2014年09月25日
MENA(中東・北アフリカ) 諸国の「世界競争力ランキング」(2014-2015年版)(7)
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0324MenaRank15.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)
5.主要国の分野別競争力(レーダーチャート)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-G02.pdf 参照)
MENAの主要4カ国(エジプト、トルコ、サウジアラビア及びUAE)と日本、米国、中国の分野別競争力を比較してみる。ここではこれら7か国を総合世界ランクが近い国同士で3つのグループに分け、レーダーチャート図によって各国の競争力の特徴を比較検討する。
レーダーチャート図は最も外側が世界順位1位であり内側の中心は世界150位である。また最上段の総合順位以下時計周りの1から12の数字は各分野を示している。各分野の世界順位を結ぶ輪が各国の状況である。レーダーチャートの輪が外側に広がっているほど世界での順位が高く、また輪の形が円に近いほど各分野で平均した競争力があることを示している。
(1)UAEと米国の比較
まず米国(総合世界7位)とUAE(総合世界12位)を比較すると、米国は「3.マクロ経済の安定性」が大きく落ち込んでいるが、その他の6項目は世界のベスト・テンに入っており、3項目がベスト20位である。これに対してUAEは「1.制度機構」、「2.インフラ」、「3.マクロ経済の安定性」、「5.高等教育及び訓練」、「6.商品市場効率」、「7.労働市場効率」の5項目が世界10位以内であり米国とそん色がない。さらにすべての項目が世界50位以内であり全体としては均衡のとれた競争力を示している。
(2)サウジアラビアと日本、中国の比較
次に日本とサウジアラビアと中国を比べると総合順位はそれぞれ6位、24位、28位である。日本は12項目のうち「3.マクロ経済の安定性」が世界127位と極めて低い。これは日本の国債の対GDP比率が世界で最も高く200%を超えていることが主な理由であると考えられる。このほか「10.市場規模」の項目で中国(世界2位)の後塵を拝しているが、それ以外の項目ではサウジアラビア或いは中国を大きく引き離している。
中国がサウジアラビアを上回っているのは「4.保健及び初等教育」、「7.労働市場効率」及び「10.市場規模」の3項目だけであり、その他の9項目はサウジアラビアが中国を上回っている。市場規模の格差については説明するまでもないが、労働市場効率に関しては、サウジアラビアでは宗教上の制約により女性の就労率が低いため市場効率が悪いとされているのである。一方、サウジアラビアは「1.制度機構」では世界25位で中国(47位)を上回り、また「8.金融市場の洗練度」では30位対54位、「9.技術的即応性」は45位対83位などサウジアラビアが中国より優れている項目がある。
(3)トルコとエジプトの比較
トルコとエジプトは共に人口7千~8千万人を有するMENAの大国である。両国の総合ランクはトルコ45位、エジプト119位と大きな格差がある。トルコは「7.労働市場効率」が世界131位と極めて低いが、その他のほとんどの項目は50位前後で世界の上位グループに入っている。これに対してエジプトは12項目中の8項目が世界100位以下、その他3項目も90位台に低迷しており、「10.市場規模」だけが世界上位の29位である(同項目のトルコの順位は16位)。エジプトは人口規模のみが競争力として評価され、その他の項目は極めて低いのに対しトルコは新興工業国として種々の側面で競争力が評価されていると考えられる。
(完)
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