一方であり、GCC解体が現実問題となってきたのである。

 

今後のシナリオは?

 GCC内部に深刻な対立を抱え、また周辺国でもIS(イスラム国)消滅後のイラク、シリアの情勢、トランプ米大統領によるエルサレム首都容認発言によるアラブ・パレスチナ対イスラエル関係の不安定化、サーレハ前大統領暗殺によりさらに混迷の度を深めるイエメン情勢などGCCは内外に問題山積であり、今後の方向を予測することは極めて難しい。予測をさらに複雑にしているのがGCCの盟主サウジアラビアのムハンマド皇太子の言動である。米国トランプ政権に傾倒し、イランとの対決姿勢を強めている皇太子の外交姿勢は事態の鎮静化とは逆のベクトルを示している。

 

 これまでの推移を総合的に勘案するとGCC6カ国が従来通りの形で存続するとは考えにくい。懸命な仲介も功を奏さない現状に匙を投げた格好のクウェイト・サバーハ首長はGCCの機構改革が必要であると説いている。その場合カタールのGCCからの追放または一時的な資格停止が最初の関門となろう。カタール追放に賛同するのはサウジアラビアとUAEであり、事実、両国は一足早く軍事・経済の新パートナーシップ協定を締結し、脱GCCに向かって突き進んでいる。サウジアラビアに全面的に依存しているバハレーンを含めた3国の協力関係は今後深まるであろう[3]

 

 クウェイトはイラクと直接国境を接し、間近にイランを控え、さらに国内に少なからぬシーア派住民を抱えている。同国は体制維持のためにはこれら3か国同盟に参加せざるを得ないであろう。オマーンはと言えば、これまでもサウジアラビア、UAE、カタール間で繰り返されるゴタゴタに対し傍観者的な立場をとっており、一方でイランとも良好な関係を維持したいはずであり、新GCCでは準会員扱いとなる可能性が高い。

 

 こうして現在のGCCはカタールを排除した新たな湾岸安全保障機構に模様替えするものと思われる。但しこれによって湾岸情勢が安定し、それが中東全体にプラスの効果をもたらすと考えるのは早計であろう。GCCは極言すれば地域の強国イラン及びイラクに対し脆弱な湾岸君主制国家群が体制維持のために設立した弱者連合である[4]。最近ではサウジアラビアが地域大国の一角とみなされるようになったが、それはあくまで石油という天然資源の恩恵によるGDP大国でしかなく、人的資源、外交、政治制度、文化等の面ではイラン、イラク、エジプトあるいはトルコをはるかに下回っていることは明らかである。軍備こそ米国製の最新兵器を装備しているが単独ではイエメンの反政府勢力にすら歯が立たないのが現状であり、米国に依存するしかなさそうである。

 

 以上のように分析すると新GCCは新たな地域の不安定要因になると考えざるを得ないのが筆者の結論である。

 

以上



[1] マイライブラリー0105「二日間を浪費しただけの第 30 GCC サミット」(2009.12.16付け)

http://mylibrary.maeda1.jp/0105GccSummit09.pdf 

[2] マイライブラリー0175「危機感を露わにする湾岸君主制国家」(2011.4.4付け)

http://mylibrary.maeda1.jp/0175GccCrisis.pdf 

[3] “Weakened GCC institution struggles for relevance”, MEED on 2017/12/7

https://www.meed.com/gcc-struggles-for-relevance/

[4] 「シマウマとライオンと巨象 「ガルフ」お伽噺」アラビア半島定点観測その4。「石油文化」20002月号掲載。

http://ocininitiative.maeda1.jp/0109%20SekiyubunkaEssayNo4.pdf 



drecom_ocin_japan at 08:54コメント(0)GCC 

2017年12月20日

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