2016年10月02日

MENA(中東・北アフリカ)諸国の人口・出生率・平均余命(世界人口白書2015年版)(2)

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0388MenaRank2.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その2)

 

MENAでは3人乃至4人に1人が若年層、日本ではわずか7人に1人!)

2.若年層の比率

(http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-T01.pdf参照)

 MENA諸国は一般に若者が多い。年齢10-24歳の若年層が全人口に占める割合はMENA平均で25%であり、4人に一人が若年層である。国別にみるとイラク、シリア、イエメン及びパレスチナ自治政府は3割以上である。これに対して米国および中国の若年層の比率は19-20%であり、MENA諸国に比べて低い。さらに日本の場合はその比率は14%にとどまっており、若年層は全人口の7人に1人と非常に少ない。

 

 なお同じGCC産油国の中でも若年層の比率はサウジアラビアの24%に対して、UAE17%である。一見するとサウジアラビアの方がUAEよりも若年層の比率が高いが、これはUAE(特にドバイ)の人口の8割以上を占める外国人労働者の年齢が25歳以上の成人層であるため、見かけ上の若年層の比率が低くなっていると考えられる。カタールの若年層比率が19%と相対的に低いのも同様の理由である。

 

 MENAに若年層が多いことは豊富な労働力の予備軍があるというプラスの側面がある一方、若者の失業問題を抱えることになり、また無職の若者あるいは社会の不平等を実感する若者たちがイスラム過激主義などの過激な思想に影響されやすいというマイナスの側面もある。数年前の「アラブの春」でそれが現実のものとなったことは記憶に新しい。

 

 若者達の健全な育成をめざし彼らに適正な仕事を与えることがMENA地域の安定につながる重要な鍵であると言えよう。

 

(難民の国外脱出の結果、MENAで唯一人口が減少したシリア!)

3.MENA各国の人口増加率

(http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-T01.pdf参照)

(http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-G02.pdf 参照)

 MENA諸国の中で人口増加率が最も高いのはオマーンの8.4%であり飛び抜けて高い。これに次ぐのがレバノン6.0%、クウェイト4.8%、カタール4.7%である。以下イラク(3.3%)、ヨルダン(3.%)と続いている。その他人口増加率が2%を超えているのはサウジアラビアとエジプトである。

 

 全世界平均の人口増加率は1.2%であるが、MENAの平均増加率は2.5%であり、世界平均を2倍以上上回っている。このような中でシリアはMENAの中で唯一マイナス2.3%であり人口が減少している。これは同国で政府と反政府、更にはイスラム国(IS)が三つ巴で内戦を繰り広げている結果、多数の難民が発生、国外に逃れたためとみられる。因みに2014年の統計では同国の人口増加率はやはりMENAで最も低い0.7%であったが、今回はそれをさらに下回り人口減少の異常事態が発生している。なお日本の増加率はー0.1%でMENA(シリアを除く)で人口の増加が続いているのとは対照的である。

 

 (続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 



drecom_ocin_japan at 10:40コメント(0)トラックバック(0) 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
記事検索
月別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ