2005年04月16日

サウジアラビア、カメラ付携帯電話の悪用に厳罰

4/16 Arab News (Saudi Arabia)
 サウジアラビアではカメラ付携帯電話による不祥事が頻発しており、悪用者に対して懲役12年、罰金10万SR(注、1US$=3.75SR)、鞭打ち千回の厳罰を課する法律が近く施行される予定である。
 1月にリヤドで17歳の少女の暴行写真が携帯メールに流出し犯人のサウジ人二人が懲役に処せられた事件はサウジ社会に衝撃を与えた。
 サウジでは昨年12月にカメラ付携帯電話の禁止が解除されたばかりである。

コメント:
 サウジアラビアでも携帯電話の普及は目覚しく、これまで電話事業を独占していたSTC(サウジ電話会社)に加えて昨年にはUAEに本社を置くEtisalat社が携帯電話事業のライセンスを取得している。
 偶像崇拝を厳格に禁じるワッハーブ派を国教とするサウジアラビアでは、これまでも写真を忌避する傾向が強く、特に親族以外には素顔を見せないことを美徳とする女性は写真を撮られることを極端に嫌う。嘘のような話であるが、かつて1960年代以前は聖職者の反対でサウジではTVが禁止されていたことがあり、故ファイサル第三代国王がイスラム教宣活動に有効であると説いてTVが解禁となったと言うエピソードすらある。
 カメラ付携帯電話については、結婚式披露宴(女性の披露宴では招待客は素顔となる)での盗撮などに悪用される恐れがあるとの理由で当初は販売禁止となっていた。しかしドバイなどからの密輸入が絶えず、また世界的にカメラ付が標準仕様となるにつれて、カメラのない旧型携帯は補修部品にも事欠くようになり、結局昨年12月に解禁となったのである。
 日進月歩のテクノロジーと旧態依然とした宗教教義とが引き起こす社会問題は今後もサウジ社会を揺るがすのであろう。


at 21:09Saudi Arabia  
記事検索
月別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ