2016年06月28日
流入・流出共に上向くMENAの直接投資:UNCTAD「世界投資レポート2016年版」(2)
(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)
(大きく増加したトルコとイスラエル、アルジェリアとバハレーンは大幅減!)
1. 2015年のFDI インバウンド(直接投資流入額)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-T01.pdf 参照)
2015年のMENA各国のFDIインバウンドの総額は672億ドルであり、前年に比べ7%増となった。これは米国(3,800億ドル)の2割弱、中国(1,356億ドル)の5割の規模である。なお日本は今回は純減(-23億ドル)である(投資引き揚げ額が新たな投資額を上回った)。因みにMENAのFDIインバウンドは全世界の合計額1兆7,600億ドルの3.8%を占めている。
国別ではトルコが165億ドルで最も多く、これに次ぐのはイスラエルの116億ドル、UAEの110億ドルであり、この3カ国が100億ドルを超えている。第4位はサウジアラビアの81億ドル、5位のエジプトは69億ドルでこれら上位5か国はいずれも昨年を上回っており、特にイスラエルは昨年の67億ドルからほぼ倍増し、トルコ及びエジプトの両国も昨年に比しそれぞれ44億ドルおよび23億ドル増加している。6位以下は50億ドル未満であり、イラク(35億ドル)、モロッコ(32億ドル)、レバノン(23億ドル)、イラン(21億ドル)と続き、10位のヨルダンから12位のチュニジアまでが10億ドル台、オマーン、リビア、クウェイト及びパレスチナ自治政府は1桁である。なおアルジェリアは-6億ドル、イエメン-12億ドル、バハレーン-15億ドルであるが、これはそれぞれの国からの外資の引き揚げ額が新規のFDIインバウンドを上回っていることを意味している。
アラブの国々は2011年の「アラブの春」の民主化運動が一段落した後も不安定な状況が続いていたが漸く落ち着きを取り戻したようであり、MENA全体ではインバウンド額が35億ドル増加している。
世界全体では昨年より4,900億ドル増加しており、対外直接投資が盛んであったことを示している。特に米国は2,700億ドルの純増であり世界全体の増加額の6割近くを占めている。世界のマネーが米国に集中している様子がうかがわれる。
(続く)
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