2005年04月14日

クウェート、イラク大使館再開へ

4/14 Kuwait Times
 クウェート外相はイラク新内閣が発足次第バグダッドに大使を派遣すると言明した。また自国の費用でクウェートのイラク大使館を改修するので早急に大使を任命してほしいとイラク側に呼びかけた。両国の外交関係は昨年アラウィ前首相によるクウェート訪問時に修復されたものである。
 来週両国外相会談が行われる予定である。なお記者団の質問に対して、国境問題はク側から議題とする予定はなく、また160億ドルと見られる対イラク債務については既にパリクラブの枠内で議論済みであるが、数百億ドルと見込まれる湾岸戦争の戦時補償を放棄するつもりはない、と述べた。

コメント:
 イラク新政権の発足によりクウェートは同国との外交正常化に乗り出した。ヨルダンがいち早く大使館を再開しビジネスを含めイラクとの関係を強化している中で、クウェートの対イラク関係は米軍など兵站補給業務に限られていた。イラク南部のシーア派が国会の多数派と首相ポストを獲得したことでクウェートにとって正常な外交通商関係を樹立する環境が整った、と言えよう。
 但し両国関係の正常化にはいくつかの問題もある。その一つは勿論イラク国内の治安の安定であるが、クウェート自身も湾岸戦争の清算をめぐり問題を抱えている。例えば国会は戦時賠償を求めて政府の足を引っ張っている。またイラク占領時に拉致された数百人のクウェート人行方不明者の消息を求める国民感情も無視できない。ビジネスについても湾岸戦争前の対イラク貿易を担っていたヨルダン人・パレスチナ人を追放したため、民間ベースの人脈が途絶えている。相互の大使館再開が直ちに両国関係を緊密にするとは言えないようである。

at 10:19Kuwait  
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