2005年09月16日

サウジ皇太子、NYで石油問題に言及

9/16 Arab News (Saudi Arabia)
 訪米中のスルタン皇太子はニューヨークでの米・サウジ・ビジネス協議会で、現在の油価高騰の原因は原油供給の逼迫ではなく、石油製品の需要増加及び製油所能力の不足によるものである、と語った。またサウジアラビアの原油生産は日産1,100万バレルの水準にあり、2009年までには1,200万バレルになるとも述べた。
 既にOPEC議長(クウェート石油相)は来週ウィーンで開催される総会で50万B/Dの増産を提案すると言明しているが、これに対しカタール石油相はこの程度の増産では価格は低下しないであろうと述べている。
 増産余力があるのはサウジアラビアのみであるが、増産原油は中・重質で硫黄分の高い原油であるため、多くの製油所は処理が困難な問題がある。カタール石油相は高度な改質装置を有する製油所が世界的に不足していることを指摘している。

コメント:
 スルタン皇太子の本格的な訪米は久しぶりのことである。これまでは国内テロ対策に専心し、対米外交はアブダッラー皇太子及び息子のバンダル駐米大使(いずれも当時)に任せていた。アブダッラーが国王となりナンバー2として今後とも外交に積極的に関与するのかどうか、サウド外相、トルキ駐米大使のファイサル兄弟との関係が注目される。
またスルタン皇太子は石油価格高騰については、製油所の不足が原因であると言うOPEC産油国のかねてからの主張を展開した。サウジアラビアは原油生産余力のある唯一の産油国であるが、増産原油は重質・高硫黄であり製油所は高度改質装置が必要であり、同装置を有する日本の製油所が注目を浴びるものと思われる。昨日、昭和シェル石油が、富士石油(同社袖ヶ浦製油所は改質装置を有し重質油の処理に適している)を傘下におくAOCホールディングに資本参加することが発表されたが、サウジアラムコは昨年昭和シェル石油に資本参加しており、アラムコの戦略にも資するものと思われる。


at 09:36Saudi Arabia  

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