2005年05月14日

イスラム慈善団体の元理事が米国務長官を提訴

5/14 Arab News (Saudi Arabia)
 Al-Haramain慈善基金前理事のAqeel氏は、ライス米国務長官他政府の高官3名を提訴した。提訴理由は、先に米国が同基金をテロ支援組織と断定し資産凍結をおこなったが、同基金がテロを支援した事実は無く、米国の措置により名誉毀損及び経済的損失を蒙ったため、としている。オランダ政府も物的証拠が無いためAl-Haramain基金の資産凍結は行なっていないと付言している。

コメント:
 米国は国際的なテロ組織への資金ルートとしてイスラム慈善団体を槍玉にあげてきた。Al-Haramain慈善基金もその一つであり、団体への募金や浄財が資金洗浄(マネー・ロンダリング)の手段に使われている、と言うのが米国の主張である。これまでにも有力ビジネスマンがマスコミを相手に名誉毀損で勝訴している例もあり、訴訟社会の米国では今後もこの種の訴訟が出る可能性はある。ブッシュ大統領とアブダッラー皇太子の首脳会談により米国とサウジアラビアが関係改善を目指している中で、このような訴訟が提起されたことは興味深く、成り行きが注目される。
 テロへの資金支援については、一部に疑わしい慈善団体があることも事実であるが、一方では、米国が十分な証拠も無くまるで「魔女狩り」のように闇雲に犯罪者リストを作った節もある。アフガニスタンのタリバン残党狩りで拘束され未だにキューバのガンタナモ基地に多数の抑留者がいるが、軍事裁判が実施される様子は無く、いまや米国自身が持て余しているようにすら見える。
 米国は上記訴訟事件を黙殺するものと思われる。世界の警察、世界の超大国として断固テロに対処すると言う大義名分により国際世論に有無を言わせないのが現在の米国の姿勢であろう。


at 17:44Saudi Arabia  
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