2006年03月28日

サウジ閣議、メガバンク設立承認、株市場活性化対策も

3/28Arab News (Saudi Arabia)
サウジ政府は資本金50億SR(1$=3.75SR)のメガ・バンク'Inmaa'の設立を閣議承認した。Inmaaは銀行及び投資両業務を行い、政府機関のIFP, Pension Fund, GOSIが10%づつ計30%の株式を保有し、残り70%は今年中にIPOとして一般公開される予定。
 また閣議では株式市場活性化のため株式額面価格をSR50からSR10に引き下げることを決定した。

コメント:
 今回のメガバンク設立及び額面価格の引き下げは、石油価格高騰により国内に行き場を失った過剰マネーを吸収することが目的と考えられる。不動産と株式市場以外に国内にめぼしい投資先がないため、昨年来過剰マネーは株式市場に雪崩れ込み異常な株高となった(05/11/7 MENA Informant「バブル真っ只中のGCC株式市場」参照)。市場の過熱化を恐れたサウジ政府は、株価の変動幅を制限したが、このため市場は一挙に冷え込み一般投資家はパニック状態に陥り政府に救済策を求めた。また一部の民間資金は海外特に他の湾岸諸国のIPOに流出しており、今回の措置はその対応策とも言えよう(06/3/26 Arab Times記事)。
 閣議決定されたメガバンクのIPOと株式額面価格の引き下げにより再び株式市場は熱気を取りもどしそうである。しかし政府の場当たり的な政策が株式市場の乱高下と一層の混乱を招く恐れは強い。また新設されるメガバンクは資金を吸収することが先決で資金の運用方針が明らかにされていない。実績のない企業の株式をIPOの対象にすることは先進国では通常考えられないのであるが、今の湾岸産油国では世界の常識が通用しないようである。


at 13:06Saudi Arabia  
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