2018年01月18日

格付け格差広がるGCC6カ国:MENAと世界主要国のソブリン格付け(2018年1月現在) (2)

 

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0433SovereignRating2018Jan.pdf

2018.1.18

前田 高行

E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

2.1月現在の各国の格付け状況

(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-01.pdf 参照)

今回の格付けは半年前と比べトリプルA(AAA)の最高格付けの国々のうち独、スイス、オーストラリア、シンガポールなどに変化はなかったが、香港は1ランク落ち米国と同じAA+に格下げされている。そして中国もAA-から1ランク落ちて日本と同じA+に格付けされている。

 

格付けA以上の国の大半は昨年下半期の格付けに変化はなく、日本はA+の格付けを維持している。本稿で取り上げた格付けBBB以下の国の中ではイタリア(BBB- BBB)及びポルトガル(BB+ BBB-)が格上げされている一方、ヨルダン及びバハレーンは共にBB-からB+の格下げされている。EU加盟国が見直され、アラブの国が下方修正される対照的な結果となっている。GCC産油国の中ではクウェイトとアブダビの2カ国が最も高く仏、英、韓国と並ぶAAの格付けであるが、サウジアラビアはA-であり、オマーンとバハレーンはそれぞれBB+及びB+であり共に投機的ランクに判定されるなどGCC6か国の中で格差が広がっている。

 

(最上位のドイツ、投資適格ぎりぎりのポルトガル、低位にあえぐギリシャ)

(1)欧米諸国 (米英仏独など)

ドイツ、スイス、カナダ、オランダなどは引き続きトリプルAの最高格付けを維持している。経済力が世界一の米国の格付けはトリプルAより1ランク下のAA+である。そして英国とフランスはさらに1ランク低いAAであり、これは韓国あるいはクウェイト、アブダビと同格である。

 

独仏と同じEU諸国の中ではスペインはBBB+であるが、イタリアはBBBであり、これは投資適格の中では二番目に低いランクである。そしてロシアはイタリアより2ランク低いBB+で投機的とみなされており、財政再建中のギリシャは更に低いB-である。S&Pの定義では格付けBは「現時点では債務を履行する能力を有しているが、(中略)経済状況が悪化した場合には債務を履行する能力や意思が損なわれやすい」とされており、非常に厳しい評価である。

 

ギリシャと同様にかつて債務不履行寸前に転落したアイスランドはその後の財政改善が奏功し一昨年後半と昨年前半に相次いで格付けが上がり、現在の格付けは最上位のトリプルAから6番目のAに格付けされている。

 

(極東4か国の中では韓国がトップ、低い日本と中国!)

(2)極東4か国(日、中、韓、台湾)

極東アジアの日本、中国、韓国及び台湾のうち最も高い格付けを得ているのは韓国のAAであり、これは英国、フランス或いはクウェイト、アブダビの中東湾岸産油国と同格である。台湾はAA-である。これに対して日本及び中国はさらに1ランク低いA+の格付けにとどまっており、イスラエル或いはアイルランドと同格である。格付け定義ではAAは「債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(トリプルA)との差は小さい」とされている。これに対して格付けAは「債務を履行する能力は高いが上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい」と定義されている。中国は昨年下半期に日本と同じA+に格下げされており、極東4カ国の中では日本と中国に対する評価が厳しい。

 

(続く)

 

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        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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drecom_ocin_japan at 09:05コメント(0)MENA  

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