2018年03月29日

油価上昇で貿易バランス再び悪化の兆し―MENA(中東・北アフリカ)の対日貿易(2017年版)(6完)

(注)本稿は「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0436MenaRank10.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その10)

 

3.2013年~2017年の日本とMENA諸国の貿易(続き)

(http://menarank.maeda1.jp/10-T04.pdf 参照)

 

(2年間の急減後、再び上向くサウジ、UAE、カタールからの輸入!)

()主な国の輸入額の推移

(http://menarank.maeda1.jp/10-G05.pdf 参照)

 サウジアラビア、UAE、カタール、イランおよびイラクは石油・天然ガスの主要な輸入国であるが、これら5カ国の過去5年間の国別輸入額の推移を見ると、5年間を通じてサウジアラビアの輸入額が最も多く、その額は2013年、2014年に5兆円前後で推移した後、2015年は前年比4割減の3兆円に急減、2016年も前年比3割減の2.1兆円と2年連続して減少した。2017年は原油価格の上昇により輸入額は再び3兆円台に上昇している。

 

 UAEはサウジアラビアとほぼ同様の傾向を示し2014年には4.4兆円のピークに達した後、2015年、2016年は共に前年比で34%前後の大幅な落ち込みとなり、2016年にはピーク時の2014年の4割にとどまっている。但し2017年は2.3兆円にアップしている。天然ガスの主要な輸入国であるカタールの場合、ピークとなった2013年(3.6兆円)に比べ2015年、2016年は2年連続で40%強減少、2017年の輸入額は1.2兆円と前年と横ばいの状況ある。同国からの輸入減はLNG価格の下落に加え、同国以外の輸入ソースの多様化等の影響と言えよう。

 

 これら3カ国に対してイラクからの輸入額は3,000億円以下で低迷し、特に2014年以降は4年連続1千億円台にとどまっている。イランについては2013年、2014年の2年間は6,000億円台であったが、2015年以降は3,000億円前後に急減している。経済制裁による輸入抑制と原油価格下落の影響が大きく表れている。

 

(好調な輸出に陰りがみえるサウジアラビア、UAE、上向きに転じたイラン向け輸出!)

()主な国への輸出額の推移

(http://menarank.maeda1.jp/10-G06.pdf 参照)

 MENAの日本からの輸出額では過去5年間を通じてUAEがトップである。これはドバイを通じた第三国への再輸出が多いためである。UAE向けの2013年の輸出は8,300億円であったが、その後2年間は1兆ドルを突破、2015年のUAE向け輸出額は1兆500億円に達した。しかし2016年には8,700億円に急減、2017年も減少傾向が止まらず過去5年間で最低の8,100億円にとどまっている。

 

 オイルブームとその後の油価の下落は同じ湾岸産油国のサウジアラビアにも表れており、同国向け輸出は2013年の6,700億円から2015年には1.2倍の8,300億円に増加している。そして2016年は前年比で34%減少し、更に2017年の同国向け輸出額は4,200億円とピーク時の2015年の2分の1である。

 

同じ産油国であるがイラン向け輸出は対イラン経済制裁により2013年の輸出額は164億円にとどまった。その後は回復の兆しが見え、2017年には985億円とエジプトを追い抜き過去5年間で最も多くなっている。

 

 地域の経済大国であるトルコ向け輸出は2013年以降毎年増加しており、2017年は3,547億円と5年前の1.6倍に達している。またもう一つの地域大国エジプトは2013年から2016年までは1千億円を上回る水準であったが、2017年は940億円に減少している。

 

以上

 

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        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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drecom_ocin_japan at 09:10コメント(0)MENA  

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