2014年10月23日

絶対君主制国家こそ平和!皮肉なMENA(中東・北アフリカ)諸国の世界平和指数(2014年版)(3)

(注)本シリーズ1~4回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0327MenaRank12.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その12)


(平和が脅かされるMENA地域、世界最低クラスに沈んだエジプト!)
3.2013年と2014年の比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/12-T02.pdf 参照)
 今回と昨年の平和指数、世界ランク及びMENA各国間のランクの変動を比較してみると、まずMENA19カ国平均の指数スコアは昨年の2.284に対して今年は2.309であり0.025ポイント下がっている。またMENA平均の世界ランクも昨年の101位から今回は103位と少し落ちている。MENAは過去1年間に平和が脅かされる状況が深刻化していると言えよう。


 国別で見るとMENA19カ国のうち順位を上げた国は7カ国、下がった国10カ国、変わらなかった国2カ国であり、世界順位が落ちた国のほうが多い。順位を大きく下げたのはエジプトであり昨年の113位から今年は143位へと一挙に30位も落ちており世界162か国の中でも最低クラスとなっている。ムバラク政権からイスラム同胞団のムルシ政権へ、さらにはわずか1年ほどで再び軍事政権へとクーデタによる政変が続いたことが同国の平和に対する信頼感が薄れたからである。


 バハレーンも同様に95位から111位に急落しているが、同国の場合1昨年は118位であり、3年間で激しいアップ・ダウンを繰り返している。スンニ派政権と国民の多数を占めるシーア派の間の関係が大きく揺れ動いていることが原因である。オマーンも昨年の世界45位から今年は59位に大きく後退している。その他順位を下げた国はUAE(36位→40位)、ヨルダン(52位→56位)などがあり、昨年、今年とMENA1位であるカタールも世界ランクは19位から22位に落ちている。


 一方順位を上げた国の中ではサウジアラビアが昨年の97位から今年は80位へと目覚ましい躍進ぶりを示している。周辺のイラク、シリア、イエメンでイスラム過激派が活発な動きを示す中で内務省など治安組織が国内のテロ活動を抑え込んでいる。同国の平和は力づくで維持されていると見て良いであろう。またリビアも145位から133位へと平和度が上がったとされているが、最近は部族勢力間の闘争が激化しており来年も現在のランクを維持できるかは疑問である。


 その他順位を上げた国にはトルコ(134位→128位)、イラン(137位→131位)、イエメン(152位→147位)などがあるが、平和度が低い国のランクは毎年上下しており多少の順位の変動は余り意味を持たないとも言えそうである。


 MENA諸国間の順位はカタールに次ぐ2位がUAEからクウェイトに代わったが、その他の国々も1ランクの上下にとどまっている。特に大きく変動したのはエジプトが10位から14位に4ランク下がったことである。


 (続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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drecom_ocin_japan at 08:55コメント(0)トラックバック(0) 

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