2018年03月26日
油価上昇で貿易バランス再び悪化の兆し―MENA(中東・北アフリカ)の対日貿易(2017年版)(3)
(注)本稿は「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0436MenaRank10.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その10)
2.MENAと日本の2017年の輸出入(続き)
(小国UAEが最大の輸出相手国。理由はドバイから周辺諸国への再輸出!)
(2)日本からの輸出
(表http://menarank.maeda1.jp/10-T03.pdf参照)
2017年の日本の輸出総額は78兆円であったが、そのうちMENA諸国への輸出は2.9兆円であり全体に占める割合は3.6%である。輸入に占める割合が11%であることに比べかなり低い。日本とMENAの貿易は日本の大幅な輸入超過という片貿易である。
国別にみるとMENAで日本の輸出が最も多いのはUAEの8,096億円であり、二位のサウジアラビア(4,189億円)のほぼ倍近い。UAEの人口は外国人を含め930万人であり、サウジアラビア(3,220万人)の3分の1以下であるにもかかわらず[1]、輸出額では両国が逆転している。UAEはドバイの自由貿易港を通じたGCC、東アフリカ、中央アジア等の国々への再輸出が多いためである。
UAE、サウジアラビアに次ぐ日本からの輸出第3位はトルコであるが、その輸出額は3,547億円である。4位以下はオマーン(2,612億円)、イスラエル(2,161億円)、クウェイト(1,600億円)、カタール(1,335億円)と続き8位のイラン以下は輸出額1,000億円未満である。ちなみに米国及び中国向け輸出は共に15兆円で全世界向け輸出に占める割合は19%、MENA諸国向け総輸出額の5倍以上である。
前年の輸出額と比較すると日本全体では12%増であり、MENA地域向けは対照的に7.7%減であった。輸出額2位のサウジアラビアは23%減でありMENA平均を大きく上回る減少幅であった。輸出額が前年を上回っているのはトルコ(3,107億円→3,547億円、14%増)、イラン(632億円→985億円、56%増)等の国々であり、特にイランは輸出金額はさほど多くないが、5年前の164億円から毎年おおきく増加しており、経済制裁緩和の影響が表れている(後述3(4)主要国の5カ年輸出額推移の項参照)。
(続く)
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