2005年11月10日

バーレーンで「家族法」反対の大規模デモ

11/10 Arab News (Saudi Arabia)
 「個人身分法」と呼ばれる家族法の制定に反対するシーア派を中心とする数千人のデモが首都マナマで発生した。これに対抗して法案を支持する300人のデモも同時に行われた。同法は児童の親権、離婚、相続などに関する法律である。
シーア派聖職者協会(Siite Ulema Islamic Counil, UIC)は彼らの要求が容れられれば法案に反対しないが、原案のままでは社会に混乱をもたらす、と主張している。UICのQasem議長は金曜礼拝で、同法は政府の米国に対するご機嫌取りであり、施行されれば社会不安を招くと警告している。
 一方法案に賛成しているのは女性活動家とNational Demoratic Action Society(NDAS)である。
法案成立のためSupreme Council for Women(SCW)は3ヶ月にわたりキャンペーンを行っている。因みにSCW議長はSabika国王妃である。

コメント:
 スンニー派のカリーファ家が統治するバーレーンではシーア派が多数を占めておりしばしば対立の火種となっている。米国との関係を重視するバーレーン政府は、米国の掲げる中東民主化政策の一つである女性の地位向上にも熱心に取り組んでおり、Sabika王妃は女性解放運動の象徴的存在である。
 しかし保守的な聖職者たちは急激な女性解放には反対しており、バーレーンでの西欧的近代化は常にイスラム教保守派とシーア派と言う二重の壁に突き当たることとなる。今回の問題以外にも米国とのFTA締結では、米国側がバーレーン政府に対してイスラエル禁輸を撤回し、イスラエルと国交回復することをFTA批准の条件としていることが明らかになっており、一般大衆は政府(ハリーファ家)の社会・経済近代化政策の背後に米国の影を敏感に感じている。一連の対応を誤るとバーレーンの王制が揺らぐ危険性をはらんでいる。
 なおこの報道は隣国サウジアラビアから流れており、バーレーン紙では全く報じられていない。湾岸諸国のマスコミは全て支配王家の御用新聞であるため、バーレーン国内で報道されないのはある意味で当然のことであろう。(因みにArab Newsもサルマンリヤド州知事の子息が社主である)
*関連記事「バーレーン議会、イスラエル禁輸撤回に猛反発」参照


at 17:14Bahrain  
記事検索
月別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ