2010年08月30日

MENA(中東・北アフリカ)22カ国のソブリン格付け(2010年8月版)(2)

(注)本稿はHP「マイライブラリー」に一括掲載されています。

MENAなんでもランキング・シリーズ その6)

 

3.MENA諸国の格付けと今回の傾向

MENA22カ国のうち格付けを与えられている国は、Moody's13カ国、S&P14カ国(但しUAEについてはアブ・ダビ首長国が対象)及びFitch9カ国である。このうち3社全てから格付けを受けている国は、バハレーン、エジプト、イスラエル、クウェイト、レバノン、モロッコ、サウジアラビア、チュニジア及びトルコの9カ国である。この9カ国に加えヨルダン、オマーン、カタールおよびUAEの4カ国がMoody's S&Pの2社から格付けを受けている。そしてリビアはS&P一社のみによって格付けされている。3社のいずれからも格付けされていないのは、アフガニスタン、アルジェリア、イラン、イラク、モーリタニア、スーダン、シリア、イエメンの8カ国である。(詳細は「MENA諸国のソブリン格付け」(2010824日現在) http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/5-6aSovereignRate2010-08.xps 参照)

 

今回の3社の格付け傾向を今年1月と比較すると(MENA諸国のソブリン格付け」(20101月現在) http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/5-6aSovereignRate2010-01.xps参照)S&Pの格付け見直しが他の2社に比べ際立って多いことが注目される。即ちS&P14カ国中半数の7カ国を上方または下方修正しており、これに対してMoody’sが見なおしたのは13カ国中3カ国、Fitch9カ国中1カ国のみである。

 

 これはギリシャに端を発したユーロ通貨危機がスペイン、ポルトガル或いはイタリアに波及し、格付け会社が世界各国のソブリン格付けの見直しを迫られたことが原因の一つである。(この問題については6/8付け拙稿「ソブリン格付けは信頼できるか? 中東とEUの格付けを比較する」http://www.k3.dion.ne.jp/~maedat/0145SovereignRateMEvsEU.pdfを参照されたい。)

 

4.各国の格付け状況

 格付けを与えられている14カ国の最新の状況を各国別に見ると下記の通りである。(アルファベット順)

 

(1)バハレーン Moody's A3S&PA(stable)FitchA(stable

3社とも投資適格の上から3番目(下から2番目)である。Moody’sでは「信用力が中級の上位でリスクが低い」とされ、S&Pは「債務履行能力は高いが、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい」とみなしている。なおMoody's は今回A2からA3に変更しているが、これは同じ格付カテゴリーの中で中位から下位に落ちたことを示している。他の2社は今年1月と同じ格付けである。

 

(2)エジプト Moody's Baa2S&PBB+ (stable)FitchBB+ (stable)

Moody's は投資適格の最も低い格付けであり、S&PFitchは非投資適格(投機的)の範疇である。Moody’sBaaは「一定の投機的な要素を含む」と定義されており、上記バハレーンのA3よりもリスクが高いことが解る。S&Pの格付けBBは「事業環境、財務状況または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、ぜい弱性を有しており、状況によっては債務を期日通りに履行する能力不十分となる可能性がある」と定義されている。

 

なおS&Pは今年1月時点では投資適格BBB-であったが、今回は格付けがBB+となり「投資適格」から「投機的」範疇に落ちている。後述する通り隣接国のイスラエル及びヨルダンも格付けが低下しており、S&Pは中東和平(パレスチナ)問題が関係国の経済に悪影響を及ぼしていると判断したようである。

 

(3)イスラエルMoody's Aa1S&PA(stable)FitchA(stable)

3社とも投資適格であるが、Moody'sの格付けが上から2番目に対してA&PFitchは3番目の格付けである。Moody’sAa1MENA諸国の中では最も高く湾岸産油国のUAE、クウェイト、カタール(いずれもAa2)を上回っている。これに対してS&Pはカタール、UAEAA、クウェイト、サウジアラビアのAA-を下回っており、Moody’sS&Pはイスラエル及び湾岸産油国に対して対照的な評価は下している。

 

(4)ヨルダン Moody's Baa3S&PBB(stable)Fitch:格付けなし

Moody'sは投資適格であるがS&Pは投機的としている。S&Pの格付けは前々回(20093)BBであったが、前回はBBB(投資適格)に上方修正し、今回またBBに戻しており変動が激しい。これに対してMoody’sは継続して投資適格の格付けを続けている。

 

(続く)

 

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      前田 高行      183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                      Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                      E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp



drecom_ocin_japan at 06:06コメント(0)トラックバック(0)MENA  

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