2005年04月26日

サウジアラビア皇太子がブッシュ米大統領と会談

4/26 Arab News (Saudi Arabia)
 米国訪問中のサウジアラビアのアブダッラー皇太子とブッシュ大統領の会談がテキサスの大統領私邸で25日行われ、会談後に共同コミュニケが発表された。
 コミュニケでは、両国の関係が60年前のルーズベルト大統領(当時)とアブドルアジズ初代国王に始まったことに触れ、9.11テロ事件以後冷え切っていた関係が改善に向かっていることを強調した。
 米国は、サウジの今年中のWTO加盟を支持し、また米国へのサウジ人留学生受入増加、軍事関係者の訓練等を約束した。またエネルギー問題については、投資を加速し生産能力を上げるとのサウジアラビアのコミットメントを米国は高く評価した。
 ブッシュ私邸では父ブッシュ元大統領が皇太子を歓待し旧交を温め合うなど終始友好的な雰囲気であった。

コメント:
 9.11テロ事件以後ギクシャクしていたサウジー米国関係は、今回の首脳会談で改善に向かって大きく前進した。
 関係改善は両国それぞれの願望であり思惑でもあった。コミュニケでは中東和平、両国関係改善、国際テロ対策など幅広く取り上げられているが、中でも主眼となるのは米国にとってエネルギー安定供給の問題であり、一方サウジアラビアにとっては米国との友好関係の回復と米国の反対で延び延びになっているWTO加盟問題であろう。
 米国は既に皇太子訪米前、サウジアラビアに対して原油を増産し世界のエネルギーの安定に寄与することを求めたメッセージを発信しており、これに対してナイミ石油相が直ちに応じている(4/19付 Arab News)。これに満足したブッシュ大統領は(議会承認と言う難問はあるものの)サウジのWTO加盟を認め、また9.11テロ事件以後制限していた留学生などの人的交流の促進を約束した。このように今回の首脳会談は双方に大きな成果をもたらしたと考えられる。
 ただコミュニケの中でわずかしか触れられていないが、両国の軍事協力は隠された重要な問題であろう。9.11テロ事件後、米国はリヤド郊外の戦略基地のカタール移転、軍事顧問の引き上げなど一切の軍事協力を停止したが、米国にとってアラビア半島のほぼ全体を占め、イラクに隣接するサウジアラビアは軍事的な要衝である。同時に米国軍需産業にとっても最重要な顧客なのである。アブダッラー皇太子は米国訪問前に仏を訪問しているが、同行したサウド外相が、仏とは兵器の商談は行わなかった、とわざわざ記者会見で釈明したのは米国に対する配慮と見て間違いない。


at 16:41Saudi Arabia  
記事検索
月別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ