2005年08月23日

サウジアラビア、政府職員の給与を15%アップ

8/23 Arab News (Saudi Arabia)
 サウジアラビア政府は政府職員の給与を15%アップするとの勅令を発表した。閣僚及び上級幹部職を除き軍人を含む全ての職員が対象であり、実施は10月4日又はラマダン開始日とされている。さらに5等級以下の下級職員には1ヵ月分のボーナスも支給される。同時に退職者の年金も改善される。
 また300億SR(1$=3.75SR)が来年度以降5年間の各種社会プロジェクトに配分された。主な内訳は水関係に70億SR、道路に50億SRなどである。さらに工業開発基金など政府系金融機関の資本金も増資される。
 勅令では、2005年の歳入超過分の余剰は、現在6千億SR(1,600億ドル)の公的負債の返済に充てる、と説明している。
 なおゴサイビ労働大臣は、民間企業に対して政府方針と同様に給与を引き上げるよう要望した。

コメント:
 サウジアラビアは原油価格高騰により今年は未曾有の歳入超過となることが確実である。豊かな財政事情を背景にアブダッラー国王は政府職員の給与引き上げ、社会福祉サービス向上に大判振る舞いを決めた。クウェートでも6月に給与引き上げをおこなっており、サウジ国民に期待感が高まっていただけに、今回の措置は今月始めに即位したばかりの国王にとって、国民の支持を取り付ける絶好のチャンスを活かしたと言えよう。
 しかしながらこれによって給与の官民格差が一層広がり、民間経営者にとっては頭の痛い問題ではある。労働相が民間にも賃上げを要望しているが、ARAMCO、SABICなどの政府系企業が追随することは間違いないものの、純民間企業は好況とは言え大幅賃上げの余裕があるとは思えない。
 さらには若年失業者問題(彼らは当然今回の恩恵を受けない)や、テロ対策、女性の社会進出問題など国内には難問が山積している。今回の措置が国民の不満・不安を抑えるための一時しのぎに過ぎないことは明らかであり、いずれ国民に「苦い薬」を強いらざるを得ない時期が来るものと思われる。


at 21:08Saudi Arabia  
記事検索
月別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ