2015年04月18日

MENA(中東・北アフリカ)諸国の人口・出生率・平均寿命(世界人口白書2014年版)(2)

(注)本レポート(1)~(3)は「マイ・ライブラリー(前田高行論考集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0340MenaRank2.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その2)

 
(MENAでは3人乃至4人に1人が若年層、日本ではわずか7人に1人!)
2.若年層の比率
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-T01.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-G02.pdf参照)
 MENA諸国は一般に若者が多い。年齢10-24歳の若年層が全人口に占める割合はMENA平均で26%であり、4人に一人が若年層である。国別にみるとイエメンは36%、イラクは32%であり、3人に1人が若年層である。その他オマーン(28%)、エジプト(27%)、トルコ(25%)、サウジアラビア、イラン(各24%)などは4人に1人の割合である。これに対して米国および中国の若年層の比率は20%であり、MENA諸国に比べて低い。さらに日本の場合はその比率は14%にとどまっており、若年層は全人口の7人に1人と非常に少ない。


 なお同じGCC産油国の中でも若年層の比率はサウジアラビアの24%に対して、カタールは18%である。これはカタールの人口の8割前後が成人の外国人労働者であるため、若年層の見かけ上の比率が低くなっているためと考えられる。UAEの若年層比率が21%と相対的に低いのも同様の理由である。


 MENAに若年層が多いことは豊富な労働力の予備軍があるというプラスの側面がある一方、若者の失業問題を抱えることになり、また無職の若者あるいは社会の不平等を実感する若者たちがイスラム過激主義などの過激な思想に影響されやすいというマイナスの側面もある。数年前の「アラブの春」で現実のものとなったことは記
憶に新しい。


 若者達の健全な育成をめざし彼らに適正な仕事を与えることがMENA地域の安定につながる重要な鍵であると言えよう。


(人口増加率が最も高いイエメン!)
3.MENA各国の人口増加率
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-T01.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-G03.pdf 参照)
 MENA諸国の中で人口増加率が最も高いのはオマーンの7.9%であり飛び抜けている。これに次ぐのがカタールの5.9%であり、以下クウェイト(3.6%)、ヨルダン(3.5%)、レバノン(3.0%)と続いている。その他人口増加率が2%を超えているのはイラク、UAE、パレスチナ、イエメンなどである。


 これら9か国の中にカタール、クウェイト、UAEのGCC産油国が入っている。しかし次項の合計特殊出生率でみるとおりこれら3か国の合計特殊出生率はいずれもMENA平均を下回っている。このことからこれら3か国における人口の増加は自然増加に加え外国人労働者の流入増という社会的増加が原因であることがわかる。湾岸産油国では過去数年の石油価格高騰によるオイルブームの結果、インフラ建設のための出稼ぎ労働者が急増しているのである。


 全世界平均の人口増加率は1.1%であり、MENAではこれを大きく上回る国が多い。それに比べ中国の増加率は0.6%、米国のそれは0.8%と低く、日本はマイナス0.1%と人口が減少しつつありMENA諸国とは対照的である。


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp




drecom_ocin_japan at 16:37コメント(0)トラックバック(0) 

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