2017年04月27日
世界主要国とMENAのGDP成長率 ・ 一人当たりGDP(IMF 2017年4月版)(2)
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0407ImfApr2017.pdf
2017.4.27
前田 高行
(MENAの多くは前回より下方修正された2017年の成長率!)
2.前回(2016年10月)と今回(2017年4月)の比較
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
(1) 世界および主要地域・国
上述のとおり今回(WEO2017Apr)の全世界の成長率見通しは今年(2017年)が3.5%であり、来年(2018年)は3.6%である。これに対して前回(WEO2016Oct)の見通しでは2017年が3.4%、2018年は3.6%であり、2017年については前回より0.1%上方修正され、2018年は横ばいである。
2017年の見通しについて国・地域毎に前回と比較すると、国別では日本が0.7%上方修正され1%を超える成長率(1.2%)が達成されると見ている。米国、ドイツ、中国なども0.1~0.4%とわずかではあるが上方修正されている。これに対して韓国及びインドの今年の成長率は前回(2016年10月)の予測よりは0.4%下がっている。また地域別ではEUは1.7%から2.0%にアップすると予測が変更される一方、ASEAN-5は5.1%から5.0%とわずかながら経済が減速すると見られ、MENA地域について3.4%→2.6%とかなり下方修正されている。
来年2018年の予測については全世界成長率は昨年10月の予測と今回の予測は共に3.6%と変わらず、EU、ASEAN-5、MENAについても昨年10月の見通しと殆ど変化がない。国ごとに見ると米国が2.1%→2.5%に見直され、ドイツ、ロシア、日本もそれぞれ+0.2%、+02%。+0.1%と上方修正されている。中国の2018年成長率は6.2%で前回10月の6.0%よりも改善されている。一方韓国は3.1%(前回10月見通し)→2.8%(今回4月見通し)と下方修正されている。世界最大のGDPを誇る米国は今年、来年と先進国の中では比較的高い成長率を維持する見通しである。
(2)MENA諸国
MENA各国の今年の成長率を昨年10月と今回4月で比較すると大半の国は下方修正されている。主要な国ではエジプトが4.0%→3.5%、イラン4.1%→3.3%、トルコ3.0%→2.5%、サウジアラビア2.0%→0.4%といずれも下方修正されており、日米などの先進国に比べMENA諸国の経済は停滞が続くと予測されている。
さらに来年(2018年)の成長率予測を昨年10月と今年4月で比較すると、こちらは上方修正と下方修正が相半ばしている。上方修正された国はイラン(4.1%→4.3%)、イラク(0.7%→2.6%)、クウェイト(2.6%→3.5%)、UAE(3.1%→4.4%)などの各国であり、これに対して下方修正されたのはエジプト(4.8%→4.5%)、モロッコ(4.2%→3.9%)、カタール(3.2%→2.8%)、サウジアラビア(2.6%→1.3%)等の国々である。エジプト及びサウジアラビアは今年及び来年ともに今回4月の見通しは下方修正されており、IMFは厳しい評価を下している。
(続く)
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