2014年09月20日

MENA(中東・北アフリカ) 諸国の「世界競争力ランキング」(2014-2015年版)(5)

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0324MenaRank15.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)


4.MENAの分野別競争力
 冒頭に触れた通り世界競争力指数は「制度機構」から「イノベーション」まで12の分野について世界144カ国を順位付けている。各分野毎のMENA各国の世界順位は概略以下のとおりである。
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-T03.pdf 参照)


(1) 制度機構(Institutions)
 MENAトップはカタールで世界順位は4位、同国に次ぐのはUAE(世界7位)であり、この両国は世界トップレベルである。MENA3位以下は、オマーン(同24位)、サウジアラビア(同25位)、バハレーン(同29位)であり、これらGCC諸国は世界的に見ても高い水準である。但し同じGCC構成国でもクウェイトは世界55位であり6カ国の中では見劣りがする。
(参考:日本11位、米国30位、中国47位)
 
(2) インフラ(Infrastructure)
 UAEは世界3位であり非常に評価が高い。これに次ぐのがカタール24位、サウジアラビア30位、バハレーン31位、オマーン33位であり、MENA諸国の中ではUAEが飛び抜けている。
(参考:日本6位、米国12位、中国46位)


(3) マクロ経済環境(Macroeconomic environment)
 カタールが世界2位。以下クウェイト(3位)、サウジアラビア(4位)、UAE(5位)、オマーン(6位)である。GCCの5カ国が世界の2位から6位を占めている。これら各国に続くのがアルジェリア(11位)、リビア(41位)、バハレーン(47位)である。GCC6カ国は国家財政の大半を石油収入に依存しており、いずれも絶対君主制国家という共通点がある。原油価格が高い水準を保ち、さらに「アラブの春」の民主化運動の中でもバハレーン以外は動揺が少なかったことが評価されている。これに対してイエメン(140位)、エジプト(141位)、レバノン(143位)などは世界144カ国中の最低ランクにとどまっている。
(参考:中国10位、米国113位、日本127位)


(4) 保健および初等教育(Health and primary education)
 この分野では世界28位のカタールがMENAトップである。これに次ぐのはレバノン(30位)、UAE(38位)、バハレーン(40位)である。一方、エジプト(97位)、イエメン(116位)、リビア(119位)など世界ランクの低い国も少なくなく、MENA諸国の間にはかなりの格差がある。
(参考:日本6位、米国49位、中国46位)


(5) 高等教育及び訓練(Higher education and training)
 MENAトップはUAE(世界6位)でMENA諸国の中では飛びぬけて高い。これに次ぐのがイスラエル(同36位)、カタール(38位)、ヨルダン(48位)、トルコ(50位)である。リビア(102位)、モロッコ(104位)、エジプト(111位)、イエメン(1139位)の4カ国はこの分野の順位が100位以下である。
(参考:米国7位、日本21位、中国65位)


(6) 商品市場効率(Goods market efficiency)
 この分野ではUAE(世界3位)及びカタール(同4位)の2カ国が世界のトップレベルに評価されている。これら2カ国に続くのがバハレーン(21位)、オマーン(28位)でGCCの4カ国が上位を占めている。同じGCC加盟国であるがクウェイトは世界106位と非常に低い。地域の大国トルコ、イラン、エジプトの順位はそれぞれ43位、120位、118位である。
(参考:日本12位、米国16位、中国56位)


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp




drecom_ocin_japan at 13:52コメント(0)トラックバック(0) 

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