2017年10月19日

5年連続でランクを落としたサウジアラビア:世界競争力ランキング(2017-2018年版) (7)

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0423MenaRank15.pdf

(MENA
なんでもランキング・シリーズ その15)

 

2016.10.19

前田 高行

 

5.主要国の分野別競争力(レーダーチャート)

(図http://menarank.maeda1.jp/15-G02.pdf 参照)  

 MENAの主要5カ国(エジプト、トルコ、サウジアラビア、イスラエル及びUAE)と日本、米国、中国の分野別競争力を比較してみる。ここではこれら7か国を総合世界ランクが近い国同士で3つのグループに分け、レーダーチャート図によって各国の競争力の特徴を比較検討する。

 

レーダーチャート図は最も外側が世界順位1位であり内側の中心は世界151位である。また最上段の総合順位以下時計周りの1から12の数字は各分野を示している。各分野の世界順位を結ぶ輪が各国の状況である。レーダーチャートの輪が外側に広がっているほど世界での順位が高く、また輪の形が円に近いほど各分野で平均した競争力があることを示している。

 

(1)イスラエルと米国、日本の比較

 まず米国(総合世界2位)、日本(同9位)とイスラエル(同16位)を比較すると、米国は「3.マクロ経済環境」が大きく落ち込んでいるが(世界83位)、12項目中の9項目は世界のベスト・テンに入っている。これに対して日本は米国同様「3.マクロ経済環境」が大きく落ち込み世界93位にとどまっているが、「2.インフラ」など5項目が世界のベスト・テンに入り、その他の4項目も世界20位以内に入っており平均した競争力を持っていることを示している。

 

MENA1位、世界16位のイスラエルは「9.技術的即応性」及び「12.イノベーション」が世界10位以内であり、また「7.労働市場効率」、「8.金融市場開放度」、「11.ビジネス洗練度」が世界20位以内であるなど高ランクの項目が多く、「10.市場規模(世界56位)」を除くすべての項目が世界40位以内であり全体としては均衡のとれた競争力を示している。

 

()UAE、中国とサウジアラビアの比較

 次にUAE、中国およびサウジアラビアを比べると総合順位はそれぞれ17位、27位、30位であり非常に近接している。UAEは「1.制度機構」、「2.インフラ」及び「6.商品市場効率」の3項目が世界ベストテンに入っておりその他の項目もすべて世界40位以内であり非常に均整が取れている。中国は「10.市場規模」が世界1位であるが、その他の項目は30~40位のものが多い。サウジアラビアの場合は「10.市場規模」が世界15位であることを除けばその他の指標はいずれもUAEを大きく下回っている。また中国と比較すると12項目のうち5項目が上回っている。

 

(3)トルコとエジプトの比較

 トルコとエジプトは共に人口7千~8千万人を有するMENAの大国である。両国の総合ランクはトルコ53位、エジプト100位と大きな格差がある。トルコは「7.労働市場効率」が世界127位と極めて低いが、その他のほとんどの項目は60位前後で世界の上位グループに入っている。これに対してエジプトは12項目中の4項目が世界100位以下、その他の項目も80位前後に低迷しており、「10.市場規模」だけが世界上位の25位である(同項目のトルコの順位は14位)。エジプトは人口規模のみが競争力として評価され、その他の項目は極めて低いのに対しトルコは新興工業国として種々の側面で競争力が評価されていると考えられる。

 

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drecom_ocin_japan at 10:52コメント(0)MENA  

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