2012年08月13日

MENA(中東・北アフリカ)22カ国の対外直接投資(UNCTAD2012年版)(8)

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」に一括掲載されています。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0234MenaRank4.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)


(2000年以降急速に膨張したイスラエルとUAEの投資残高!)
8.1990-2011年の対外投資残高の推移
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-T08.pdf 参照)
 1990年末のMENAの対外投資残高は合計117億ドルであり、2000年末には2.4倍の285億ドルに増加した。しかし世界全体に占める割合は0.4%であり、外国直接投資(FDI)の出資国としての存在感は殆どなかった。その後FDIが世界的規模で拡大する中でMENA諸国の投資額も増え、2008年末の対外投資残高は2千億ドルを超えた。2009年以降も投資残高は着実に増加しており、2011年には2,739億ドルに達し、全世界に占める割合も1.3%となった。全世界に占める割合は2000年当時の0.4%からはかなり上昇しておりMENAの対外投資における存在感も高まっている。因みに2011年のMENAの対外投資残高2,739億ドルは中国(3,660億ドル)の4分の3であり、日本(9,628億ドル)の約4分の1、米国(4.5兆ドル)の16分の1である。


(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-G05.pdf参照)
 2011年末の対外投資残高上位6カ国(イスラエル、UAE、サウジアラビア、トルコ、クウェイト及びカタール)について1990年以降の残高の推移を見ると、1990年の対外投資残高は最も多いクウェイトでさえ37億ドルにすぎず、同じ湾岸産油国のUAEはわずか1千万ドル、カタールに至ってはゼロと言う状況であった。


 その後90年代から2000年初めにかけてイスラエルの残高は100億ドル近くになったが、その他の国々の増加の足取りは鈍かった。しかし2000年代に入ると湾岸産油国の中でもUAE及びサウジアラビアが急速に残高を増やした。特にUAEは06年末118億ドル、07年末270億ドル、08年508億ドルと毎年ほぼ倍増しており、08年、09年にはイスラエルに肉薄した。UAEのその後の伸びは低いが、それでも2011年末の対外投資残高は577億ドルで、MENA諸国の中ではイスラエル(716億ドル)に次ぐ第2位であり、3位のサウジアラビア(300億ドル)を大きく引き離している。


 サウジアラビアはUAEを追いかけるように急伸し、09年の残高は403億ドルを記録したが、2010年は170億ドルに急減、2011年に300億ドルまで回復したもののUAEの2分の1強に留まっている。躍進が目覚ましいのはカタールであり、同国の場合2000年末の投資残高は1億ドル未満に過ぎなかったが、06年には10億ドルを超え、08年末には87億ドル、2010年末は257億ドルに達しイスラエル、サウジアラビアに次ぐMENA3位の残高を記録している(2011年は186億ドルに減少しMENA5位)。


 クウェイトは2007年末に169億ドルに達した後は横這い乃至漸増の状態で2011年の投資残高は221億ドルである。またトルコは2000年以降毎年着実に増加しており、2000年末の37億ドルから2011年末には6.6倍の240億ドルに達している。


以上

(MENAなんでもランキング・シリーズ4 海外直接投資 完)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp



drecom_ocin_japan at 14:43コメント(0)トラックバック(0) 

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