2014年07月01日

MENA(中東・北アフリカ) 諸国の対外直接投資(UNCTAD2014年版)(2)

(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)


(外国から100億ドル以上の資金を集めたトルコ、イスラエル及びUAE!)
1. 2013年のFDI inflows(直接投資流入額) 
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-T01.pdf 参照)
 2013年のMENA各国の直接投資流入額(以下流入額)の総額は715億ドルであった。この額は米国(1,875億ドル)の4割、中国(1,239億ドル)の6割の規模である。なお日本は非常に少ない(23億ドル)。因みにMENAの流入額は全世界の合計額1兆4,520億ドルの4.9%を占めている。
 

 国別ではトルコが129億ドルで最も多く、これに次ぐのはイスラエル118億ドル、UAE105億ドルであり、これら3カ国が100億ドルを超え、MENA全体の50%を占めている。第4位はサウジアラビアの93億ドルで5位のエジプトは56億ドル、6位以下は50億ドル未満であり、モロッコ(34億ドル)、イラン(31億ドル)、イラク(29億ドル)、レバノン(28億ドル)と続き、10位はクウェイト(24億ドル)である。11位のヨルダンから14位のチュニジアまでが10億ドル台、バハレーン、リビア及びパレスチナ自治政府の流入額は1桁である。なおカタールは-8億ドルであるが、これは同国からの外資の引き揚げ額が新規流入額を上回っていることを意味している(因みに2012年は3億ドルの純増であった)。


 2012年の流入額と比較すると、総額で50億ドルの減少であり、全世界に占める割合も5.8%から4.9%に減っている。増減は国によって大きく異なっており、MENA1位のトルコの4億ドル減に対し2位のイスラエルは23億ドルの大幅増加となっている。減少額が大きいのはサウジアラビア-29億ドル、イラン及びクウェイト-16億ドル、エジプト-13億ドルなどである。


 2011年の「アラブの春」の民主化運動が一段落した後もMENA各国は不安定な状況が続いている。シリアは内戦がさらに拡大しており、その影響がイラクの政情不安にも及んでいる。リビアも政府と部族勢力が対立、石油の生産が大幅に低下している。エジプトはムスリム同胞団の政権が倒れ軍事政権が復活したが経済は依然不安定である。またイランでは大統領が穏健派に交替したが欧米諸国の経済制裁が解消される見込みはたっていない。これらの国々で直接投資の流入額が減少しており、MENA全体の足を引っ張っているように見受けられる。


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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drecom_ocin_japan at 15:29コメント(0)トラックバック(0) 

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