2014年07月22日

MENA(中東・北アフリカ)22カ国の対外直接投資(UNCTAD2014年版)(7)

(注)本シリーズ1~13は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0320MenaRank4.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)


4.2008-2013年の対外投資額の推移
(対外投資も「アラブの春」で低迷。急激に細るエジプトの投資額!)
(1)MENA諸国の対外直接投資
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-T04.pdf 参照)
 MENA地域の2008年から2013年までの対外投資額は2008年の537億ドルが2009年には一挙に225億ドルに急減し、その後2012年までの4年間は200億ドル台に低迷、2013年に漸く370億ドルに回復したものの2008年の水準には達していない。この間、世界全体の対外投資も同じような推移をたどり、MENAの全

 世界に占める割合は2%前後で推移している。

2008年のMENAの対外投資の合計額537億ドルは同年の中国(559億ドル)とほぼ同じである。しかし中国はその後毎年増加の一途をたどり2013年にはついに1千億ドルを超えたのに対しMENAは中国一国の4割弱にとどまっている。また日本と比べても2008年は日本の投資額の4割強であったが、2013年は3割弱に細っている。


 MENAの対外投資を常にリードしているGCCについては次項に詳述するが、GCC以外の主な国を見ると、まずイスラエルの対外投資額は72億ドル(2008年)→18億ドル(2009年)→87億ドル(2018年)→53億ドル(2011年)→24億ドル(2012年)→49億ドル(2013年)と毎年大きく変動している。リビアの対外投資額は2008年はクウェイト、イスラエルに次ぎ3番目に多い59億ドルであったが、翌2009年には12億ドルに急減、2011年及び13年は2億ドル以下であるなど大きく落ち込んでいる。同国は「アラブの春」によりカダフィ体制が崩壊、その後西欧諸国のテコ入れで原油の生産が軌道に乗りかけたのもつかの間、部族間の闘争が激化して不安定な経済状況が対外投資にも影響しているようである。


 エジプトもリビアと同様2009年以降の対外投資額は10億ドルを切る年が多く、特に2012年、13年はそれぞれ2億ドル、3億ドルと極めて低い水準のままである。これに対して中東でエジプト、イランと並ぶ大国であるトルコは比較的安定しており、対外投資額も2011年以降は毎年20~40億ドルの規模を維持しており、10億ドル未満にとどまっているエジプト、イランに比べ対外投資意欲が高いようである。


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp



drecom_ocin_japan at 21:07コメント(0)トラックバック(0) 

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