2011年10月24日
(ニュース速報)サウジアラビア皇太子の死去と後継者選定について
サウジアラビアのスルタン皇太子が22日(土)に死去した。Royal Court(宮内庁)の発表は極めて簡素なものであり、死亡した場所や死因は言及されず、年齢すら公表されていないが、治療先のニューヨークでがんのため亡くなったようである。また年齢については一部で80歳(1931年生)と報道されたが、1924年説、1926年説もある。
スルタンは1962年航空・国防大臣に就任し以後死ぬまで大臣を務めた。その間1986年に第二副首相となり、2005年のアブダッラー現国王即位時に皇太子兼第一副首相に任命されている。因みにサウジアラビアではアブダッラー国王が首相であり、第二副首相はナイフ内相である。
スルタンには6人の王妃との間に32人の王子・王女がある。そのうちハーリド王子が航空・国防省副大臣を務め、元駐米大使のバンダル王子は国家安全委員会(NSC)の事務局長である。
葬儀は25日(火)に行われ、その前後に新皇太子を選ぶための「忠誠委員会」が開かれるものと思われる。王位継承の具体的手順を定めた「忠誠委員会」規則は2006年に制定され、委員はアブドルアジズ初代国王の子息またはその孫35名によって構成されている。新皇太子は国王が推薦した1乃至3名の候補者の中から委員会の全会一致で選出する。全会一致の合意が得られなければ委員会が新たな候補者を国王に提案、国王がこれを拒否した場合は、委員会の多数決で新皇太子が指名される。なお委員会は非公開である。
サウジアラビアではこれまで国王の逝去に伴い皇太子が新国王に即位し新しい皇太子を指名すると言うステップを踏んでおり、皇太子が国王より先に死んだ例は今回が初めてである。新皇太子としてはナイフ第一副首相兼内相が最有力と見られている。ナイフは1933年生まれ(78歳)でスルタンの実弟である。また後任の航空・国防大臣にはスルタンの息子で副大臣のハーリド王子(1949年生)が任命される可能性が高い。
以上
(参考)
「世代交代に備えるサウド家御三家」
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0197SaudThreeFamilies.pdf
サウド王家家系図(初代国王の王妃とその子息たち)」
http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/3-1-3bSonsOfAbdulazizByWife.pdf
スルタン皇太子家家系図
http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/3-1-5SultanFamily.pdf
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