2017年12月18日

イスラエルを除きMENA諸国は全て100位以下:2017年版世界男女格差報告(4)

(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0430MenaRank8.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その8)

 

3.分野別順位 (続き)

(http://menarank.maeda1.jp/8-T02.pdf参照)

(3)健康・寿命分野の男女格差

 この分野の特徴は世界的に見て男女格差が比較的少ないことである。指数の最高は0.980であり世界34カ国が同じ指数である。そして最も低い中国の指数は0.918であり、トップと最下位のポイント格差は0.062にとどまっている。この分野は前述の教育分野以上に男女格差が小さく、経済格差の場合トップのブルンジの0.911に対し、最下位のシリアの指数が0.274であることと比べ各国間の格差が非常に小さい。このためわずかな差で順位が大きく変わることとなる。

 

MENA諸国の中ではシリア(指数0.980)が世界のトップグループに入っている。これに次ぐのがトルコ(同0.977)、チュニジア(同0.975)、イスラエル及びエジプト(同0.971)、レバノン及びアルジェリア(同0.970)、クウェイト及びヨルダン(同0.969)等の国々である。これに対してカタール、サウジアラビアおよびUAE(同0.965)、バハレーン(同0.961)等の湾岸産油国は医療福祉制度が充実しているにもかかわらずエジプトよりも男女格差が大きいという意外な結果を示している。これは湾岸産油国では制度が男性優位のまま発達しているのに対し、エジプトでは制度が未発達のため男女の格差がかえって小さいという逆説的な状況を示しているためと言えよう。

 

 日本の指数は0.980であり他の国々と並んで世界1位である。詳細を見るとこの分野は二つの項目(新生児の男女比率及び男女の平均寿命)によって指数が算出されており、日本の場合平均寿命は女性が男性を上回るため指数は1.060であるが、新生児の男女比率は男性が女性を上回っているため指数は0.944となっている。

 

(4)政治分野の男女格差

 この分野は世界各国の政治体制の違いに左右される面が大きい。またこの分野はトップのアイスランドの指標が0.750、米国が0.124であるなど上記の健康・寿命指標に比べて世界的に指標値が低く、また各国間の格差が大きい。MENA各国の指標もトップのイスラエルですら0.232にとどまり、指標0.1以下の国が世界全体の4分のⅠ弱の34カ国に達する。因みに日本は0.078(世界123位)であり中国は0.160(同77位)である。

 

 MENA諸国間の比較で男女格差が少ないと評価されているのは、イスラエル(世界47位)のほかチュニジア(同55位)、UAE(同67位)、アルジェリア(同86位)などであり、反対に格差が最も大きいのはイエメンの144位、すなわち世界最下位である。UAEを除くGCC各国はカタールが最下位から2番目の世界143位にとどまっているほか、サウジアラビア(同124位)、バハレーン(同137位)、クウェイト(同141位)など軒並み世界順位が低く男女格差が大きい。

 

 政治の男女格差は女性の国会議員、閣僚及び過去50年間の女性元首(首相等)の在任期間でランク付けされているため全体的に各国ともスコアが低く、また同じ先進国でもヨーロッパに比べ日米のランクが低い結果となっている。

 

(続く)

 

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        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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drecom_ocin_japan at 11:03コメント(0)MENA  

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